玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

気になってしようがない

2006年04月21日 | 日記
 近頃、環境の問題が気になって仕方がない。テレビでこのまま温暖化が進んだ場合の、百年後の地球シミュレーションなどというのを見せられると、絶望的な気持ちになる。環境問題に関する本もよく読んでいる。
 「二酸化炭素の上昇が地球温暖化の原因などではない」というような説を読んで、少し安心したいという気持ちもある。池田清彦の『環境問題のウソ』(筑摩書房)という本は、そういった視点に立って書かれた本で、「京都議定書を守る日本はバカである」とまで書いている。
 読んでいる時は少し安心するが、やはり本当の意味で説得力がない。近頃の異常気象が地球温暖化で引き起こされたものではないという説の論拠も明確でない。素人考えでも数億年も地下に眠っていた化石燃料を地表に露出させ、大量に燃焼させて何事も起こらないとは思えないからだ。
 アメリカの生物学者、ジャレド・ダイアモンドの『文明崩壊』(草思社)は、地球温暖化について書かれたものではないが、環境の問題を一つの文明が興隆したり滅亡したりすることの原因の中核に捉えている。イースター島やマヤ文明、グリーンランドの滅亡について、資源としての環境を人間が大量消費したためという視点から論じる。
 カール・マルクスは、「下部構造は上部構造を規定する」と言ったが、ダイアモンドの説は、下部構造(人間の経済活動)のそのまた基底に、資源としての環境という因子を据える。説得力のある本だ。
 ところで、柏崎市は今年度「バイオマスタウン構想」の策定を計画している。バイオマスとは生物由来のエネルギー資源のことで、地上に生まれて地上に帰っていくものだから、二酸化炭素の発生についてはニュートラルなものと言える。「木を燃やせば二酸化炭素が出るじゃないか」と言う人もいるが、発生した二酸化炭素は再び樹木に吸収されていくから問題はない。

越後タイムス4月14日「週末点描」より)


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