もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

目出度さも

2024年12月30日 | 自白

 貧富・貴賤の別なく時間だけは平等で、自分にも暮が来て・新年が訪れようとしている。
 晩年になって漸く安住の地と妻子に恵まれた小林一茶は諦観と満足の狭間で「目出度さもちう位也おらが春」と詠んだ。
 さて、自分は何と詠めば良いのかと考えたが、自分の才能と人間性が世間水準に遠く及ばないという諦観.達観は数十年前に持ったが、身過ぎでは終の棲家が有り、邪険ではあるが妻がいて、終末の面倒見を過度には期待できないものの子供がいて、お年玉の増額を虎視眈々と策動する孫がいての境遇であれば、「目出度さは最低ラインかおらが春」とでもするのが適当であるように思う。

 これから、子供に引率されての「コストコ買い出し」に同道するよう命じられている。
 世間並みに忙しいことを演出するために、本ブログは明日より正月休みとさせて頂きます。


日本学術会議の改革に思う

2024年12月29日 | 社会・政治問題

 漸くに日本学術会議の改組・改編が動き出した。

 学術会議の改組・改編は、2020年に新会員として内閣府に推薦した法律・歴史学者ら6人を菅義偉首相が拒否したことによって、会議運営の不透明さが明るみに出て広く知られることになった。
 本日の産経新聞で唐木英明・東大名誉教授が《会議は設立当初から共産党の影響力が強い。全体的には中道派会員の方が多いが、彼等(共産党シンパ)の声が大きく軍事研究忌避声明もその声の大きさの影響だろう》とコメントされている。そんな会員にとっては、推薦する後任者を政府が無条件に任命するこれまでの方式は願ってもないことで、浮上した改組案にも有識者の審査は入るものの後任者推薦方式は温存されていることを観ると、彼等の声の大きさと抵抗派の侮りがたい勢力が窺える。とすれば、今回の改組案もイデオロギーを廃したナショナルアカデミーへの脱皮には程遠い物であるように思う。
 現在、最先端技術の開発で日本は大きく取り残されている。その原因の一つが日本学術会議の軍事研究忌避であることは多くの人が認めている。かっては、軍事技術が民需品の進化を牽引することが一般的であったが、軍需・民需の線引きが極めて難しくなった今、民需品開発と信じた研究者ですら、その成果が形を変えて思いも寄らない兵器に取り込まれ結果的に軍事研究に結び付く危険性を感じているだろう。
 同じ紙面で、中国が次世代ステルス戦闘機の初飛行に成功したと報じられている。それには、日本の学者が参加した中国製造25の技術成果が反映されていないだろうか。

 自分はこれまでに、優秀な識見・知見を有しているはずの会議がコロナ蔓延時に何らの提言も成し得ないこと、軍事研究忌避を声明する一方で中国製造25に肩入れする姿勢などから、日本学術会議不要を唱えていたが、科学者の純粋な知見を以て国策に提言する仕組みは近代国家としては必要であるらしいので、不要論は捨てることにした。
 突けば必ずに蛇が出てくる中国発のコロナウィルス、中国共産党肝いりの中国製造25施策。日本学術会議会員の好悪を如実に物語る素材であったように思えるが、新会議はどのような材料をどう料理して我々の前に出してくれるのだろうか。


ヒグマの生態を学ぶ

2024年12月28日 | 世相・世論

 本ブログでOSO18に関する思いや佐竹秋田県知事の”熊送る”発言を題材とした。

 採り溜めた録画中”アナザーストリー”で、エゾヒグマの生態についての動物学者の解説を知ることができた。1学者の主張する説には多くの異論があるのが一般的であるので、その解説が学会でどの程度支持されているのかは不明であるが、無学の自分にもナルホドと思えるものであった。
 番組によると、ヒグマは雑食性とされるが北海道のヒグマは明治初期まではエゾシカなどを補食する肉食系雑食であり、消化器官も肉食に近い構造であるそう、明治以降の北海道開拓に伴う入植者がエゾシカ等を乱獲したために、それ以降は已む無く草食系雑食に移行したそうである。また、ヒグマは母親の採餌行動を継承するために、母親にエゾシカ・家畜・人間の補食経験が無いと子供もそれらを餌として認識しないらしい。昭和初期に道北で2・3年周期で襲撃の時刻や方法、遺体の運搬方法が同じ人喰熊が出現したが、原因としては母熊が土葬死体を食べて人間が餌であることを学んで人喰熊となり、それを継承した子熊が成獣となり人喰熊になるという連鎖の結果であろうと推論されていた。
 OSO18は60頭以上もの家畜に危害を加えたが人間は襲わなかったことも、何らかの原因で家畜は餌であるとは認識したものの人間は餌と云う認識が無かったのかもしれない。
 先日のブログでは、OSO18が雑食系から肉食系になったという動物学者の意見に「たかだか百年で雑食動物が肉食動物に進化(変化)するのは疑問」と書いたのは自分の早とちりで、OSO18はヒグマ本来の食性・採餌行動に戻った(先祖返り)というのが正解であるらしい。

 秋田県が公開した抗議メールに「熊を送るなら送れ。野蛮人の秋田県人と違う自分は立派に共生してやる」と住所もないままに書かれている。しかしながら、番組に出演している動物学者や札幌市の担当者からは、エゾヒグマの生態から考えると人間と共生することは不可能で、それぞれのエリアを区切って共存することが精一杯であろうと述べられていた。
 上記抗議者のように動物可愛さのあまりに、野生動物にまでペットと同じ地位を広げようとする人がいるが、「やはり野に置け蓮華草(注)」ではないだろうか。

(注)「やはり野に置け蓮華草」のネット解説
 播磨(兵庫県)の俳人滝野瓢水が、遊女を身請けしようとした友人を諫めた句「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」に由来し、自然の中で咲く蓮華草が美しいのと同じように、遊女は色町にいてこそ美しく見えるという意味。


石破論法に思う

2024年12月27日 | 与党

 先日、問合せしたいことがあって区役所窓口に赴いた。

 応対は親切であったが、仕組み・手続き・理由の説明があった後に「基準に合致せず却下」を告げられた。
 以前、海自では民間と異なり「質問には結論だけを答え、重ねて理由を尋ねられた場合にのみ背景や考えを答える」と書いたことがあるが、この遣り方で窓口応対すれば「不愛想」「お上目線」「市民の窮状に寄り添っていない」と誹られ「喧嘩別れ」になるだろうことから、先人の案出した民間話法が今に引き継がれていることを漸くに実感した。
 臨時国会の総括の一つに、弱体政権が論戦を乗り切れた立役者に石破総理の「ねばねば話法」が挙げられている。
 本朝の産経新聞には、総理の「ねばねば多用」がデータを添えて報じられているので要約すると。昭和22年の第1回国会以降の議事録を検索すると、「ねば表現」は約6万回使用されているが、4%に当る2065件を石破委員/総理が使用しているらしい。立民幹部からも、「冒頭の正論部分は聞き入ってしまうが、質問には殆ど答えていない」「初めに結論を言って正論は後から言って」とのボヤキ・苛立ちも併せて報じられている。ちなみに、比較対象として挙げられている歴代総理の「ねばねば」使用回数は、田中角栄氏95件、安倍晋三氏27件、岸田文雄氏7件、小泉純一郎氏5件であるとされている。
 史実とは異なるらしいが、大東亜戦争シンガポール攻略戦の降伏会議で後に「マレーの虎」と称される猛将山下奉文大将が、降伏条件を挙げる敵将パーシバル中将に机を叩いて「イエスかノーか」と居丈高に迫ったとされる。日露戦争の旅順攻囲戦で攻撃軍の第三軍司令官・乃木希典大将と旅順要塞司令官ステッセル中将の間で行われた水師営会見では、ステッセル中将が乃木大将に子息の戦死を悼んだりアラブ産の白馬を贈るなど、落ち着いた雰囲気であったともされる。
 ここまで書いて、なるほど会話にはTPOに配慮することが必要であり、特にOccasion(場合、機会)が重要なのかと遅ればせながら合点した。

 今国会では、補正予算と実質的な効果が期待できない政治資金規正法改正の審議以外に重要案件はなかったために、相手を煙に巻く「石破話法」で論戦で乗り切れたが、来る通常国会では外交、安全保障、憲法と重要案件の対応を求められる。特に外交姿勢や安全保障に関しては、国会内や国民に対する以上に外国への影響も考慮しなければならないので、不得要領に終始して論的を煙に巻く石破話法が外国に誤って伝えられる危険性があるのではと危惧している。

 


EEZ内のブイ設置に思う

2024年12月26日 | 中国

 沖縄県与那国島の南170kmのEEZ内に、中国のブイが設置されていることが報じられた。

 ブイには、中国気象局、福建海洋気象浮標と記されており、中国の公的ブイであることは間違いない様に思う。
 訪中している岩屋外相は王毅外相に撤去を要求したと表明しているものの、これまでのブイについても中国が応じたことは無いので、今回も頬被りされることは間違いのなところだろう。
 このブイに限らず、EEZ内に設置した外国の建造物は撤去できないのであろうかとの疑問が湧く。他国のEEZ内で無断で海洋調査を行うのは明確な国連海洋法条約違反であることを思えば、日本が強制撤去を行えるのではないだろうか。
 今回のブイには海洋気象浮標と書かれて、海洋気象データの採取と装ってはいるものの、設置位置から潜水艦探知のための施設であることは間違いない様にも思われる。強制撤去が不可能ならば、せめて日米が持っている中国潜水艦の音紋を大出力ハイドロフォンで流し続けるくらいの対抗・妨害措置は執ってもらいたいものである。
 武力による台湾統一を公言している中国にあっては、自国の空母を始めとする侵攻艦艇防護と米国の台湾来援に制約を加えるためには、米海軍の攻撃潜水艦を探知・制圧することが大前提としてあることを思えば、今回のブイについては早急に手当てする必要があるように思える。
 日本では、個人の権利が国公益以上であるとの認識が定着してしまったために、違法建築物はおろか放置されて近隣住民に被害が及びかねない建造物すら強制撤去できない。複数回の大災害の教訓から漸くに公道に放置された自動車を強制撤去できるよう改善が図られたが、有事における自衛隊員の戦闘行動に伴う私有地への立ち入りなどは、未整備の状態と理解している。玉城知事や佐竹知事の言動を見る限り、最悪のケースでは国道以外の県道や市町村道に戦車が侵入することを拒否する事態も起こり得る。
 自国民に対する姿勢が及び腰である行政が、他国、それも強大な中国には更に及び腰にならざるを得ないし、石破総理を筆頭に中国チャイルドが政権中枢に巣食う現状では、今回のブイ設置に対しても遺憾砲以外の対応は期待できないが。

 海洋における中国の横暴・不法行為は常態化しているが、先日バルト海で海底ケーブル2本が切断された際には、中国の貨物船が錨を引きずって意図的に切断したとの疑いの下にNATOの複数の軍艦が1週間以上も貨物船を包囲して監視・尋問を行っている。
 このまま、中国に舐められたままで良いのだろうか。遣隋(唐)使派遣の歴史を除いて中国とは友好関係を保ったことは無い。過去もそうであったように、将来に亘っても永遠に尊大な漢人・中国と友邦関係を築けることは無いだろうことを、我々は考える必要があるように思う。。