ウクライナでの戦闘は依然として続いているが、ウクライナの必死の抵抗によってロシアの進撃速度が鈍ってきたともされている。
昨日のブログで「劈頭のミサイル攻撃でウクライナの指揮管制システムは壊滅」と書いたが、昨夜来の情報では指揮管制システムは維持されており、ウクライナ軍は依然として組織的戦闘可能な状態と伝えられている。混乱した状態における大本営発表が必ずしも額面通りではないことを割り引いても、ウクライナ国民の自己犠牲を伴う継戦力に敬意を捧げたいと思う。
国連安保理で、日本も共同提案国となった80か国提出の「ロシア非難決議」が採決され、15理事国のうちロシアは拒否権を発動し、中国・インド・UAEが棄権した。中露の対応は予想通りとしても、近年Quadに参加して印度太平洋における中華覇権阻止に踏み切った経緯と対パキスタン・スリランカを思うと、インドの棄権は予想外であった。
常任理事国が当事者の紛争に対する国連の無力は云ううまでもないことであるが、今回の採決結果から複雑な国際関係の現実を思い知らされた感が深い。
G7を中心とした主要な対露経済制裁についてみると、プーチン大統領・ラブロフ外相の個人資産凍結、SWIFTからのロシア排除が主なものであるが、ドイツは米国の反対を押し切って開通を推進していたロシアとのガスパイプライン「ノルドストリーム2」の承認手続き停止した。国内の電力・燃料事情の逼迫にも拘わらず制裁に踏み切ったドイツの姿勢は見習う必要があるように思う。
経済に暗いので的外れかもしれないが、個人資産の凍結やSWIFTからのロシア除外は実効性があるのだろうか。パナマ文書で明らかになったことであるが、正当な決済手続きのほかにバミューダ諸島、プエルトリコ島、ケイマン諸島などの「タックスヘイブン」による商取引や決済は、世界貿易の半分以上にも及び、世界のタックスヘイブンに保管されている資産は世界のGDPの約3分の1(32兆米ドル)ともされている。加えて資金流通過程や個人情報の秘匿性は高く、個人資産凍結とされたプーチン氏などは西側が把握している数倍の資産を秘密に守られた口座に保管しているだろうことは想像に難くない。昨日も書いたところであるが、国連決議に基づく北朝鮮制裁における韓国・中国の例を見るまでもなく、経済制裁については掟破りをする国家・企業が存在するのは常識で、まして今回の対露制裁は国連決議でもないことから、中国などは大手を振ってロシア支援に回るだろう。そうなれば、ロシアやプーチン氏は左程の痛手を被ることもないように思える。
対露制裁については自分にも少なからぬ影響があるのかもしれないが、昨日来、もし台湾・尖閣諸島に対して中国が同様の手段に訴えた場合、自分は何ができるだろうかと考えている。銃を執るのは吝かでないが、視力が0.1以下に落ちていることを思えば使い物にならないだろうし、後方支援部隊に志願しても耳が遠くなった今では電話番すら務まらない。精々壮丁諸氏の邪魔にならないように逼塞することくらいしかできそうにないと暗澹たる思いである。。
年は取りたくないものである。