もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

沖縄県知事のコロナ感染に思う

2022年06月29日 | コロナ

 玉城デニー沖縄県知事が武漢コロナに感染したことが報じられた。

 記事は1段の所謂ベタ記事であるが、タイトルと内容を並べて「?」と思った。
 タイトルは「3回接種済みの沖縄知事が陽性」となっているが、些か本末転倒の感がする。県知事が感染していることが報道価値を持つのは、感染によって引き起こされるかもしれない「自治体首長としての業務の停滞懸念」からであると思うが、タイトルからは「3回ワクチン接種した人も感染」にウェートが掛けられているように思える。
 昨今、ワクチン接種者の感染が報告され、なおかつ感染率においては未接種者と大差ないことがデータ的にも明らかとなっていることから、ワクチン接種無効果論的な主張を目にする機会が増えている。自分の理解しているところでは、ワクチン接種作業の広報においては、「接種は感染を防ぐものではなく重症化や発症予防の効果しかない」、「接種後も感染予防についてはマスク・手洗い・3密回避の徹底」であったと理解しているが、長引くコロナ禍と熱中症予防のための「マスク外し」もあってか、何時しかワクチンの効能理解が様変わりしているかのようである。
 記事を読むと沖縄県知事も、近親者の濃厚接触者としてのPCR検査で陽性が判明したものでコロナ自体は無症状とされているので、ワクチン接種は期待通りの効果を挙げているように思える。
 マス・メディアは、読者・視聴者の利便性のために内容を凝縮したタイトルを付けるが、何時しか記事やサイトに「引き付ける」若しくは「おびき寄せる」ものに変化しているように思う。センセーショナル、ショッキングなタイトルに惹かれて記事を読んだりリンク先に辿り付くと、タイトルとは似ても似つかぬものであることもしばしばで、時によっては危険なサイトである場合もある。

 新聞に掲載されるテレビの番組表が全紙掲載になって久しいが、ラテ蘭の「遂に発見!徳川埋蔵金」「開かずの金庫からお宝ザクザク」に何度騙されたことか。
”騙される方が悪い”という編集者のしたり顔が目に浮かぶが、ゴシップ紙(誌)ならばともかく、せめて全国紙の編集者くらいはニュースの本質を凝縮した見出し作りに精進して欲しいものである。
 本朝に配布された参院選挙公報を見ると、ここにも徳川埋蔵金オンパレードであるが、選挙公報通りの人が選良となっているのであれば、日本は今よりももっと素晴らしい国となり世界中の称賛・憧れを得られる国であるように思える。
 立候補者にお願い。「どうか、志操・公約の割引率も同時に記載して!!」


猛暑予報

2022年06月27日 | 社会・政治問題

 本日も猛暑が予想され、「電力逼迫注意報」が発令されている。

 これまでの電力逼迫と云えば夏の甲子園大会決勝戦前後が定番であったが、注意報が6月下旬に発令されたことを考えれば、今年の盛夏時には計画停電まで覚悟しておかなければならないように思える。
 注意報発令に伴って事業者・一般家庭を問わず電力使用者に対して節電が呼びかけられているが、節電努力による効果は限定的で一時凌ぎの手段に過ぎない。電力逼迫の原因は主として原発の停止であり、かねてから予想されていたことであるが、電力逼迫の現状に対して脱原発を主張する人からの意見は伝えられていない。
 繰り返し書いて来たことであるが、政府の「コスト等検証委員会」の資料でも再生可能エネルギーの発電コストは補完発電機能の保持を含めると原発や化石燃料発電よりも割高で、天候の影響を受けないために日本では有効とされる地熱発電のコストは原発の4倍近いものとなっている。
 我々は、過去10年にわたって「再エネ賦課金」を支払って、その拡大を支援して(させられて)きたが、再生可能エネルギの比率が一向に向上しないのは、事業者が利益を見込めないためであろうと思っている。無料・無尽蔵の太陽光等を利用するとは云え、電力変換器の整備、発電素子の定期的な交換等を含めた長期的なランニング・コストは既存の発電コストと同等で、将来的に求められるであろう送電網の保守整備負担増を考えればに事業者にとって旨味の薄い分野であるのだろう。
 ちなみに、一般家庭向けの従量制供給の再エネ賦課金は、2022年4月までは1か月の使用電力量(kWh)に賦課金(3.36円)を掛けて算出されており、資源エネルギー庁の発表によると、2019年度の家庭用電気料金のうち再エネ賦課金が占める割合は約11%とされている。

 さらに憂うべきは、脱原発の旗振り役である立憲民主党にあっても今回の参院選公約には、近年の国政選挙公約に踊っていた「原発」の文字は見当たらず、わずかに「2050年省エネ60%※・再エネ電気100%を実現」とあるのみで、政治家にとって脱原発の掛け声は高邁な人類愛に基づいたものではなく、単なる「耳触りの良い集票コピー」であったのかと鼻白む思いがする。
 昨日の司法判断に類するものであるが、裁判官が阿蘇カルデラを産んだ大規模噴火、未発見の活断層の存在、等々の理由で原発の稼働を差し止めていることにも「過大な”0”リスク追求」ではとの疑問を持っている。

 新しい発見を一つ。昨年までは設定したこともない「通産省が推奨するエアコン28℃」に設定してみたが、歳のせいであろうか我慢できるものであることを知った。
 老夫婦の1部屋冷房を28℃に設定しても、猛暑注意報への貢献は「雀の涙」にも届かぬ「蟻/ウィルスの涙」であろうが、コロナ禍のマスク同様の奉公と考えることにした。


アメリカの人工中絶違憲判断に思う

2022年06月26日 | アメリカ

 米国連邦最高裁は、1973年の「ロー対ウェード判決」によって50年間に亘って合憲とされていた人工中絶を覆して、違憲とする判断を示した。

 アメリカの人工中絶論争は、人道・人権・人種・宗教の要素が複雑に交差する根深い問題で、特に宗教における相違は国民分断の一要素ともされている。人工中絶の是非については置くとして、違憲・合憲それぞれの判断を下した判事のコメントは他山の石とすべき示唆があるように思った。
 違憲とした判事は「憲法は中絶について何も触れていない。憲法に従い中絶問題は米国民に選ばれた代表に返す時だ」、合憲とした判事(最高裁長官)は「中絶の権利無効化にまで踏みこむ判断は司法制度に重大な動揺を与える」)としている。このことは、司法判断の基準は「憲法(法律)に規定されているか否か」だけで、国民が望むならば、国民(立法)が憲法を変えなければならないという、極めて常識的なものであるように思える。

 立憲民主党の泉代表は、外国人記者クラブでの各党首揃い踏みの場で「安保関連法のうち憲法違反の疑いがある個所の廃止」を訴えたが、自民党の岸田総裁から「どの個所が憲法違反か」と質問されて立往生したとされる。もともと日本国憲法には国防に関しての記載がなく、国是とされている「専守防衛」にしても国際慣習法的な自衛権という概念を後付け借用したものに過ぎないので、憲法規定が無い以上、安全保障関連法に対する合憲・違憲は論拠を持たないものに思える。
 また、泉代表は長野県で開かれた立憲民主党の国政報告会で、支持者の女性から「憲法を改正して自衛隊を明記する必要があるのでは」と問われ、絶句したとも伝えられている。
 以上のことを鳥瞰的に眺めれば、国民は、戦力不保持を謳った憲法堅持ならば自衛隊・安保関連法の廃止を訴えるべきであり、戦力である自衛隊を容認した国土防衛を容認するならば、憲法改正をも主張しなければならない、と思っているように感じられる。
 「戦力不保持憲法を堅持したうえで、戦力による防衛を求める」という破綻した論理は、果たして賢明な有権者の心を捉えるものだろうか。

 日本の最高裁でも、基地訴訟等に関して「自衛隊の存在に関する適否は司法の権限が及ばない」として判断を避けているのは、今回のアメリカ連邦最高裁の判断と軌を一にするものであるように思う。
 国民(代表=国会)が憲法を作り・改正して、司法がその厳格な遵守と執行を監視することが、法治国家の基本であると思うのだが。


自衛艦乗員の投票

2022年06月25日 | 自衛隊

 参院選たけなわであるが、本日は乗員の投票についての懐旧談である。

 艦艇乗員は、母港停泊中は一般と同じように投票所で投票する。現役時代は投票開始が0800時であったために、0745までに帰艦しなければならない当直勤務者は投票できないことになるので、投票日当日に限っては帰艦時刻が延長されていたが、そうなると艦での無料朝食が採れないことになった。当時の呉港周辺には、1軒だけ早朝からやっている小さな一膳飯屋があり、いつもは早出の工員さんが利用する程度であったが投票日当日は投票して帰艦する自衛官で商売大繁盛、自分も普段の艦内喫食では味わえない新鮮な雰囲気を味わったものである。
 投票日当日に行動が予定されている場合は艦ごとに纏まって不在者投票を行ったが、1個護衛隊ともなれば有権者も3・400人に上り、当時の方法は記入した投票用紙を封密するためにその資材・手間だけでも選挙管理委員会には相当な負担になったことだろう。さらには、不在者投票所は概ね市役所に1か所だけに開設されていたために、投票する側でも1日仕事であった。
 抜き打ち解散等によって不在者投票ができない状態にあっては、若年隊員の頃は棄権を余儀なくされたが、その後、艦艇でも選挙管理委員指定のうえ投票所を設置して投票できるように改善された。しかしながら、この場合も投票用紙は出港前に配布を受けたり、航空便で輸送されたりと間に合ったものの、選挙公報は間に合わずに通報された候補者名だけで投票しなければならない場合もあった。
 かっての投票はこのような状況であったので、艦艇乗員の投票率は相当に高かったのではと思っている。纏まっての不在者投票や艦内投票所での投票率は100%で、一般投票所での投票に関しても棄権した場合は何時しか班長の耳に入って小言を言われたので、敢て愚を犯す乗員はいなかった。

 現在、世界的に投票率の低下が懸念されており、各国では棄権者に罰則を設けたり、投票者に何らかの恩恵・恩賞(エサ)を与えることで投票率の改善を目指している。低投票率は日本でも顕著で、本朝のTVでも投票者に割引する飲食店が紹介されていたが、国政選挙ですら50%内外の投票率であることを考えれば、罰則制度も考えなければならないのではないだろうかと危惧している。
 政治に期待が持てないから投票所に足を向けないと公言する人がいる。
 我が選挙区では定員5名に対して22名の立候補者がいる。広報未着の状態であるので略歴だけから推測するに、支援組織もなく300万円の供託金も没収されるであろう候補者も散見されるが、それでも行動する人がいる。
 どちらが、国民・社会人としてのあるべき姿かは改めて問うことも要しないと思うが、300万円不如意で行動できない自分を含め、少なくとも投票だけはしなければと思う。
 投票の際には、改憲勢力に清き1票を!!。


参院選公示迫る

2022年06月21日 | 社会・政治問題

 明22日に参院選が公示される。

 現在のところ、改選125名に対して540名弱の立候補が見込まれるが、無風選挙とは言えない様相を呈して、これまでの選挙戦術が通用しなくなる契機となる国政選挙になるのではと思っている。
 今回選挙の争点は、憲法改正、安全保障(対GDP2%防衛費)、物価対策であると思うが、それらに対する選挙戦術を考えてみた。
 従来の国政選挙では、主面切って憲法改正を主張するのは維新くらいで、憲法改正を主導すべき自民党にあっても党の公約に掲げた憲法改正を訴えるのは、当選が確実視される一部議員に限られ、革新色の強い選挙区で戦う自民党候補者は、選挙ポスターから憲法に拘わる記述を削除したり街頭演説でも憲法問題は封印する戦術を採るケースが多いと報じられていた。しかしながら、ウクライナ事変を契機とした世界情勢の激変に触発されて覚醒した有権者は、これまでのように憲法を直視しない鵺的候補者に対しては懐疑的な目を向けるように変化しているのではないだろうか。
 安全保障に関しては、ウクライナ事変によって専守防衛が本土決戦で、内実は劈頭における一般市民の少なからぬ犠牲を余儀なくされる戦略であることが示され、国民の意識も大きく変化したと思っている。反撃能力を持たない戦力は抑止力として働かない現実を目の当たりにした有権者は、徒な1%堅持論には共感しないように思える。
 景気対策のうち、一部政党が掲げる時限的な5%への消費減税にあっても、提唱者の立民泉代表すら認める(口ごもる)ように次世代への負担先送りに他ならないように思える。

 憲法論議の封印、従来の専守防衛戦略堅持、小手先の景気対策等の多くが、次世代への負担先送りに過ぎないことが理解されつつある現状では、これまでのように国民に負担を求めずに、あれもこれも差し上げますという選挙戦術では有権者の心を掴むに至らないように思える。
 かって、毛沢東率いる中国共産党は、「ズボンをはけなくても核兵器を」をスローガンに掲げ、紆余曲折はあったものの中華覇権を唱え得る中国建設の礎を築いた。
 諸事に停滞する日本にあっても、正面切って国民の負担増を求めるとともに、国民負担によって生まれる未来像を明示する選挙戦術に変化しなければならない時代になっているように思っているが、果たして各候補者の選挙運動や如何に。