もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

北朝鮮のミサイル連射に思う

2022年01月31日 | 軍事

 北朝鮮が1月に6回のミサイル発射を行い、既に実験の域を超えて実戦配備したミサイルの発射訓練の様相を呈している。

 発射されたミサイルも、極超音速ミサイル、長距離巡航ミサイルと多様化し、27日の発射はグアムを射程内とするIRBM「火星12」をロフテッド軌道で発射し、最高飛翔高度が2000~3000㎞とされているので、日本の防空能力では迎撃不可能とされている。
 また、発射の兆候の把握を困難にするための秘匿性なども着実に向上しているとされているので、北朝鮮の核ミサイルを前にして日本は、お手上げの現状であるように思われる。
 そんな背景を受けて、政府がこれまでにない非難を表明したと報じられたのでは調べてみたが、松野官房長官は「烈度の高い弾道ミサイル発射は、関連する国連安全保障理事会決議に違反する」と述べているが、単に「発射回数が多い」ことを「烈度」という耳慣れない語句で述べただけで、非難の度合いは何ら変わっていないものであった。
 岸防衛大臣は折に触れて、「(弾道ミサイルを相手国の領域内で阻止するため)敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討]」と繰り返し述べているが、世論・国会議員ともに関心は低すぎるように思える。
 与党の一角をなす公明党は、山口代表「発射されたミサイルに関する情報収集や探知を迅速、正確に行えるよう努める必要がある」
 立憲民主党は長妻政調会長が党のHPで「わが国及び地域の平和と安全を決定的に損ねる暴挙であり、断固抗議・非難する。今回の発射も、累次の国連安保理決議に明白に違反しているだけでなく、これまで国際社会が繰り返し表明してきた強固な意志への明確な挑戦であり、断じて容認できない。わが国政府は、強固な日米同盟を背景に冷静に外交力を発揮し、韓国や中国等とも密接に連携して圧力を強め、北朝鮮に対する厳しい制裁を実効あるものとするために全力を挙げるべきである。また政府は、警戒監視、情報収集を継続するとともに、今回の発射に関して、国民の安全確保や情報伝達、落下地点付近を航行中の船舶や航空機に対する警報発出などに問題がなかったかを検証し、万全を尽くすよう求める。」としている。
 両者の主張を平易に言い換えれば、『ミサイル発射には断固抗議しますが、わが党は『専守防衛を墨守してミサイルを迎撃できない体制を鋭意作ってきましたが、着弾地点だけは正確にお知らせできます。不幸にして着弾地にお住まいの方は、従容として運命に殉じて下さい』となるものである。

 長妻政調会長の「韓国や中国等とも密接に連携して圧力を強め」という認識にも疑問である。
 中国に関して言えば、昨年までは一応北朝鮮の行動に「国連決議に違反・遺憾」の意を込めたコメントを発表していたが、今年に入っては「米国・西側の自制を求める」と変化していることを考えれば、北の抑止に来たと同腹である中国の協力が得られるなど不可能であることは明白である。
 唯一中国を介して北朝鮮の攻撃目標から日本を除外することができるのは、日米安保を破棄して日本が中国の衛星国になった場合だけであろうと推測するが、長妻議員”如何に”


星野哲郎氏と「なみだ船」

2022年01月30日 | 芸能

 作詞家の星野哲郎氏(1925(大正14)年-2010(平成22)年に対する讃歌である。

 山口県柳井市沖合の屋代島(現・周防大島町)に生まれ、1946(昭和21)年に清水高等商船学校(現・東京海洋大学)を卒業し、日魯漁業(現・マルハニチロ)に入社して遠洋漁船の乗組員となるが、腎臓結核のために下船、腎臓を摘出して郷里での闘病生活を余儀なくされる。
 闘病中に作詞を勉強し、1958(昭和33)年「横浜開港100年祭記念イベント」に応募した「浜っ子マドロス」が1位となり、このイベント審査員をしていた船村徹に誘われる形で上京し音楽活動を本格化する。その後、星野・船村はゴールデン・コンビとなって、数多くの名曲を世に送り出している。
 星野氏の実体験をベースにした独特の世界観は「星野節」と称され、演歌を中心に4000曲以上の詩を送り出しているが、演歌以外にもスリー・キャッツの「黄色いさくらんぼ(曲・浜口庫之助」などの作詞も手掛けている。また「星野哲郎」以外にも、有田めぐむ・阿里あさみ・菅野さほ子・橘真弓・古木花江・高原美湖・くぬぎ文平・金井さち子など多くのペンネームで、星野演歌とは一線を画す作風の詩も発表している。
 星野氏は、自分の作品を演歌とは呼ばずに、遠くにありて歌う「遠歌」、人との出会いを歌う「縁歌」、人を励ます「援歌」などと称していたそうで、「歌詞は出だしの2行で決まる」を信念としていたとされるが、その真骨頂が「なみだ船(北島三郎)」と「みだれ髪(美空ひばり)」ではないかと思っている。
 北島三郎の出世作(事実上のデビュー曲)である「なみだ船(曲・船村徹)」は、1962(昭和37)年に発表されたが、冒頭の2行は「涙の終わりの一滴 ゴムのカッパにしみとおる・・・」で、大方の人やワークマンの高性能カッが当然の世代には通じないだろうが、当時のゴムカッパは5㎏近い重量があるものの、防水性・通気性が悪く、10分程度の洋上作業で汐水に塗れた感触であった。
 美空ひばりの復帰第一作である「みだれ髪(曲・船村徹)」では、「春は二重に巻いた帯 三重に巻いても余る秋・・・」として、恋やつれの半年間を2行に凝縮描写している。

 「なみだ船」を知ったのは、坂出港に停泊中であった。一杯飲み屋で覚えた「なみだ船」を、タクシー代など無いために塩田沿いの道を歩きながら歌って帰艦したことを今でも懐かしく思い出す。
 また、星野氏の故郷である屋代島は、昭和18年に戦艦「陸奥」が爆沈した柱島泊地の一部であるが、星野氏は商船学校在学中であったことから目撃はされていないだろうと推測している。屋代島沖合は海自艦艇もたびたび錨泊する場所で、かっては、錨泊した艦に漁船が名産のミカンを積んで売りに来たことものである。

 最後に、前述以外の詩の一部を紹介すれば、
〇小林旭:自動車ショー歌、昔の名前で出ています
〇真木ことみ:北の一番船、さよならの駅、十年坂(曲・原譲二(北島三郎)
〇鳥羽一郎:兄弟船


佐渡金山の申請-2

2022年01月29日 | 歴史

 先日のブログで、佐渡金山の世界文化遺産登録申請について書いた。

 当時は、政府が申請見送りの方向との報道に接して、岸田政権の弱腰を非難するものであったが、観測から一転して昨日岸田総理が申請することを発表した。
 また申請に伴って激化するであろう韓国の反撃に対しては、歴史戦のために各省庁を横断するタスクフォースを準備することも併せて表明した。政府の態度が一転した背景には、国家観について正論を述べるために党内右派(タカ派)と称される安倍元総理や高市政調会長を始めとする議員の存在が指摘される一方で、申請見送りは外務省官僚の意であったらしいとも報じられた。
 外務省が主導する日本の外交、特に中韓外交を振り返れば、まさに連戦連敗の有様で常に中韓の後塵を拝しているように感じられる。唯一イニシアティブを執った感があるのは、徴用工問題に対する対韓輸出管理の厳格化くらいで、それすらも安倍総理の政治判断であったとされている。
 関が原で圧倒的な軍事力を有する豊臣方(西軍)が敗れた原因の一つに、有職故実に長けていることだけで西軍の幕僚長兼外務大臣であった織田有楽斎の存在・戦略判断が指摘される。
 現在の日本は、そこそこの経済力と軍事力を持ちながら、外務官僚の判断は常に中韓の鼻息を窺い、鼻息に怯える有様に見える。外務省は大公使は外交のプロしか務まらないとするが、内実は外務省OBの名誉職的受け皿と化し、外交言辞と儀礼にのみ長けている「有楽斎」に留まっているのではないだろうか。

 聊か手垢に塗れた感がある往年の「等方位外交」から未だに抜け出せない様子で、退嬰的な事勿れ外交に徹する外務省は徹底的な刷新もしくは改編(改変)の必要があるのではないだろうか。
 今回の外務省の判断を見る限り、「外交儀典局」として総務省の下に置くくらいが適当であるように思えるとは言い過ぎであろうか。
 それとも、アメリカ国務省のように、外交のみならず通商や軍事行動にも発言権を有するように権限を強化するのが良いのだろうか。ちなみに、国務長官は合衆国政府の首席閣僚で、大統領継承順位も、副大統領・下院議長・上院仮議長(議長は副大統領が兼務)に次ぐ地位とされていることからも、外交判断が重要視されていることが窺える。


菅直人議員のツイート

2022年01月28日 | 野党

 立憲民主党最高顧問の菅直人議員(元総理)のツイートが話題を呼んでいる。

 ツイートは、「維新の巧みな弁舌はヒットラーを思い起こさせる」としたもので、弁舌巧者の橋下徹氏、維新共同代表の馬場伸幸氏と松井大阪市長、吉村大阪府知事を念頭に置いたものであろうか。
 このツイートに対して、維新は立憲民主党に抗議文を送り付け謝罪を求めているが、立民は沈黙し、当の菅議員は「私宛に抗議文は来ていない。私は別に党の指示で意見を言ったわけじゃない」と開き直っている。
 「イラ菅」と綽名される瞬間湯沸かし器で、過去にも失言・放言の舌禍に事欠かない菅氏であれば深い思念に基づくものではなく、また維新の向けた矛先にも疑義を感じるので、まァ子供の喧嘩と思うべきかもしれないが、些かに考えさせられる事柄を含んでいる。
 他人の人格や事績を古人に比定することは一般的であるが、公人が公党攻撃に「史上稀な事績(悪行)を持つヒットラー」を用いるのは大人の常識ではないように思う。
 また、大臣の失言には総理の・下僚のそれには大臣の・所属議員には総裁の、責任と首を要求することを慣わし・生業としていた立憲民主党が、最高顧問とは云え所属議員の常識外れ失言に「ダンマリ」を決め込むのも不思議である。いや、民主党の最高顧問であった鳩山元総理が韓国で土下座し、クリミヤを訪問してロシア擁護を述べても不問にしていた執行部が看板を架け替えただけの立憲民主党であれば当然とすべきであろうか。
 ネット上の意見を拾い読みすると、菅氏擁護の論調が散見されるが、その多くに「政権または政権に近い人・勢力に対しては何を言ってもよいが、反対のケースは許されない」とのニュアンスが感じられるし、大方のメディアも同様の報道姿勢であるように思えるが、このような二重基準は改められるべきであると思う。

 先に挙げた橋本氏や維新諸氏の弁舌は、理路整然として澱みがない。翻って、自民・立民執行部を始めとする他党議員の言には些かの牽強付会の趣と奥歯に挟まった異物を感じさせることが多い。
 理論明晰・言語不明瞭と揶揄されながらも実績を挙げた大平正芳氏の例もあるが、時代の一大潮流を創出した中野正剛、田中角栄、小泉純一郎各氏は演説・口舌によって大衆の心を掴んだ。
 菅直人氏には「巧言令色鮮矣仁」の意を込めて他党を口撃する前に、過去の失政贖罪を込めて「沈黙は金」と放言を噤むことを勧めるものである。


佐渡金山の世界文化遺産申請

2022年01月27日 | 歴史

 佐渡金山の世界文化遺産登録について勉強した。

 佐渡金山の世界文化遺産登録申請は、2016年頃から取り沙汰されるようになったと記憶しており、昨年には年度内の申請が現実味を帯びていたが、申請期限(2月1日)が近づくにつれて、何やら雲行きが怪しくなって、申請見送りかと観測されている。
 24日の衆院予算員会で、推薦申請を求めている自民党の高市政調会長が申請に対する政府見解を質したが、岸田総理は韓国の主張も念頭に「国際社会で客観的事実に基づく正しい歴史認識が形成され、わが国の基本的立場やこれまでの取り組みに対して正当な評価を受けることを強く求め、いわれなき中傷には毅然と対応していく」、林外相は「韓国への外交的配慮を行うことは全くない。韓国側の独自の主張は、全く受け入れられず、強く申し入れを行った」と答弁するにとどまり、申請するか否かにについて直接答弁していない。末松文科相も21日の記者会見で「現時点で推薦見送りを決定した事実を承知していない。登録を実現する上で何が最も効果的かという観点から総合的な検討を行っている」と、締め切り10日前にも拘わらず禅問答に近い言い回しに終始しているので、永田町の歴史から、政府はもはや申請の延期を決定していると観ている。
 安倍元総理は、韓国の反発に「論戦を避ける形で登録を申請しないのは間違っている。しっかりとファクトベースで反論していくことが大切で、その中で判断して貰いたい」と注文を付けているが、岸田総理を始めとする親中韓執行部は、敢て火中の栗を拾うことはしないだろうし、拾う気構えすら持ち合わせていないように思う。
 韓国が主張する朝鮮人の強制連行・強制労働はあったのだろうかと調べてみた。詳しくは分からないが有志のブログで《大正時代から佐渡鉱山の経営に従事した三菱鉱業株式会社(現在三菱マテリアル)の佐渡鉱山所では、1940年2月から1942年3月までに、1005人の朝鮮人労働者を募集によって集めたという記録が残っており、この期間は、戦時徴用は始まっておらず「募集工」だった。自らの意思で応募した人に「強制」があったはずがない。そして、彼らのうち10人が病気や事故で亡くなり、逃走した者が148人いたという。韓国のメディアはこれをもって「過酷な労働を強制された証拠」だと書くが、15%もの労働者が逃亡できたということは、監視や脱走を防ぐ措置などは執っておらず、まして佐渡は絶海の孤島で、港の船着き場さえ見張っていれば脱走者はすぐに確保できたがはずだが、それさえしなかったということは、最初から去る者は追わず、という姿勢だったのではないか。さらに問題を起して「不良送還」になった者が25人いたという。無理やり「強制連行」してきた者を、不良行為ごときで「強制送還」することなどあり得るのか》と綴られていた。
 軍艦島の朝鮮人労働者に関して明らかにされているように、強制連行などしなくても募集すれば高賃金を求める応募者の選別に腐心する程で、さらには朝鮮人労働者の多くが終戦後も帰国せずに坑内作業に従事したことを考えれば、佐渡金山についても韓国流の歴史・事実の捏造であろうと思う。
 佐渡の相川金山ガイドから聞いたことであるが、江戸時代においては高度の知識・技術を要しない水替え人足の大半は佐渡送りの徒刑囚で、劣悪な作業環境で生きながらえる人は少なく、25歳を迎えると赤飯で祝ったらしい。そのような伝承を下書きにして韓国主張は構築されたものであろう。

 自分は、佐渡金山が世界文化遺産に相応しいかどうか判断できないし、登録することにもあまり興味がない。
 問題とするのは、日本の行動に不確かな根拠で横槍を入れる韓国政府と韓国国情であり、韓国に配慮するとして土俵にすら上がらない日本政府である。
 佐渡金山が文化遺産に相応しいのであれば、正々堂々とユネスコに申請し、正面切って韓国と対決すべきで、もし登録されなかったとしても、日本の主張に耳を傾けてくれる人は増えると思う。
 韓国に打たれっぱなしでゴングを聞くことはあってはならないと思う。
 いつもの主張の繰り返しであるが「同盟者として韓国切るべし」