ボケ味

 写真にとっての「ボケ」は、実は大切な要素である。「ボケ」とはいっても所謂「ピンボケ」写真のようにどこにもピントがあっていないという意味での「ボケ」ではなく、見てもらいたい主役にはピントが合っていて、その手前やバックをボカすというような場合の「ボケ」の話である。ポートレートや植物などの接写写真では、如何にして美しい「ボケ」を創り出すかが大きな課題となるのである。

 「ニッコール千夜一夜物語第30夜」~大口径中望遠レンズ~「Ai Nikkor 135mm F2」によれば、「レンズでつくられる背景のボケの大きさは、被写体と背景との距離やレンズの収差に依存するため一概には言えないが、おおざっぱにはレンズの有効径に比例する」らしい。そして「レンズの有効径は、F値の定義から、(有効径)=(焦点距離)÷(F値)」によって導かれるという。

 上記の式に従えば、50mm F1.4のレンズの有効径は35.7、85mm F1.8のレンズの有効径は47.2となる。簡単に言えば、F値の小さい、明るいレンズほど有効径が大きく、つまりは大きなボケが得られるということだ。

 レンズの焦点距離が長ければ大きなボケが得られと言うのは写真愛好家の常識だ。前述の式から導かれる135mm F3.5のレンズの有効径は38.5となるが、50mm F1.4のレンズの有効径は35.7であるから、所謂標準レンズであってもF値の小さいレンズであれば、暗めの望遠レンズと同等のボケが得られるということになる訳である。

 そこで、本日の一枚。
 

 今の季節、畑の隅と言わず、道端と言わず随所で見かける紫花菜(むらさきはなな)であるが、紫花菜の前後のボケを作っているのは、最近手に入れた有効径71.4という大口径の望遠レンズである。実は3月31日に掲載した写真も同じレンズで撮影したものであるが、写真のそのものの良、不良は別にして、実に大したボケ具合である。

 これのレンズを使いこなすためには相当のセンスと訓練が必要になりそうだが、その前に立ちはだかったのは、まずは郷秋<Gauche>の腕の筋力の問題。実はこのレンズ、郷秋<Gauche>愛用のD300(マルチバッテリーパック付き)に装着すると総重量3kgとう重量級。早速筋力トレーニングを始めたのは言うまでもないが、なんとも「トホホ」な話である。
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