もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

IPS細胞の治験始まる

2018年07月31日 | 社会・政治問題

 IPS細胞によるアルツハイマー病の治験が開始されると報道された。

 まず、治験とは医療現場でどの段階を言うのだろうかと調べてみた。厚労省の定義によると「人に対する試験を一般に「臨床試験」といい、国の承認を得るための成績を集める臨床試験は特に「治験」と呼ぶ」とされていることを知った。今回は5人に対して治験を行うとされているが、満足できる結果となった場合でも国に承認申請するのにはさらに多くの治験が必要なのだろうと思えば、健康保険が適用されるアルツハイマー治療法として確立されるのはまだまだ先のことと思われる。他の病気では心臓病と眼病が臨床研究の段階とも報じられているが、今回のアルツハイマー治験が成功して他の疾病の再生医療をも加速させることに期待するものである。IPS細胞が”発明?”された時には再生医療は飛躍的に加速し、自分のIPS細胞を作成・保管するIPSバンクも近い将来に出現するだろうと思っていたが、自分が生きている間には夢で終わりそうな現状かとも思う(大富豪の世界では既に個人用のIPS細胞を持っている人もいるかも知れないが)。IPSバンクに関しては、数十万通りあるとされる赤血球と白血球の型の組み合わせのうち、50通り位作って保管しておけば日本人の90%に拒絶反応を局限できるIPS細胞を提供できるとされているので、大多数の国民は市販品のIPS細胞で我慢することとなるのであろうか。

 再生医療そのものが神学者の云う”神の領域”であり今後とも多くの紆余曲折が予想されるが、万物を唯一神が創造したとするキリスト教圏が臨床試験に先行していることを考えると、彼等のしたたかさに驚くとともに山中教授の成果拡大のためにも、日本が治験先進国であって欲しいと願うものである。再生医療、の代とは言わずせめて子供の世代には確立されて欲しいと願う分野である。



宗教対立と神道

2018年07月30日 | 歴史

 産経新聞の「正論」欄で、平川祐弘東大名誉教授の主張を読んだ。

 教授は宗教対立の時代こそ「共存」は必要と主張されており、日本人の多くがそうであるように神仏を同時に拝むような姿勢は今こそ必要なのではと述べられているが、1神教であるキリスト教とイスラム教で唯一神が複数存在することなど絶対に認めないであろうことから、それが実現する可能性が無いことには触れられていない。神道とは何であろうかと考えた。神道には出雲系と伊勢系の宗派があるが、拝礼の所作が異なる程度で差異は無い。なぜなら神道には教義・教典が無く、唯一の教義らしきものは「罰が当たる」と云う事だけのように思えるが、何をすれば罰が当たるのかは個人の内なる規範に委ねられているために、時代時代によって神罰を受ける対象は変化したものと思う。仏教が言う輪廻転生の哲学や解脱に至るための修法強制もなく、1神教に見られる排他性もないことこそ神道の神髄であり、日本人が等しく持っているものではないだろうか。1神教については、それぞれの預言者が神と対話したことが原点とされているが、預言を教義として紙に書いたときから、本来宗教が持つべき内なる規範から絶対的な社会規範に変質して、その自縄自縛の結果が現在の宗教対立の原因になっていると思う。

 窮屈な教義を忌避し他者の主張(異文明)に寛容という日本人の神道的な精神構造と神道が絶対的な社会規範でなかったことが、明治維新の原動力となり大東亜戦争後の復興を成し遂げたものと思う。反面、異文化への攻撃を非とする信条が、”Noと云えない日本人”を生んだともいえるのではないだろうか。功罪併せ持つ神道について再考・再発見することが必要と思う。


行政区割りと住民サービス

2018年07月29日 | 与党

 総務省の有識者研究会が自治体改革についての報告書をまとめたと報じられている。

 報告では、人口減少と高齢率増加に対しても現行の住民サービスを維持するために、個々の市町村が全分野の施策を行う「フルセット主義」と「都道府県と市町村の2重構造」の見直し、複数の市町村で構成する「圏域」を行政主体とするとともに都道府県が弱小の市町村の機能を補助する、ことを提言しているそうである。しかしながら、平成の大合併によって大部分の町村が近傍の市に吸収された結果、かっての「郡」がそっくり「市」に姿を変えて広大な面積を持つ行政区割りが珍しくない現状から考えれば、これ以上の圏域を行政の最小単位とするのは無理ではないだろうかと思うところである。大規模な行政区割りでは予算規模や職員数は大きくなり、これまで行えなかったサービスを行うことや職員の有効活用等は図られるであろうが、小さな行政区割りであったからこそ行えたきめ細かなサ-ビスは期待できなくなり、全国的に問題視されている大都市生活者と地方生活者の福利格差が姿を変えて、市や圏域の内部で顕在化するのではないだろうかと思うところである。過疎地域の小さな自治体では防災無線等の機能を拡大活用して独居老人の安全確認を行っている等の施策が行われていることが報道されているが、行政区域が拡大すればそのような稠密なサービスは経済的・技術的に困難になることは避けられないと思う。少子化・高齢化問題の展望を考えるとき、サービスを受ける側の変化については考えるものの、サービスを提供する側については現行の体制が維持されることを前提にしているが、少子化による労働人口の減少はサービスの提供側にも影響するもので、お役所等が所要の人員を確保できなくなる日も近いと思われ、既に福祉関係の業種では深刻な人手不足に陥っていると報じられている。

 少子化・高齢化社会における自治体改革のデザインであり、門外漢の自分にはなんとない先行き不安は感じるもののその適否は断言できないものの、自分を管理する直接的な行政組織の改革であり、どのような変化にも対応できる「脳力」は維持しておかなければと思った報道である。それとも逸早く呆けてしまう方が楽なのかな・・・・?


翁長沖縄県知事の延命策に思う

2018年07月28日 | 野党

 翁長沖縄県知事が、普天間基地機能の辺野古移設反対に向けて新たな動きを見せている。

 辺野古基地新設のための埋め立てに対して、環境保全措置が不十分との理由から前知事が承認した周辺海域の埋め立て承認を撤回する手続きを開始するとしたもので、先の名護市長選で破綻を露呈したオール沖縄の政治基盤回復を企図しているものと思われる。普天間基地周辺住民の危険性軽減を目指して取り組んだ基地機能の一部移転は、在沖米軍基地撤去という最善ではあるが実現不可能な策に代わり、実現可能な次善の策として国と沖縄県が辿り着いたものであると認識している。沖縄県民の賛否が拮抗していることは県知事選や名護市長選で容認派・反対派が交互に勝利していることからも承知している。地方自治体の首長に課せられた最大の責務は地域住民の安寧であるが、そこには「あくまで権限の範囲内で」との制約があると思う。現に翁長知事が行った数々の異議申し立てや工事差し止め命令はことごとく「知事の裁量を超える越権行為」との司法判断が下されており、今回の埋め立て承認撤回も住民の意志よりも政治的なパフォーマンスを重視したものとの域を出ないと思わざるを得ない。お隣の韓国では積弊清算として前政権を全否定して支持率を維持するのが一般的であるが、翁長知事も県政とオール沖縄の延命を最大目標としているかに思える。翁長知事の行政区域内の尖閣諸島は中国の膨張政策・領土欲の最前線に立たされているが、従前から報じられているように何らの意志表示をしていないことも気になるところである。

 こうして県知事の行動によって辺野古移設工事が遅延する今も普天間基地周辺住民の不安は残されたままになっている(尖閣周辺の漁業関係者も同じ)ものと思う。信条に陶酔して一種のトランス状態にある翁長知事には、地域住民の切実な思いは見えていないもののようである。


トランプ大統領の白人絶対主義

2018年07月27日 | アメリカ

 アメリカとEU間の関税摩擦が、緩和される方向に動き出した。

 EUが米国産農産物(大豆)の輸入を拡大する代わりにアメリカは欧州産自動車の輸入関税を撤廃するとともに、鉄鋼関税措置によって生じた関税障壁の撤廃に向けて検討することで双方が合意したものである。G20やG7の場でアメリカの保護貿易に関して明確な反対を決議出来なかったことに対するEUの功績を認めた論功行賞であるかもしれないし、欧州産高級自動車の価格高騰を懸念する中産階級と農産品の輸出不振にあえぐ農家への救済措置であるかもしれなが、自分としてはトランプ大統領の抜き難い白人絶対主義の匂いを感じるものである。EUが大国アメリカの圧力に負けて、集団的自由貿易の枠組よりもアメリカとの2国間自由貿易(FTA)の道を選択した背景にも、EUにおける白人社会維持を優先した気配が濃厚である。おそらく次にはカナダやオーストラリア・ニュージーランドともFTA交渉が加速するであろうし、そうなればTPP11は発効すらできなくなることも懸念される。トランプ大統領の外交政策を鳥瞰すれば、ニューディール政策で自国を防衛しつつ満州問題を利用したABCD包囲網で日本(黄色人種)の伸張を挫こうとした大東亜戦争誘発前夜に近い様相を見せているように思われる。今回の貿易摩擦では、黄色人種の代表として中国がターゲットとされているように思うが、トランプ大統領の世界観に照らせば日本も中国と同じ黄色人種として全幅の信頼は置かれていないものと思うべきである。北朝鮮の非核化に対しても、アメリカ本土攻撃さえ防止できれば良しとして、アジア内での限定的な紛争はむしろアメリカの軍需産業維持のために必要と考えているのかもしれない。

 トランプ大統領は近年まれな暴挙を地球規模で展開しているにも拘らず国内では50%を超える支持率を得ており、そこには白人優位社会回帰を希むアメリカが確実に存在していると思う。EU諸国での極右政党の急伸も同じものであろうが、今は騒動の元凶であるトランプ大統領の任期切れと中国バブルの崩壊を待つしか路は無いように思う。