もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

イギリス議会と枝野立民党

2019年03月31日 | 野党

 イギリス議会の混迷と枝野幸男代表の政治手法を考えた。

 昨日(5月30日)、イギリス下院がEU離脱合意案を否決(3度目)したことに対するEU及びEU加盟国の動向が報じられた。EUのトゥスク大統領は対応を協議する臨時首脳会議を4月10日に開催として含みを残したものの欧州委員会は「合意なき離脱やむなし」としており、ドイツ、フランス、オランダは一様にイギリスの迷走に対する不信感を露わにしている。特にドイツの外相が「離脱通告から2年経っても秩序だった離脱策で一致できないのは、誰にも理解できない」というコメントは他山の石として記憶にとどめる必要があると思う。イギリス議会が「決められない混迷状態」にあることは、議会制民主主義と議院内閣制の弱点を象徴しているものと考える。議院内閣制では行政府(内閣)は立法府に従属することを余儀なくされ、議会の承認なくしては国策を決めることができない。議会には国民投票でのEU離脱という民意がある一方で、選挙(在留外国人にも参政権があることに注目)結果も民意とする残留派議員が多数存在していることから、議会での混迷は当初から予想されていた。しかしながら、議会は離脱合意案を否決する一方で、離脱中止を含む7つの代替案の全てをも否決しており、彼らが何処に向かおうとしているのか自分のような素人には理解できないところである。日本ではイギリスをヨーロッパの一員と考えているが、イギリスの国民性と歴史を眺めると、ドーバー海峡を挟んだ別の国とみる必要があるのではないだろうか。イギリスは14~15世紀の百年戦争・ばら戦争でフランスと戦い、スペインとは海上覇権と植民地をかけて争い、ドイツからはロンドンにV,V2ロケット弾の雨を浴びせられている。EU加盟についてもフランスのド・ゴールの反対で20年間以上もEC(欧州共同体)加盟を見送られ、1973年のオイルショックによる欧州再建機運によって漸く加盟が認められた新参であるが、統一通貨(ユーロ)の導入は一貫して拒み続けていたという歴史がある。このことから、怨念に縛られ孤高のイギリスを望む高齢者や富裕層は離脱を主張し、過去にさほど捉われない若年層、低所得者層、在留外国人は残留を望むという背景もあるのではないだろうか。

 決められないイギリス議会に似たような事例が報じられた。それは衆院憲法審査会に対する立憲民主党の対応である。審査会の開催については与野党の筆頭幹事間で3月中旬開催で調整が行われていたが、立憲民主党指導部は開催断固拒否の態度で、辻元国対委員長は野党筆頭幹事に対して「与党からの電話にも出るな・メールも返信するな」という頑なさであると報じられている。イギリス議会は百家争鳴で決められないが、立憲民主党は「決めたくない・やりたくない」ための沈黙戦術、同じ決められない状態であるが、イギリスのほうがまだマシに見えるのだが。


カープ白星発進+イギリスの合意なき離脱

2019年03月30日 | カープ・スポーツ

 新陛下と新元号下のペナントレースが始まり、我等のカープが白星発進した。

 「プロ野球ニュース」で20人以上のプロ野球解説者が開陳した順位予想では、優勝は巨人、カープはAクラス確保が大勢を占めていたが、初戦では巨人の菅野投手を攻略(本塁打による1点だけではあるが)し、大瀬良投手が巨人打線を8回零封して快勝した。先の解説者の大方が、「丸(佳浩)の抜けたセンターはカバーできるが、丸の3番はカバーできない」と述べていたが、試合を見る限り解説者の慧眼に同意せざるを得ないと感じた。センターの守備には野間選手が充てられ、昨季の丸選手欠場時に示した実績もあり予想通りの守備力を発揮した。3番に起用された西川選手は内野から外野手にコンバートされ守備の不安を忘れて打撃に専念することができるため昨季以上の打棒を期待したが、やはり打席の迫力という点では丸選手に見劣りがするものと感じた。西川選手の打撃如何が後に続く鈴木誠也選手や5番打者(昨日は松山龍平選手)の打撃にも大きく影響することから、更なる奮起を期待したい。一方、小園内野手、島内投手、坂倉捕手が開幕1軍を果たして確実な若返りの兆しを見せていることも心強い限りであるとともに、プリンス堂林選手も内野手登録されており一安心。今季巨人にFA移籍した丸佳浩選手は、古巣相手の初戦に力んだか4三振と大瀬良投手に手もなく捻られたが、ダッグアウトを間違えなかったことで良しとしよう。野球選手にとっては長く苦しいペナントレースの始まりであるが、自分にとっては楽しみな半面、妻とのチャンネル権争奪戦と、深夜のプロ野球ニュースまで起きていなければならない半年と、内心をよぎる不安を押し隠してカープの4連覇を願う半年の始まりである。

 本口説を書きながらテレビを聴いていると、イギリス下院がメイ政権のEU離脱協定案に3度目の否決をしたことが耳に入った。EUが受諾した離脱延長は2週間であり、現在の状態では4月12日の期限までに有効な解決策を見出すことは不可能とみられていることから、イギリスの合意なき離脱は決定的であろう。イギリス国民は司法と立法の権利を取り戻し移民の制御を獲得した代わりに、関税と物流障害に伴う経済減速に耐え、北アイルランド帰属問題の再燃に心を砕くことを自ら選んだことになる。国家の方針・国是を国民投票というナショナリズムとポピュリズム委だねた結果はどうなるのだろうか。答えは5年後・10年後にしか判らないであろうが。

 


ベネズエラ内戦へ~第2章

2019年03月29日 | 軍事

 ロシアがベネズエラのマドゥロ政権維持のため、100人規模の軍事顧問団を派遣したことが報じられた。

 軍事顧問団は、一般的に「軍事援助の一環として被援助国の軍隊の訓練や育成に従事する」と解されているが、軍事顧問団が持ち込む戦術思想は派遣国の兵器体系で組み立てられたものであるため、必然的に新式兵器・装備の供与・貸与に進む前段階と捉えられている。かってのキューバ危機は、革命を指導したソ連の軍事顧問団の戦術思想に従って対空ミサイルが供与され、さらには米本土を攻撃できる中距離戦術ミサイルが持ち込まれようとしたことに端を発している。ベトナム戦争やシリア内戦についても、紛争初期段階で大国から派遣された軍事顧問団が直接的な軍事介入の引き金となって、紛争の拡大と泥沼化を引き起こしたものと解される。冒頭に顧問団の派遣は軍事援助の一環と書いたが、それ以上に軍事介入さえも辞さないという大国の意思表示とみるべきで、ロシアがベネズエラに持つ権益保護とアメリカへの橋頭堡維持に本気であることを示したものであると考える。ロシアはトランプ大統領が示したINF(中距離戦術核全廃条約)破棄通告を好機と捉え、失敗に終わったキューバ危機を再現してカリブ海の覇権とアメリカの牽制という2兎を狙った行動と観るのが妥当であろう。現在アメリカは、ベネズエラに対して経済制裁、グアイド暫定大統領支持表明、民間レベルの人道支援という行動に留まっているが、ロシアの軍事顧問団の派遣に対してトランプ大統領が「ロシアをベネズエラから去らせるために全ての選択肢が可能」と表明したことから、民兵組織への武器供与は確実に行われるであろうし、経済締め付け強化やロシアからの武器搬入阻止のための海上封鎖等に発展というキューバ危機の再来すら予想される。ベネズエラ情勢は、政情不安~軍事援助~軍事介入~内戦(代理戦争)という見慣れた図式を辿ろうとしており、現在は第2章の状態であろうと思うが、国連安保理に拒否権を持つ2国の直接的な確執・代理戦争であれば、国連の調停や影響力の行使は期待できない。シリアを含む中東情勢については、ゴラン高原の領有支持とエルサレムの首都認知という手段でイスラエルを薬籠中に入れて均衡を図ることで良しとしたトランプ政権も、カリブ海に刺さった「喉元の骨」は許容できないもので、先のコメントも舌戦以上の過激な対応さえも辞さない決意と観るのが正確ではないだろうか。

 以上のシナリオは常識的な見方であるが、大統領選挙に絡む捜査が終了して「シロ」と判定されたもののの、トランプ大統領には「拭いきれない対ロ疑惑」が現在も燻っている。このことから、漫画的ではあるが『ロシアが軍事顧問団を派遣してアメリカを脅迫~アメリカが強硬手段をとる~ロシアが顧問団を撤収して痛み分けの情勢を作る~トランプ大統領はロシア疑惑を払拭・再選』というような密約シナリオも考えておかなければならない。いずれにせよ、ベネズエラを巡る米ロの駆け引きは、世界平和時計の針を進めることは間違いのないことだろう。


アイヌ新法とアイヌ民族を学ぶ

2019年03月28日 | 歴史

 政府が今国会で成立を目指しているアイヌ新法、特にアイヌ民族とアイヌ差別の実態について全く知らないので勉強した。

 アイヌ新法(案)提出の背景は、2008年以降に国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して「アイヌ民族と琉球民族を先住民族と公的に認め、文化・生活様式・土地・天然資源に対する権利を保障するよう」、複数回にわたって勧告したことが発端であるが、政府は「アイヌ民族は先住民として認めるが、琉球民族は存在しない」を正式見解としていると理解した。その延長上に準備されたアイヌ新法案では「アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化が置かれている状況に鑑み、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及および啓発を図るための施策を推進することにより、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り、あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的とする」とされており、アイヌ文化の維持と振興のための交付金(アイヌ文化の継承や振興を目的として市町村が行う事業は政府負担)制度創設、祭具として使用する林産物の国有林での採取や、河川での伝統的なサケ漁の許可等が盛り込まれており、具体的には博物館の建設等が模索されているようであるが、個人の財産権の保障・補償は盛り込まれていない。アイヌ民族とはどのような民族だろうかと調べてみると諸説あるようであるが、《南方系の縄文人、北方系の弥生人という「二重構造説」で知られる埴原和郎氏が唱えた「アイヌも和人も縄文人を基盤として成立した集団で共通の祖先を持つが、本土人は、在来の縄文人が弥生時代に大陸から渡来した人々と混血することで成立した一方、アイヌは混血せず、縄文人がほとんどそのまま小進化をして成立した。アイヌは大和民族に追われて本州から逃げ出した人々ではなく、縄文時代以来から北海道に住んでいた人々の子孫》というのが定説であるらしい。一方、アイヌ民族は現在何人いるのだろうかと調べてみると全く分からないが、既に純粋なアイヌ人や純粋にアイヌ人の生活様式で暮らす人は存在していないのは明白で、アイヌ族とされるのは2013年に北海道が実施した「アイヌ生活実態調査」で66市町村に16,786人というのが唯一の数字らしきものであった。北海道アイヌ協会にあっても、会員の要件は①アイヌの系譜を持つ人②系譜を持つ人の配偶者③系譜を持つ人の養子の3点で、系譜を持つかどうかは戸籍に基づいて協会が認定しているとしているが、自民党の青山繁晴参院議員が伝聞によるとしながらも「北海道アイヌ協会員で本当にアイヌの血を引く方は2割くらいしかいない」と発言しているように、会員の中には外国人・左翼活動家・明らかな補償目当ての人、等が混在しており、純粋な少数民族の代弁機関ではない一面をも有しているようである。アイヌ民族の定義が曖昧・未確定な状況であるが、言語学的には東北地方に残る”マタギ”や””イタコ”もアイヌ語に由来するとされることから、北海道アイヌ協会の定義を借りるならばアイヌ民族の系譜ははるかに拡大してアイヌ民族は優に百万人を超えるものではないだろうかと思える。

 文字を持たない被抑圧民族の歴史を検証することはともかく、現在におけるアイヌ民族迫害の事実は知ることができなかったが、地域社会では村八分やいじめがあったであろうことは想像に難くない。アイヌ新法が『アイヌ民族が胸を張ってアイヌ民族と主張できる社会の創生』に寄与するものであるとともに、アイヌ民族が朝鮮族のような”物貰い民族”に堕落しないようにアイデンティティを高く維持し続けて欲しいと願うものである。

 昨日の口説で、新元号発表を5月1日と書いてしまいました。まさに汗顔の至りでありますが『ヤヤ痴呆』に免じて御容赦を!。


新元号と赤松広隆衆院副議長

2019年03月27日 | 野党

 今上陛下の譲位に伴う皇太子殿下の即位儀式と新しい元号が世情を賑わしている。

 今上陛下の即位は昭和天皇の薨去・葬送という弔事と並行で実施されたが、今回の新天皇即位は慶事のみであるために華やいだ空気で行われるものと思う。即位に伴う全ての諸行事を国家行事とすべきと考える自分としては不本意ながら国家行事と皇室行事の線引きも終わり、話題の中心は新元号に移っている。新元号に関する政府の発表では、元号選定委員の構成(氏名は将来ともに秘匿)や新元号発表の手順が明らかにされ、改元の諸準備は粛々と行われているものと思う。しかしながら、ここにきて赤松広隆衆院副議長から思いもよらぬ不協和音が発せられた。政府の計画では選定委員の提案は5月1日に閣議に報告され、3権の長に報告ののち閣議決定したものを官房長官が発表する手順である。その際、発表前に新元号が漏れることを防ぐために、3権の長は閣議が行われる首相官邸に缶詰めとされ、電話の使用を禁止して携帯電話も取り上げることとなっている。赤松氏が異論を唱たとの報道に対して、一瞬「天皇制や元号制に対する思想的」なものかと思ったが真相は「缶詰めと電話・携帯の禁止に反対」と聞いて唖然とした。国民的な行事にも1時間程度の我慢ができない幼児性は、流石に「何でも反対する社会党」の末裔・老闘士としての面目躍如の感がある。副議長は議長と同じ処遇を得ているが、憲法・慣習の順守や立法府の長としての識見に関しても議長と同等であって欲しいものである。下種な勘繰りで言わせてもらえるならば、農水大臣として口蹄疫問題に対処した際の尊大かつ責任逃れの言動と不手際な顛末批判にも、恬として自己の正当性を主張する独善性、まさに三つ子の魂の見本とされる存在である。不遇な境遇から一転して栄光を得た人間が、意趣返し的な報復行動を採ることは一般的であり、韓国の大統領の代替わり毎に繰り返される積弊清算は夙に有名である。

 赤松氏は、党勢挽回のホープと期待され党の要的な職に在りながら沈みゆく社会党(社民党)を見捨てて民主党/立民党と華麗なる転身の果てに3権の長にまで上り詰め、まさに位人臣を極めた後に辿り着いた主張が「1時間の我慢」に集約されるのかと思えば、そこはかとない無常を感じる。折しも桜咲き誇る時期、赤松氏の散り際が見事であることを祈るものである。