ガザ地区の戦闘は、昨年の10月7日早朝にハマスがガザ地区からの2000発以上の大規模なロケット攻撃でイスラエル側の民間人約1200人を殺害するとともに、フェンスを突破したゲリラ攻撃で婦女子約240人を人質に取ったことで始まった。そして、その後イスラエルの報復攻撃が継続中で、現在までの死者は双方で4万人に近いと報じられている。
転居のどさくさで戦闘の推移を連続してウオッチできなかったが、紛争・戦闘に関する報道(主としてTVコメンタータ)の論旨が変化していることには考えさせられる部分が多い。
戦闘開始直後にはハマスの暴挙を糾弾する声が高かったが、戦闘が長期化し更にはイスラエルの本格戦闘開始以降は言外にイスラエルの一方的な戦闘終結を望む論調が増えている。
4000年に及ぶ領土・民族・宗教紛争であるので、双方に正義とする部分があり正邪は即断できないが、イスラエル建国以来の和平努力でフェンスで囲まれているとはいえパレスチナ自治区の設立で一応の棲み分け(1国2制度)ができていたように思う。そう考えれば、今回の紛争と人的被害の原因の全ては「力による現状変更」を企図したハマスが負うべきで、イスラエルの執った報復・ハマス絶滅の軍事行動は国家として正当な行動と考えるべきではないだろうか。そう考えれば一部識者の云う「ジェノサイド行為、イスラエルからの一方的停戦」は、原因を作ったハマスのテロ攻撃を容認することに他ならないと思う。
戦後80年戦争被害を経験していない日本人であれば、イスラエル非難にはガザ地区の人的被害が想像を絶することに加え判官贔屓の国民性によるものであるだろうが、イスラエル国民は自国民の被害に対して加害者に懲罰を与えてくれる国家・政権であることを幸せに思っているのではないだろうか。国の体面を損なう外威に対しても遺憾砲を打つだけの日本、果たしてどちらが国家として正しいのだろうか。
ハマスの越境テロ攻撃にUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の職員12人が関与したことも報じられた。
旧聞に属するが、韓国人の国連事務総長の潘基文氏が現職中に中国の抗日戦勝利記念行事に参列した際、「国連(事務総長)は公正であっても中立である必要は無い」と述べたことがある。
未だ日本では国連神話が根強く残っているが、尖閣・台湾有事の際に果たして国連は如何なる対応をするのだろうか。