もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

盧泰愚氏の国家葬に思う

2021年10月31日 | 韓国

 韓国の文大統領が29日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と会談して北朝鮮訪問を改めて要請したと報じられた。

 青瓦台では、「G20首脳会議に参加する主要国のうち韓国・米国の首脳だけが教皇と会談した。教皇を中心に韓米首脳が韓半島問題を共有するという点に意味がある」と手前味噌であるが、南北・米朝首脳会談の道筋を開くために利用できるものは何でも利用しようという形振り構わぬ文大統領の一人芝居であるように思う。また、教皇も北朝鮮からの招請が有れば喜んで訪朝する」と応じたとされるものの、北朝鮮が招請することは考えられないので外交辞令であろうと思う。
 教皇の中国訪問については、地下教会を中心に信仰を守っていた中国人信者の救済という使命もあって実現したが、おそらくキリスト者がいないであろう北朝鮮訪問は宣教師としての布教活動以上の意味がないことから、教皇が政治利用されるだけの訪朝を受け容れることは無いように思う。閑話休題。
 元韓国大統領の盧泰愚氏が死去し、国葬に準じる国家葬が行われた。
 盧泰愚氏は、ソウル五輪を牽引して成功に導き、軍人出身最後の大統領として、ソ連・中国との国交正常化、国連への南北同時加盟を実現する等、近代化と民主化に功績を挙げ、大げさに書けば「韓国中興の祖」としても可笑しくないように思えるが、前任大統領である全斗煥氏のクーデターや光州事件に連座していたことから、後任の金泳三氏の「積弊清算」によって懲役17年、追徴金2688億ウォンを宣告され 1997年に特赦された過去を持っている。
 盧泰愚氏の死去に際して、文大統領は形ばかりの弔意を表して国家葬を贈るとしたものの、葬儀日を自分の外遊中に設定して親分廬武鉉氏の無念を晴らす演出を忘れなかった。さらに国家葬に際して弔辞を述べた金富謙首相も形通りに功績を称えたものの「現代史に消せない大きな過ちを犯した」と付け加えて、文大統領の真意を伝達した。

 盧泰愚氏は、憂世を離れても安逸な死後を送れるとは限らないように思う。親日家については墓を暴いて再び骨を焼いたり砕いたりする「親日派破墓」の法制化が大真面目に論じられるお国柄であれば、盧泰愚氏も訪日時の天皇陛下との会見を「日皇に拝謁」と解釈変更されて恥辱を与えられることは十分に考えられる。
 粘液質で過去の怨念に生きる大韓民国、いや「大蛮民国」と書くべきであろうか。


韓国「聯合ニュース」を学ぶ

2021年10月30日 | 韓国

 韓国通信社の「聯合ニュース」が、韓国の主要ポータルサイロから1か月間の「出禁」処分を受けたことが報じられた。

 処分の理由は「一般記事を装って特定商品・企業を広告(記事型広告)するステルスマーケティング」を行ったもので、判明しているだけでも3月以降の4カ月間で649件に上っているとされている。聯合ニュースの取り分は1件当たり2万3千円と報じられているが、浅はかな行為とする以上に通信社・メディアの信頼性を大きく損なうものであろう。
 初めて知ったことであるが、聯合ニュース社は法律で「国家基幹通信社」に指定されて年間30億円近い公費補助をも受けており、国営若しくは半官半民の通信社であるらしい。
 聯合ニュースがステマによる小銭稼ぎに走った背景は、新聞離れ等によって本来業務である「報道機関への記事売却」だけでは食っていけない現実があるとされている。引かれ者の小唄的匂いもするが、聯合側が「20以上の媒体で我々と同じ記事が300件以上掲載されている」と述べ、さらにはこのニュースを主要紙の殆どが伝えていないことから、多くの韓国メディアが記事型広告によるステマに手を染めているようにも推測できる。
 日本・韓国ともに、記事型広告自体は禁止されていないものの、ステルスマーケティングは禁止されており、記事型広告の場合には広告であることを明記しなければならないとされているらしい。
今回、表面化した大手メディアのステマは韓国であるが、自分も検索画面で面白そうな記事を見つけて開くと広告そのものである場合も多いので、日本でもメディアによるステマは深く静かに進行しているのかも知れない。

 聯合ニュースが配信した記事は、日本のメディアでも良く耳目に触れる。日本メディアの支局・特派員では手にすることが困難な韓国政権内部の動向等については、同社の配信転載も止むを得ないと思っていたが、聯合ニュースが国営通信社であることを知り得たのは収穫であったと思う。共同通信社で明らかなように、通信社の耳目は無色透明では有り得ないが、聯合ニュースが国に忖度しなければならないという政権代弁者の性格を持つからには、同社が伝える世情や政権の動向も、政権への提灯、政府の観測気球の意味合いが大きいと割り引く必要が有るように思う。


新党「立憲共産党」?

2021年10月29日 | 野党

 選挙戦最終盤に来て、立憲共産党という新党名が各所で囁かれているらしい。

 最初は、野党統一候補である立民候補者を口撃する対立候補が使用していたとされるが、麻生太郎前財務相が応援演説で使用するに及んでトレンドワード上位にランキングされたり、立憲民主党が抗議したり、という展開と報じられている。さらに、地方の選挙区では選挙カーに野党統一候補や立憲民主党候補と書かないケースも数多いとされている。
 かって金権選挙全盛であった昭和50年代には投票先の選択について「党より人を」というキャッチフレーズが市民権を得ており、地盤・看板を持たない新人候補のみならず、マスメディアも挙って使用していたが、如何に清廉・有能であっても議員単独では一本の法律も創出できない民主主義の多数決原理が認知されるにつれて何時しか死語となって、現在では「候補者の所属政党」を中心に投票先を選択することが一般的であるように思える。更に比例投票では比例名簿はあるものの候補者の姿は希薄で、選挙公約や政権担任能力で投票政党を選択する。
 これらのことを考えると、候補者が所属政党を隠す若しくは積極的に広報しないことは、身元を曖昧にして高額商品や胡散臭い儲け話を売りつける詐欺まがい商法と同列で、選挙制度の根幹を蔑ろにするものと思える。

 それにしても「立憲共産党」という造語は秀逸であるように思う。
 立憲主義とは《単に憲法に基づいて統治がなされるべきであるとする以上に、政治権力が憲法によって実質的に制限される政治理念で、共産党綱領が憲法に優越する共産主義国の名目的憲法に基づく統治は立憲主義とは呼ばない》とされるように、立憲主義と共産主義は水と油の関係にある。
 世界史上誰も成し得なかった、「水と油を混ぜ合わせることが可能」とする枝野氏の見立てで始まった選挙協力や閣外限定的協力という枠組み、この混迷を表現するには「立憲共産党」以上の表現は見当たらないように思える。
 ネット上にも選挙協力を評価する意見も少なくないが、果して立憲政体と共産主義政体についてまで考察したものであるのだろうかと疑問に思っている。


真子内親王の会見に思う

2021年10月28日 | 天皇・皇室

 秋篠宮真子内親王が結婚され皇族からお離れになった。

 今様には「結婚」であり「皇族を離れる」であろうが、自分としては「臣籍降下・皇族離脱」の方がしっくりする。閑話休題。
 本日のテーマは、御結婚に際しての会見に関してである。
 会見は、御結婚に対する両人の所感や抱負の後に、報道機関等から寄せられた質問に対し口頭で回答される形式であったが、日本雑誌協会から提出された質問書にはがっかりした。真子さまも「恐怖を感じる」と述べられるように、協会から出された質問は「小室氏の母親に関する疑惑報道の裏付け取材」に他ならず、雑誌の「覗き見趣味」に基づくものでしかなかったからである。
 一般社団法人日本雑誌協会を調べて見ると、会員は88社で全雑誌発行部数の約80%を占める団体であることを知った。HPでは《「雑誌」の出版を通じて文化の発展を期するため、出版倫理の向上を図り》としているが、《その他「雑誌」共通の利益を擁護することを目的とする。殊に最近は、雑誌倫理の確立、重要なる業界取引の合理化と改革、税制問題等々、業界内外にわたる諸問題に対して業界4団体の中枢として、その任に当たっている》と続いていることから、倫理の自浄よりも組織・業界防衛を優先する存在であるように思える。
 また、協会の内部規定である「雑誌編集倫理綱領」には、《文化の向上と社会の発展に寄与すべき雑誌の使命は重大であり、国家、社会、及び基本的人権に及ぼす影響も大である。この社会的責任により、雑誌は高い倫理水準を保たなければならない》《われわれ雑誌編集者は、自ら戒めて編集倫理の向上を図る》《真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名誉やプライバシ-をみだりに損なうような内容であってはならない》と神妙であるが、筆禍による名誉棄損・慰謝料請求が引きも切らない現実を見ると、自分が望むような「報道者としての公正中立に努力する組織」ではなく、他業種の協会・利益団体と変わらぬものであるように思える。

 古来、慶事の場では呉越同舟が美徳規範であると思う。小室氏の母親問題は、結婚の背景としては大きなファクターであろうが、当人同士には直截の責任が及ばない事柄であり、そのことを粘液的執拗さで下着の中まで明らかにせよと迫ることが協会の掲げた高邁な目的に合致するのだろうか。
 キリスト教徒の結婚式では、「この結婚に疑義ある物は今すぐ申し出よ。さもなくば永久に口を閉ざせ」と司祭が云うそうである。本来は、男女間の相克を解決する口上であろうが、雑誌協会も「鞘に収めるべき時期」や「控えるべき場所」について常識的であって欲しいものである。


下の句を考える

2021年10月27日 | 野党

 一昨日の産経新聞「正論」欄で、東洋学園大学客員教授で元空将の織田邦男氏が「「下の句の無い公約は欺瞞」と寄稿されていた。

 本ブログでも、「一人でも反対すれば橋を架けない」や「ペンは剣より強し」を挙げて、下の句を故意に隠す手法に悪態をついてきたが、教授も今回の各党の選挙公約が上の句の羅列であり、有権者に幻影を抱かせるだけのものと述べておられる。
 短歌に無知であるので的外れかもしれないが、お笑いに例えると上の句は下の句の真意・オチ・下げを際立たせるための前振りに過ぎないと思っている。小倉百人一首3番・柿本人麿「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む」で見ると、上の句は枕詞の羅列であり、下の句に至って始めて真意が解けるようになっている。
 政権を窺う立憲民主党の選挙公約の幾つかを上の句として、下の句を推測してみたが、上の句の作者は欺瞞巧緻のプロ集団であるために、素人の自分には思いもよらない下の句が用意されているだろうことは覚悟している。
・「公立・公的病院の統廃合や病床削減を進める地域医療構想を抜本的に見直す」⇒「公立・公的病院の採算性を追求した舌は乾いていませんが過去は忘れて下さい」
・「消費税減税、持続化給付金の増額・継続、税等の負担の減免」⇒「財政再建は次代に先送りしますので、青少年は頑張って下さい」
・「賃金の底上げ」⇒「当然インフレとなり、昼食代もワン・コインからオン・ビル(お札)になります」
・「高校教育無償化」⇒「憲法を拡大解釈して高校も義務化しますので、一芸に専念するために高校中退した藤井九段のような生き方は出来なくなります」
・「大学助成強化」⇒「誰でも大学に行けます。ただし、卒業しても大卒者に相応しい職や地位は期待しないで下さい」
・「原子力発電から自然エネルギーへの転換」⇒「電気料金の高騰と不意の大規模停電は覚悟して下さい」
・「ベーシック・サービスの質・量を充実」⇒「地方公務員数は増加しますので必然的に住民税は上がります」
・「差別に対応するため国内人権機関を設置」⇒「ネットなどの報道監視を強化しますので場合によっては表現の自由を制限する場合もあります」
・「辺野古新基地建設を中止」⇒「普天間周辺住民は今後とも危険を覚悟して下さい」
・「在沖米軍基地のあり方を見直すための交渉を開始」、「抑止力を維持しつつ日米地位協定の改定を進める」。これには下の句が多く
  ⇒「米軍に頼らなくても良いように自衛力を強化します」
  ⇒「在日米軍を縮小しますので、有事・最悪の場合は死ぬこともありますが諦めて下さい」
  ⇒「米軍の支援が無くなるので、場合によって尖閣・先島諸島を放棄するかも知れません」

 下句の省略は全ての政党の公約に言えることである。
 今回は、立民の目ぼしい公約に下の句を付けたためにネトウヨの妄言と一笑されるかも知れないが、全ての有権者が「借り物でない自分なりの下の句」を考えて投票して欲しいと願うところである。