玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

木下晋のペンシルワーク

2008年05月30日 | 日記
 大型連休で、「越後タイムス」を一週間休刊させていただいた。その間、休んで寝ていたわけではない。十日からのタイムス主催「木下晋のペンシルワーク」の準備に追われていた。連休明けに木下展を設定したのは、休みの間に準備ができると踏んでいたからで、まったくもって正解だった。
 十日、十一日と、多くの方に「游文舎」と「十三代目長兵衛」に足を運んでいただいた。游文舎の方は、図書館を目的に来られた人も多く、安藤正男さんの同級生も来てくださり、正男さんの残した膨大な書物を眺めながら、二人でさまざまな感慨にふけることになった。
 「木下晋のペンシルワーク」は、「トラ吉百態」と題して、木下さんの比較的優しい絵をギャラリー「十三代目長兵衛」に、「生の深き淵から」と題して、木下さんのとても厳しい作品を「游文舎」に展示した。二つの会場には、恐るべき階梯がある。
 できれば、まずは「十三代目長兵衛」の一階で木下さんの愛猫・トラ吉のコワイイ絵を見て、その細密描写にびっくりしていただきたい。二階に二点、木下さんの本領を発揮した老人を描いた大きめの作品を展示した。トラ吉の絵とは全く違った“すごみ”のある作品で、木下ワールドへの導入部とした。この二作品で心の準備をしてもらって、「游文舎」の大作に向き合っていただきたい。
 「游文舎」で展示している大作群は、木下さんがモデルと格闘した軌跡を刻んだ“ものすごい”作品で、見に来てくださる方が拒絶反応を起こすのではないかと心配していたが、そんなことはなかった。
 来館者の多くは、「こんなにすごい絵は見たことがない」と、深い感動を語ってくださった。初めて木下作品を見た人にも拒絶反応はなかったようだ。
 十七日午後二時から、木下さんのギャラリートークが「游文舎」で行われる。お出でいただければ幸いである。

越後タイムス5月16日「週末点描」より)



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