北朝鮮が1月に6回のミサイル発射を行い、既に実験の域を超えて実戦配備したミサイルの発射訓練の様相を呈している。
発射されたミサイルも、極超音速ミサイル、長距離巡航ミサイルと多様化し、27日の発射はグアムを射程内とするIRBM「火星12」をロフテッド軌道で発射し、最高飛翔高度が2000~3000㎞とされているので、日本の防空能力では迎撃不可能とされている。
また、発射の兆候の把握を困難にするための秘匿性なども着実に向上しているとされているので、北朝鮮の核ミサイルを前にして日本は、お手上げの現状であるように思われる。
そんな背景を受けて、政府がこれまでにない非難を表明したと報じられたのでは調べてみたが、松野官房長官は「烈度の高い弾道ミサイル発射は、関連する国連安全保障理事会決議に違反する」と述べているが、単に「発射回数が多い」ことを「烈度」という耳慣れない語句で述べただけで、非難の度合いは何ら変わっていないものであった。
岸防衛大臣は折に触れて、「(弾道ミサイルを相手国の領域内で阻止するため)敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討]」と繰り返し述べているが、世論・国会議員ともに関心は低すぎるように思える。
与党の一角をなす公明党は、山口代表「発射されたミサイルに関する情報収集や探知を迅速、正確に行えるよう努める必要がある」
立憲民主党は長妻政調会長が党のHPで「わが国及び地域の平和と安全を決定的に損ねる暴挙であり、断固抗議・非難する。今回の発射も、累次の国連安保理決議に明白に違反しているだけでなく、これまで国際社会が繰り返し表明してきた強固な意志への明確な挑戦であり、断じて容認できない。わが国政府は、強固な日米同盟を背景に冷静に外交力を発揮し、韓国や中国等とも密接に連携して圧力を強め、北朝鮮に対する厳しい制裁を実効あるものとするために全力を挙げるべきである。また政府は、警戒監視、情報収集を継続するとともに、今回の発射に関して、国民の安全確保や情報伝達、落下地点付近を航行中の船舶や航空機に対する警報発出などに問題がなかったかを検証し、万全を尽くすよう求める。」としている。
両者の主張を平易に言い換えれば、『ミサイル発射には断固抗議しますが、わが党は『専守防衛を墨守してミサイルを迎撃できない体制を鋭意作ってきましたが、着弾地点だけは正確にお知らせできます。不幸にして着弾地にお住まいの方は、従容として運命に殉じて下さい』となるものである。
長妻政調会長の「韓国や中国等とも密接に連携して圧力を強め」という認識にも疑問である。
中国に関して言えば、昨年までは一応北朝鮮の行動に「国連決議に違反・遺憾」の意を込めたコメントを発表していたが、今年に入っては「米国・西側の自制を求める」と変化していることを考えれば、北の抑止に来たと同腹である中国の協力が得られるなど不可能であることは明白である。
唯一中国を介して北朝鮮の攻撃目標から日本を除外することができるのは、日米安保を破棄して日本が中国の衛星国になった場合だけであろうと推測するが、長妻議員”如何に”