ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ニンジン

2013年03月15日 | 飲食:食べ物(材料)

 キャロットルーム

 ラジオから変な民謡が流れた。キャロットアイランドと歌っている。人参の島ということであるが、何で「人参の島」と和語でもなく、「チデークニぬ島」とウチナーグチでもなく英語なんだ?と思った。歌なので表現は自由でいいのだが。
 それはともかく、キャロットアイランド、人参の島とは津堅島のこと、津堅島はニンジンの産地であるということを、この歌を聞いて知った。沖縄の島々巡りを若い頃からやっているが、津堅島はまだ訪れていない。沖縄島から船で15分程度と近いのだが、津堅島という島があることを知ったのも数年前のことである。

  私の300坪の畑なっぴばるにもニンジンを植えた。1畝(約3坪)分。ジャガイモ、ホウレンソウ、ダイコンなど他の野菜は十分育たず、出来が悪かったのだが、ニンジンだけはスクスクと大きく育った。市販のニンジンと比べても遜色は無い。何故そうなったのかについては、まだ調べておらず不明だが、ニンジンは売れた。
 もしもこの先、やはりニンジンしか売れるほどの大きさに成長しないのであれば、ニンジンをたくさん作って、それを売って生活費の足しにしようかと思わぬでもない。なっぴばるはキャロットアイランドならぬ、キャロットファームになるわけだ。そのテーマソングを作って、世に出して、歌がヒットして、それで懐が潤う、なんてまで妄想する。

  なっぴばるのニンジン、概ねは普通の形、大きさだが、間引きしたものはごく小さい。指ほどの大きさだ。それはそのままの大きさで酢漬け(ピクルス)にしている。なかなかの美味。それより少し大きめのものはオーブントースターで5分くらい焼いて、ミディアムレアで食べている。これも旨い。どちらも酒の肴に上等。
 普通の形で無い人参も時々出てくる。二股に分かれたニンジン、二股は脚のように見えて何だか色っぽい。飾り物にしたいくらいだが、これもやはり食べる。スライスして酢漬けにしたり、普通に煮て食っている。普通に旨い。
 というわけで、3月に入って毎日ニンジンを食べている。それもたくさん食っている。食っても食ってもニンジンが常に部屋の中にある。沖縄の3月はニンジンの季節であるということを知ったが、3月、私の部屋はキャロットルームとなっている。
 
 
 ニンジン(人参):根菜類
 セリ科の一年生または二年生草本 原産地は西アジア 方言名:チデークニ
 名前の由来は資料が無く不明。人参という漢字で表記するということは元より私も知っていたが、広辞苑にもちゃんとあった。参には「まじわる」という意がある。「人が交わる」ということと野菜のニンジンがどう関わるのか、当てずっぽうもできない。
 直根とハイ軸が肥大化して貯蔵根を形成し、これが食用となる。生でも煮ても焼いても良し。沖縄にはニンジンシリシリーという美味しい料理がある。若葉も食用となる。
 沖縄では主に秋播きで2~3月に収穫する。津堅島が生産地として有名。

 記:2013.3.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


費用対効果はいかに

2013年03月08日 | 通信-その他・雑感

 不動産売買に関わる要件で銀行へ行き、同じ要件で市役所へ行き、そしてまた、同じ要件で税理士事務所へ行く。その他、知人に頼まれていたポスター作りをし、そのポスターを届ける。などといった雑用を畑仕事の合間にこなしている。
 畑仕事の合間と書いたが、実は、合間を設ける程の余裕は無い。畑はやるべき事が山ほどある。ゴーヤー、ヘチマは先週、モーウイ(赤瓜)と落花生は今朝やっと植え終わったが、シブイ(冬瓜)はこれから。シブイの他、ビートもまだ。いずれも急ぎだ。
 植付ける前にやることがある。耕すこと。「晴耕雨読」という言葉もあるように、土を耕すことは畑仕事の代名詞みたいなものだ。一般的な「耕す」という範疇には無いかもしれないが、私の場合はそれに、面倒な時間のかかる手間が含まれている。

 300坪の畑なっぴばるは、自然農法に近い形でやっていこうと思っているが、大雑把な除草と、土を耕し(自然農法は不耕起)て畝立てはしている。ただ、土を耕すのも大雑把にやっていた。土壌が粘土質のため、掘り起こした時に土がほぐれない、大きな塊のまま残る。塊は、湿っているものは全くの粘土、完全に乾いたものは石(柔らかめの)で、それらをショベルの先で切ったり割ったりして少しは小さくする。それでも、テニスボール程の大きさのものがゴロゴロと多く残る。その状態で耕し終了としていた。
 植付け前には普通堆肥を混入する。私も30坪の畑ナツヤではだいたいそうしていた。堆肥は薄めの肥料にもなるが、その大きな役割は土壌改良である。土の中に有機物などを混ぜて、保水性がありながら水捌けが良いという土壌に改良する。有機堆肥の中には腐葉土も入っているので土壌を柔らかくする作用もある。300坪の畑なっぴばる、耕して畝立てはしているが、堆肥は混入していない。で、粘土質のまま。

  そんな畑で育てた作物は、まあ予想はしてはいたのだが育ちが悪い。ウズラマメは収量が少なかったし、ジャガイモは小さなものしかできなくて数も少なく、ホウレンソウは市販のそれの四分の一の背丈しか無く、ダイコンにいたっては二十日大根ほどの大きさにしかならなかった。ニンジンだけは別で普通の大きさになったが、これについては、正確には追々調べる予定であるが、土壌がジャーガル(石灰岩系のアルカリ土壌)であるのが良かったのか、あるいは、ニンジンそのものが痩せ地を好むのかもしれない。
 ニンジンを除く作物の出来が悪かったのは、やはり堆肥を混入しなかったせいであろうと判断した。でも、その後も堆肥は混入していない。しかし、作物の出来が悪いのは収入不足→生活難になるので、その代わりのことをやることにした。
          

  堆肥を用いての土壌改良を行わない代わりに人力による物理的土壌改良は行うことにした。人力による物理的土壌改良とは、土が硬いため大きな塊となっているものをほぐすこと。ほぐすとは、土を小さな塊にするということ。
 土ほぐし作業はとても時間がかかる。比較的柔らかいものは手の平で握りつぶす。少し硬めのものは親指と人差し指に挟んで、力を入れて捻り潰す。お陰で私の右手の親指と人差指は皮が剥げてガサガサになっている。そうやって手間暇かけて土ほぐしをして、その効果はあるのかというと、費用(手間)対効果の答えは、半年後に判明する予定。
          

 記:2013.3.8 島乃ガジ丸


味噌汁

2013年03月08日 | 飲食:食べ物(料理)

 我は主役なり

 東京で5年間暮らした、といってももう35年ほども昔の話だが、その経験から、といってももう昔のことなので正確に覚えているわけではないが、食堂でメニューの食べ物、例えば野菜炒めとかショウガ焼きとかを頼むと、それ一品しか出てこなかった。ライスは別途注文しなければならなかった。「それが普通だろう」と東京の人は思うかもしれないが、ウチナーンチュは違う。沖縄の食堂では頼まなくてもライスは付いていた。
 ご飯を食べたい時、東京の食堂では例えば、「豚肉ショウガ焼きとライス」などと注文する。ライスを注文するとたいてい味噌汁も付いてきた。「何でライスは注文しないと出てこないのに、味噌汁は注文しなくても出てくるんだ?」と、遥か南のど田舎の、復帰して間もない頃の、沖縄の青年は思ったのであった。

 東京の食堂でも、○○定食と名のあるメニューを頼むとライスは付いていた。ライスだけで無く味噌汁も付いていた。その味噌汁も、ライスを注文した時付いてくる味噌汁もたいていは汁碗に入ったワカメとか豆腐の味噌汁であった。
 我が家でも、母が作る味噌汁にはワカメとか豆腐の味噌汁もあったが、どちらかというと、豚肉や、時には鶏肉やポークランチョンミート(スパムとか最近では言う)の入った味噌汁が多かった。味噌汁には肉の脂がたいてい浮いていた。
 あっさり系の好きな私は倭国風の味噌汁を好んだが、父は脂の浮いた味噌汁を好んだ。ウチナーンチュの多くはおそらく父と同じであろう。父はオーハンブシーが好物であった。オーハ(葉っぱ)ンブシー(煮込み)とは葉もの野菜、キャベツとかチンゲンサイとかをたっぷり、脂身の付いた豚肉、手でちぎり入れた島豆腐の入った味噌汁。

 倭国にも豚肉の入った味噌汁はあった(今もあるはず)。それは豚汁という名で呼ばれていた(今もそうであるはず)。角切りの豚バラ肉、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、長ネギなどが具材。冬の食べ物という印象を私は持っている。体が温まる料理であった。
  沖縄の大衆食堂には味噌汁というメニューが年中無休で置いてある。倭国のような汁碗に入ったワカメや豆腐の味噌汁では無い。沖縄の大衆食堂のメニューとなっている味噌汁はメインディッシュとなるものである。丼に入った豚汁に似たもの。
 味噌汁を注文すると、何も言わずともライスは付いて来る。時には漬物も付いて来る。丼の味噌汁をオカズにご飯を食べる。味噌汁は主役だ。脂の浮いた味噌汁が好きなウチナーンチュ、脂を摂取して元気を付け、暑い夏も寒い冬も乗り切るわけだ。

 なお、味噌汁についての広辞苑の説明は「野菜・豆腐などを実として、出し汁に味噌を溶かしたもの」となっている。主役とか脇役とかの区別は無いようだ。
 

 記:2013.3.8 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


丈夫な体

2013年03月01日 | 通信-社会・生活

 昨夜のニュースで「平均余命の都道府県別順位で沖縄は順位を下げた」とあり、それに対し沖縄県(福祉課だったか)や沖縄県医師会が「これではいかん」とあれこれ提言をしていた。順位を下げたと言っても、前回より寿命は延びている。伸び率が他府県より小さかったということらしい。伸びていればいいじゃないかと私は思うが。
 県は「これでは長寿の島の名折れで、観光にも影響が出る」といった内容の話もしていた。長寿を経済と捉えているようである。「そうか、長寿は観光資源にもなるのか」と思いつつ、「長寿というだけではいかんだろう」とも私は思った。
 「ただ長く生きた」より「元気で長く生きた」の方が良かろう。私の畑なっぴばるの近所でハルサー(農夫)をしている87歳のNさん、84歳のKさんなぞはとても元気。毎日では無いと思うが畑に出て、畑仕事に精を出し、作物を生産している。明るい顔でよく笑い、大きな声でよくしゃべる。二人とも人生を楽しんでいると思う。

  元気で長寿のNさんKさんを私も見習いたい。彼らほど長寿でなくてもいいが、彼らのように元気でありたいと望んでいる。そうあるためには丈夫な体でなければならない。
 沖縄の冬は農繁期である。植付ける作物があれこれ多くある。冬ほどでは無いが、春の畑も植付け作業がいくつかあって忙しい。コツコツと作業を続け、カタツムリの歩みのように「のろのろと」ではあるが、畑は今のところ一歩ずつ前に進んではいる。
 梅雨時は、「雨が続いて畑仕事が滞ったらどうしよう、収入が無くなるかも」などと生活の不安はある。が、それも、元気であれば何とかなる。あの死ぬほど暑い夏場に体力が持つだろうかという健康の不安もある。丈夫な体でなければならない。
          

 宮沢賢治が示した「丈夫な体」の条件において、
 「雨にも負けず、風にも負けず」については、雨にはなるべく濡れないようにしているので、風も、それが台風の場合は外に出ないようにしているので、「雨から逃げて、風から逃げて」いるから、それらによって体の具合を悪くすることは無い。
 「雪にも、夏の暑さにも負けぬ」については、沖縄で雪の降ることは無いので「冬の寒さ」と言い換えた場合、今のところ私は冬の寒さに負けてはいない。この冬を経験した限りで言えば、全く何の問題も無い。冬は仕事もはかどり、体も快調。
  この冬はヒーターや強力な暖房器具でもある布団乾燥機を使っていない。どちらも押し入れに仕舞ったままだ。もう一つの暖房器具である火鉢に炭を熾したのが2、3回あっただけだ。寝る時の寝具も「1、タオルケット」、「2、布団」、「3、タオルケット+布団」、「4、布団+毛布」、「5、タオルケット+布団+毛布」と寒さに応じて5段階あるが、今季は3止まり、毛布も押し入れに仕舞ったままだ。私の体は、寒さには強くなったようである。もっとも、「寒さ」といっても沖縄の寒さだが。

 夏の暑さには勝つことができない。太陽の下で肉体労働の経験はある。日中は「死んだ方が増し」と思うほどに辛かった。畑仕事は、夏の日中はできない。負けている。
 病気の子供や疲れた母などを助けるほどの体力は無くてもいいから、「夏の暑さにも負けぬ丈夫な体」には、私はなりたい、と思っている。今年の夏、どうなるやら。
          

 記:2013.3.1 島乃ガジ丸


キクイモ

2013年03月01日 | 飲食:食べ物(材料)

 腎臓に効く芋から酒

 今(冬場)は地上部が枯れてしまってその姿を見ることはできないが、黄色い菊を大きくしたような、あるいは、ヒマワリを一回り小さくしたような花が時期になると、宜野湾の小さな畑ナツヤに咲く。キクイモという名の多年草。地下の芋が残っているので暖かくなれば芽吹きだす。今朝(2013年3月1日)ナツヤを覗いたらまだだった。

  キクイモはその葉も芋も薬用となる。いずれも腎臓に良いらしい。芋はまた、元美人妻で料理人のIさんによると「除染効果」もあるとのことで、「あったら持って来て、買うから」と注文されている。Iさんの店には福島から避難してきた人が多く訪れるようで、彼らとの話からキクイモの効果を聞き、それを料理に出すとのこと。

 私は今、腎臓に不具合は無い、と思う・・・何十年も病院の検診なるものを受けていないので実際のところはどうかよく分からないが。とにかく、自覚症状としては腎臓、小便の類に異常は感じていない。私はまた、被爆したということも無い。なので、薬草としてのキクイモにはあまり興味が無い。
  キクイモはしかし、薬草としてだけでは無く、芋が食用とされている。自給自足を目指す私としては食料となる芋については大いに興味がある。しかしながらキクイモ、その地下にできる芋は、その地上部の大きさに比べるとごく少量で、単位面積当たりの収穫量としては甘藷やジャガイモに比べると数段落ちる。自給自足の食料としては不向き。
 だけれども、私はキクイモを小さな畑ナツヤだけでなく、300坪の畑なっぴばるにもたくさん植えようと計画している。キクイモのもう一つの利用法があるからだ。もう一つの利用法とは、キクイモがアルコールの原料にもなるということ。何を考えているかは言うに及ばず。・・・でも、言おう。酒を作りたいのである。
  
 
 キクイモ(菊芋):根菜
 キク科の多年草 北米原産 方言名:なし
 名前の由来は資料が無く不明だが、キク科の植物で、いかにもキク科らしい葉と花をしていて、地下茎の先にイモ(塊茎)を作るからキクイモだと思われる。
 高さ3mほどになる大型の草本。花は黄色で、ヒマワリに似るが、ヒマワリよりは小さい。開花期について、『沖縄園芸植物図鑑』に「夏から秋」とあったが、私の経験ではもっと早くから咲いていた。よって、ここでは春から秋としておく。
 地下茎の先にイモ(塊茎)を作る。イモは食用となり、イヌリンという物質を多く含み甘みがある。煮物、漬物に利用され、アルコールの原料にもなるとのこと。
 葉を乾燥させて煎じて飲むと、腎臓に薬効があるとのこと。

 記:2013.2.15 ガジ丸 →沖縄の飲食目次