もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

オミクロンと熊のプーさん

2021年11月30日 | 中国

 中国コロナの新たな変異株が南アで見つかり、Ο(オミクロン)株と呼称されると聞いた。

 オミクロン株は、感染力が強く空気感染する疑いもあり、加えて感染者の殆どがブレイクスルー感染とされていることから、現在のワクチンを突破する危険性が懸念される等、インド由来のδ(デルタ)株を凌ぐ強敵と観られている。
 政府は直ちに、全世界からの入国を禁止する水際対策を発動したが、既に18か国での感染例が報告されていることと潜伏期間を併せ考えれば日本での発症も時間の問題に思える。
 WHOの変異株命名基準では、今回の変異株はΝ(ニュー)であるが、Nと次のΞ(クサイ)を飛ばしてOとしたことについてWHOは、ニューは英語のnewと紛らわしく、クサイは「一般的な姓である」と説明している。そういえば「クサイ」はアフリカのマラソン選手にもいたので有り得べき判断かとも思ったが、海外メディアはクサイの英語表記「XI」が習近平氏の「習(シー)」読みに通じるためと深読み?している。
 熊のプーさんまで習近平氏を連想させるとして禁止したお国柄で、かつ習主席を毛沢東・鄧小平に並ぶ歴史的神格化に邁進している現状を考えれば、自国発のコロナの最強変異株を「習株」と呼ばれる皮肉は我慢できない物であり何らかの働きかけをしたと観るのが正解かとも思う。
 熊のプーさんと云えば、NBLのスター選手が女子プロテニス選手の彭帥氏の救済と北京五輪ボイコットを訴えて、プーさんをデザインしたシューズを履いているそうである。選手団の派遣を含む完全ボイコットする国は無いものの、既に政府関係者を派遣しない外交的ボイコットは米英加豪の4ヶ国が表明している。日本も政府関係者の派遣について検討中としていることに対して、中国は「東京五輪開会に出席した中国への返礼としての信義を守れ」と迫っているが、中国人が「信義」を口にするのはジョークと受け取るべきだろう。

 トランプ氏からは「中国の代弁者」と酷評されたWHOのテドロス事務局長は、無投票で来期も事務局長に留まると観られているために、中国のWHO支配は向こう5年間は保証された格好で、トランプ氏が去った今、国際機関から中国の影を薄れさせる試みは急速に力を失っている。
 不遜な人でなし主張を書くならば、中国コロナの「XI(シー)]株で北京五輪が頓挫する天の配剤を見たかった。


立民党首選 大詰め

2021年11月29日 | 野党

 立憲民主党の代表選が大詰めを迎えたが、盛り上がりに欠けている。

 後任総理に直結する自民党総裁選とは比べるべくも無いが、野党第1党の代表選にも関わらず報道も低調であることについて考えてみた。
 枝野代表の辞任が今回の衆院選敗北の責任を取る形であることを考えれば、枝野執行部が衆院選の選挙戦術を誤りであったと自ら認めたことに他ならないが、4人の立候補者は一様に「共産党との協力関係を見直す」とはするものの、解消までは言及しない。この一事からも、代表選は形ばかりの物で枝野院政確立の布石・一着・茶番であるとしか思えない。
 また、4候補による公開討論会では、政権を窺う政党であれば当然に論戦の大半を費やすであろう「外交・安全保障」は論戦の10%強であったとされ、特に、多くの識者が指摘する立民の外交・安全保障に関する公約「日米同盟を基軸」と「安保地位協定の見直し」という二律背反については誰も触れず、かつ討論後の記者会見でも不得要領であったとされている。
 今回の選挙での敗北の主因は、比例選での敗北であるとされており、選挙区選挙では自公対立候補者が立共共闘者であったことから已む無く彼等に投票した有権者も、国政を立民に付託することを躊躇して、維新や国民民主に投票したためであると思われる。このことは、中朝の脅威を実感している有権者に対して何等の実効的な方策を提示し得ない政党が力を失うことを示しており、過去に学べば、「平和憲法と国連憲章の理念に盲従し、対話による万国共生」を掲げた社会(社民)党が民心を失った例がある。
 軍門に下った国以外とは共通語を持たない中国・北朝鮮に対しては、恫喝に屈して共通語を求めるか、対立して共生するかしか道は無いと思っているが、枝野政権誕生のコアとなるべき立民支持者ですら、枝野立民の「丸裸でアメリカの傘を出て』「幼児的な対話共生」に日本を置くことが非現実的であることを理解したためと思っている。

 立民代表選の4候補者を眺めると、いずれも小物感に満ち溢れているように思える。枝野氏と側近にとっては院政を敷く上で「神輿に乗るのは軽い方がいい」という派閥人選によるものかとも思うが、外交・安全保障は二の次で「モリ・カケ」こそ国家の一大事という蕎麦屋感覚で、憲法論議を拒絶し、予算委員会でも安易に週刊誌報道を読み聞かせることに活路を見出してきた不勉強の結果であるようにも思える。
 4候補は、通常国会早々にも「中国のウイグル族弾圧非難決議に同調する」としてイメージ回復を図るとしているが、院を仕切る枝野法皇の御裁可は得られるのだろうかと興味深々である。


AIと文明

2021年11月18日 | 科学

 ネットで識学総研なるコラム記事を読んだ。

 内容は、インド出身の16歳の天才少年タンメイ・バクシ氏が「AIとは人間の創造力・独創力を再現するものではなく、あくまで人間の知能を拡張する「拡張知能」と呼ぶべき」と指摘したというものである。
 現在、様々な現場でAIが導入され将来的には人間にとって代わるかも知れないとまで期待されているが、バクシ氏は「AIは人間の頭には入りきれない記憶力や、人間の頭では追いつかない速さの計算力を製品にしただけのもので、人間の知能を拡張した機械」に過ぎないとしているそうである。
 この機械が人間の機能を拡張するツールであるとする考えは、既に1964年にマーシャル・マクルーハン氏が「メディア論」で主張しているもので、「文明は人間機能を拡張するために進化するもので」
 ・自動車は足の拡張=人間の足では不可能な距離を移動できるようになった。
 ・ナイフは歯の拡張=人間の歯では噛みきれないような硬いものを切れるようになった。
 ・ラジオは耳の拡張=人間の耳では聞こえないはずの距離にある音を聞くことができるようになった、
としているそうである。
 バクシ少年は、さらに「AIでは地動説は生まれない」と述べ、「コンピューター(AI)で天動説は間違いだと指摘することは可能であるが、そこから地動説というアイデアを出すことは不可能」とし、もしガリレオの時代に今のようなAIが存在したとしても
 ・ガリレオが、地動説を証明するためのデータをAIに吹き込む。
 ・宗教者も聖書全文・解釈まで含めてAIに吹き込む。
 ・そのため「どちらから教えられたことにも従順」であるAIは、どちらが正しいのか解決できない。と例示しているそうである。
 現在の将棋界では、大多数の棋士はAIに勝てないとされているが、今回の竜王戦で勝者の藤井九段が放った勝負手はAIが予想もしなかった一手であったとされている。このことは、藤井九段にはAIが持ち得ない「対局者や周囲の状況までも含んだ大局観」があり「直観力・独創力」が有り、何よりも「負けてもいいからこの手を指したい」という人間性があったということではないだろうか。
 別々のAIソフトで対局すれば、ソフト開発者の優劣に従って勝敗はつくだろうが、同じソフトで戦わせれば、必ず先手番が勝つか千日手になるように思える。

 これまで「AIって何?」と思っていたが、何やら得心のいく主張であるように思えた。
 疲れを知らない、文句を言わない、単純ミスをしない、仕事が早い、・・・。AIの強点は数多く挙げられ、更には学習機能で自ら学ぶとされているが、やはりAIはプログラマーが最初に与えてルールの延長でしか機能しないのではないだろうか。


共闘選挙の勝者

2021年11月16日 | 野党

 今次の総選挙における野党共闘で隠れた勝者が存在していることを知った。

 勝者は議席を減らした共産党で、その理由が選挙後にあっても共産党が野党共闘の成果・正当性を主張し続ける傍証の一つかとも推測できる。
 これまで共産党は、候補者の当選や共産党支持者の受け皿となること以上に、党勢の現状と共産主義の浸透度を知ることを重視して全選挙区に候補者を擁立してきたが、今回の総選挙では野党共闘のために多くの選挙区で立候補を取りやめた。
 公職選挙法では、立候補者は届け出前に供託所(法務局・地方法務局)に所定の金額(現金や国債)を供託しなければならないとされ、衆院選では小選挙区300万円、比例単独600万円、比例重複300万円であるので、概ね立候補者は600万円を供託する必要がある。恭太菌の没収について比例区は難解であるが、選挙区では有効投票総数の10分の1以上を獲得すれば全額返還されるものの、それ以下だと没収される。更には供託金没収点を下回った場合は、公営選挙として公費負担の対象である「選挙カー使用料」、「はがき・ビラの作成費」、「看板・ポスター等の作成費」等が自費となる。
 これまでの例では、地方選挙区における共産党候補者の大半が供託金を没収されていることから、好事家の試算では共産党の供託金や選挙費用の持ち出しは10億円に達するとされているが、選挙協力による立候補取りやめで共産党の節約額は6億円とされている。
 政党活動費の大半を「しんぶん赤旗」の購読料で賄えるために政党助成金の受け取りを拒否している共産党であるが、日曜版等を含めての赤旗発行部数はピークだった1980年の355万部から漸減して現在では100万部を割りこんだとされ、懐事情は以前ほどではなく政党助成金を受け取るのも時間の問題とまでされている。そんな状況では国政選挙はもとより、知事選300万円~町村議会議員選15万円の供託金や選挙費用の自弁を免れる選挙協力は共産党にとって極めて魅力的であるだろうし、宣伝巧者の共産党は、選挙ポスターや看板に「共産党」の文字を無料で掲載できる好機を今後とも手放す気にはなれないだろう。

 泡沫・売名候補の乱立防止のために始まった供託金制度、公費支弁の選挙用はがきやポスターシールを横流しする事例から設けられた供託金没収者に対する選挙費用の自弁は、止むを得ないように思える。
 ちなみに、世界の供託金事情は、韓国国会議員選の135万円を筆頭に平均すれば20万円内外であるが、米・仏・独・伊などは供託金制度が無いとされている。こうしてみると、供託金の有無や額は、選挙に関する真剣度、当選後の使命感、有権者の民度と逆比例しているのかも知れない。


商業捕鯨の現状を学ぶ

2021年11月15日 | 社会・政治問題

 今年の商業捕鯨の終了が報じられたので、商業捕鯨の現状を勉強した。

 日本の捕獲枠は、100年間商業捕鯨を継続しても鯨の資源量に影響を与えない保守的な捕獲数として、ミンククジラ171頭、ニタリクジラ187頭、イワシクジラ25頭の計383頭と設定されている。
 本年度における鯨の捕獲可能数も合計383頭で、内訳は捕獲枠295頭、水産庁留保分51頭、混獲数37頭となっており、商業捕鯨で捕ることができる鯨は295頭と思われる。混獲数とは捕鯨目的以外の刺し網や定置網に鯨が掛かる(過去5年の平均値)ことに備えたもので、この数字が37頭を越えれば捕獲枠295頭から差し引かれる。水産庁留保分とは、調査捕鯨や捕獲統計のバッファとして留保されている物かと推測している。
 更に、商業捕鯨の捕獲枠295頭を種別で見るとミンククジラ120頭、ニタリクジラ150頭、イワシクジラ25頭となっている。
 また、上記以外のゴンドウクジラやイルカ等の小型鯨類の沿岸商業捕鯨についても、種別ごとに捕獲の基地・漁区・捕獲量が細かく設定されており、国際的に注目されるイルカの追い込み漁につぃては、和歌山県の太地町と静岡県の伊東市富戸のみ許可されているが、富戸では2004年以降の捕獲実績がないとなっている。
 商業捕鯨は母船式捕鯨業及び小型捕鯨業に分けられ、母船式捕鯨業の最大手は共同船舶株式会社(本社:東京、資本金5千万円)で、所有船舶は、捕鯨母船「日新丸(8145㌧)」と、キャッチャーボート3隻「第1~第3勇新丸(742㌧)」となっている。
 14日に報じられた捕鯨母船「日新丸」の下関港入港では、商業捕鯨再開後に初めて下関港で生肉が荷揚げされることも併せ報じられている。共同船舶によると「今回の生肉は、北海道の根室沖で11月8日に捕獲した大型のイワシクジラのメス(体長約15メートル、体重約29トン)の生肉で、最高級部位の「尾の身」など1.4㌧」で16日に市場で競りにかけられるという。一般的に捕獲したクジラ肉は、母船に積み込まれて解体・冷凍されるが、生肉は一度も冷凍せずに氷温冷蔵することで旨みが増すという。

 生肉は、これまで漁場から近い仙台港や気仙沼港に陸揚げされていたが、条件さえ整えば九州などでも生肉を手にできるようになるのかも知れないので、捕鯨業の前途は揚々ではないものの決して暗いものでは無いだろう。
 大衆魚の漁獲量が激減している現在、大衆魚⇒鯨食に変化した場合にも捕鯨のノウハウを継承・伝承していることは大きいと思える。
 頑張れ、捕鯨業。