韓国の文大統領が29日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と会談して北朝鮮訪問を改めて要請したと報じられた。
青瓦台では、「G20首脳会議に参加する主要国のうち韓国・米国の首脳だけが教皇と会談した。教皇を中心に韓米首脳が韓半島問題を共有するという点に意味がある」と手前味噌であるが、南北・米朝首脳会談の道筋を開くために利用できるものは何でも利用しようという形振り構わぬ文大統領の一人芝居であるように思う。また、教皇も北朝鮮からの招請が有れば喜んで訪朝する」と応じたとされるものの、北朝鮮が招請することは考えられないので外交辞令であろうと思う。
教皇の中国訪問については、地下教会を中心に信仰を守っていた中国人信者の救済という使命もあって実現したが、おそらくキリスト者がいないであろう北朝鮮訪問は宣教師としての布教活動以上の意味がないことから、教皇が政治利用されるだけの訪朝を受け容れることは無いように思う。閑話休題。
元韓国大統領の盧泰愚氏が死去し、国葬に準じる国家葬が行われた。
盧泰愚氏は、ソウル五輪を牽引して成功に導き、軍人出身最後の大統領として、ソ連・中国との国交正常化、国連への南北同時加盟を実現する等、近代化と民主化に功績を挙げ、大げさに書けば「韓国中興の祖」としても可笑しくないように思えるが、前任大統領である全斗煥氏のクーデターや光州事件に連座していたことから、後任の金泳三氏の「積弊清算」によって懲役17年、追徴金2688億ウォンを宣告され 1997年に特赦された過去を持っている。
盧泰愚氏の死去に際して、文大統領は形ばかりの弔意を表して国家葬を贈るとしたものの、葬儀日を自分の外遊中に設定して親分廬武鉉氏の無念を晴らす演出を忘れなかった。さらに国家葬に際して弔辞を述べた金富謙首相も形通りに功績を称えたものの「現代史に消せない大きな過ちを犯した」と付け加えて、文大統領の真意を伝達した。
盧泰愚氏は、憂世を離れても安逸な死後を送れるとは限らないように思う。親日家については墓を暴いて再び骨を焼いたり砕いたりする「親日派破墓」の法制化が大真面目に論じられるお国柄であれば、盧泰愚氏も訪日時の天皇陛下との会見を「日皇に拝謁」と解釈変更されて恥辱を与えられることは十分に考えられる。
粘液質で過去の怨念に生きる大韓民国、いや「大蛮民国」と書くべきであろうか。