IPS細胞によるアルツハイマー病の治験が開始されると報道された。
まず、治験とは医療現場でどの段階を言うのだろうかと調べてみた。厚労省の定義によると「人に対する試験を一般に「臨床試験」といい、国の承認を得るための成績を集める臨床試験は特に「治験」と呼ぶ」とされていることを知った。今回は5人に対して治験を行うとされているが、満足できる結果となった場合でも国に承認申請するのにはさらに多くの治験が必要なのだろうと思えば、健康保険が適用されるアルツハイマー治療法として確立されるのはまだまだ先のことと思われる。他の病気では心臓病と眼病が臨床研究の段階とも報じられているが、今回のアルツハイマー治験が成功して他の疾病の再生医療をも加速させることに期待するものである。IPS細胞が”発明?”された時には再生医療は飛躍的に加速し、自分のIPS細胞を作成・保管するIPSバンクも近い将来に出現するだろうと思っていたが、自分が生きている間には夢で終わりそうな現状かとも思う(大富豪の世界では既に個人用のIPS細胞を持っている人もいるかも知れないが)。IPSバンクに関しては、数十万通りあるとされる赤血球と白血球の型の組み合わせのうち、50通り位作って保管しておけば日本人の90%に拒絶反応を局限できるIPS細胞を提供できるとされているので、大多数の国民は市販品のIPS細胞で我慢することとなるのであろうか。
再生医療そのものが神学者の云う”神の領域”であり今後とも多くの紆余曲折が予想されるが、万物を唯一神が創造したとするキリスト教圏が臨床試験に先行していることを考えると、彼等のしたたかさに驚くとともに山中教授の成果拡大のためにも、日本が治験先進国であって欲しいと願うものである。再生医療、孫の代とは言わずせめて子供の世代には確立されて欲しいと願う分野である。