もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

高市麗花散るも

2021年09月30日 | 与党

 第27代自民党総裁に岸田文雄氏が選出された。

 保守中興の指導者にと期待していた高市早苗氏が敗北したことは無念の極みであるが、河野太郎氏の敗北で「親中排除と最低限の保守性」は達成・維持されたと思っている。
 自分の忘備録を兼ねて選挙結果を記すと、岸田氏(略)、河野氏(党員169+議員86=255)、高市氏(党員74+議員114=188)であり、議員票に於いて河野氏が高市氏に遠く及ばないことは、高市氏に対する安倍氏(細田派)の後援以上に高市氏の保守主張に賛同する議員が多かった結果と思っている。
 河野氏に対する議員票が伸び悩んだことについて、政治評論家は一様に「選挙期間中の発言のブレ」や「党内での人望の無さ」を指摘するが、我々の知り得ない「何か」が嫌悪・忌避されているべきと観るべきではないだろうか。
 過去の総裁選を観ても、コロナ禍での特異な形態を採った2020年総裁選は菅氏(党員89+議員288=377)、岸田氏(略)、石破氏(党員42+議員26=68)、今回の総裁選と同じ形態で安倍氏・石破氏の一騎打ちとなった2018年の選挙結果は安倍氏(党員224+議員329=553) 、石破氏(党員181+議員73=254)となっており、党員党友の支持が議員票で否定されることが顕著である。
 それについて考えると、防衛・憲法に造詣が深いとされた石破氏が世論に迎合する形で「憲法9条に3項を追加する」という憲法改正私案を発表したこと、河野氏がブースタロケットの私有地落下という一事で「独断でイージスアショア配備中止」を決定したこととは無縁でないように思える。勿論、世情に流布される「報酬人事」や「派閥の拘束」の側面も存在するだろうが、人事の恩恵には浴さないであろう当選1~3回議員が報酬よりも政治信条に従って投票したことに起因すると思いたい。また、河野氏と石破氏に共通していることは、所謂「口舌の徒」に属することである。核心的結論を述べ得ない河野氏は当然としても、石破氏を同類とするのは異論があるかと思うが、学者然としての空論しか述べない点では、その資格十分と観ている。

 岸田総裁の誕生で、安倍氏以降2代続けて調整型指揮官が国政を担当するが、中台がTPP参加を申請、QUAD・AUKUSの防御等、対中外交は正念場を迎えている。
 土地規制法に見られるように、民主主義の冷徹な多数決原理を置いて、野党・公明党の少数意見にも耳を貸す結果、ベストを放棄してベターで妥協するという「日本型民主主義」では国際社会での発言力が著しく低下することが懸念される。せめてものことながら高市氏にあっては岸田内閣の外務大臣を担当してでも日本の立ち位置を世界に発信して欲しいと願っている。
 来る首班指名で、国民民主党は玉木氏を擁立して枝野氏に投票しないことを表明したという明るい材料もあるが、日本の「これ以上の左傾化」は正さなければと思う。


年収1千万円は貧乏人?

2021年09月28日 | 野党

 立憲民主党の選挙公約第6弾「経済政策」が公表された。

 本日に至るも、立民の「2021総選挙特設サイト」は更新されていないので、新聞報道による考察であるが、注目したのは「年収1千万円以下の所得税を実質0とする」項目である。
 立民は格差是正と富の再配分を政策の核としているとされているが、自分からは十分な富者に見える年収1千万円は果たして是正・救済しなければならない低所得者と呼べるのだろうかと思う。総務省統計局等のデータを見る限りでは、2020年の世帯平均年収は409万円で、世帯の半数以上が年収550万円以下となっている。税制に暗い・改めて勉強する気もない・自分が底辺に位置することを自覚している上での考察であるので間違いが多いことと思うが、現行税制での最低課税総所得は200万円くらいではないだろうか。それ以上は累進的所得税を課され、年収1000万円ともなれば税率はおそらく「中流」として取り扱われているのではないだろうかと推測している。
 計画経済下でもない限り格差是正は長期に亘って実現すべき課題で、所得税0世帯の拡大はカンフル剤としては一定の効果を発揮するであろうが、それとても先ず最初に取り組むべきは平均年収や全世帯の半数以上が属する500万円程度以下をターゲットとすべきではないだろうか。
 そんなことは百も承知で年収1千万円をターゲットに設定した立民の思惑を勘ぐれば、平均所得者に課税されている年額数万円に満たない所得税を免除しても消費の拡大には直結しないので、消費を刺激するためには1桁違う高(中?)額納税階層の所得税をも免除する必要があるとしたか、年間2千万円を超える歳費を受け取っている贖罪の意味を込めたのであろうか。確実なところは、総選挙に於いて中流階級の取り込みを図ったものであるのは間違いのないところと思う。

 習近平主席は、所得の高い人や企業に寄付などを促す「共同富裕」政策を推進中で、高額所得の芸能人からは追徴金名目で上納させ、大企業は表面的には趣旨に賛同し挙って寄付にいそしんでいる。寄付又は上納された原資のどれ程が低所得者支援に回されるのか判らないが、政府資産を使わずに、富者から富を吐き出させるとはうまい手法を発見したものである。
 インドやアメリカには黒字企業が寄付の義務を負う制度が、経団連のI%クラブも社会貢献・利益還元に努力しており、中国もこれらを真似たものだろうが、枝野氏の経済政策にも「富の平滑化は中国に倣え」が見えはしないだろうか。


塩釜市職員の懲戒免職に思う

2021年09月27日 | 社会・政治問題

 宮城県塩釜市が、382日間にわたって無断欠勤した20代の女性主事を懲戒免職処分にしたことが報じられた。

 報道によると、免職された主事は2019年12月から昨年8月末まで病気による休暇や休職を取得していたものの、9月以降は診断書が提出されなかったために、市は再三にわたり受診を勧めたり診断書の提出を求めたりしてきたが、応じなかったとされている。
 報道からは、主事が何らかの病気であったことや、周囲も何とかして主事を復職させる等の保護に努めたことは窺い知れるが、無断欠勤が1年以上にも及ぶのは些か異常に思える。
 市長は「公務員の信頼を損ねる行為で、市民の皆様に深くおわびします」とコメントするとともに、この間に支払われた給与の返還を求めるとしているが、問題は金銭ではなく市の人事管理の問題であるように思える。
 調べた限り地方公務員の階級は、学歴等によって異なるが、主事(18~30歳?)→主任→主査→副主幹/係長・・・が一般的なようであるので、20代主事といえば就職して間もない存在かと思えるが、組織のルールを守れない人は、早期に離職させてもっと穏やかなルールで生きていける別の道を選択させる方が本人のためでもあるのではないだろうか。
 現在の対応は知らないが20年以上前の自分の経験から海上自衛官の無断欠勤を考えれば、所在が明らかなまま無断欠勤する隊員はいなかったように思う。対人関係や艦内生活に馴染めずに、なおかつ退職の意思表示ができない隊員もいるが、彼等は概ね上陸して帰艦せずに所在不明となるケースが殆どである。上司は親元等に連絡して所在の確認に努めるが所在を親に連絡しているケースは希で、上司も知らない入隊前の友人・知己を頼っている場合が多い。艦では、概ね1週間程度は親からの連絡や本人の自主的帰艦を待ち、その間に帰艦した場合は罪一等を減じて依願退職することとなるが、帰艦しない場合には人事を陸上の担任部隊に移管する。その後の処遇については経験していないが、事由発生から30日程度経過した時点で懲戒免職とされたようである。

 近年、疾病それも心因性疾患に伴う無断欠勤者の存在が報じられることが多く、それ等を一様に懲戒免職と即断することは弱者抑圧とも捉えられかねないので、解決に長期間を要することになるのだろうが、本人や人事管理者の心労・労苦を考えれば早期に決断・処理することも必要であるように思う。
 塩釜市にも職員の分限規定はあると思うが、局外者の目で言わせてもらえれば、相応の酌量を越えた時点での厳格な分限適用が組織として必要であったのではないだろうか。


真子内親王への一時金不支給に疑問

2021年09月26日 | 天皇・皇室

 真子内親が辞退される意向と伝えられていた皇室離脱 一時金が支払われない方向であることが報じられた。

 内親王の御結婚については、世情と同じく諸手を挙げて祝福するものでは無いが、皇室離脱一時金については支出するべきと考える。
 内親王の降嫁に伴う一時金には、いろいろな意味が込められているとされるが、卑近な表現で恐れ多いことであるが「世慣れぬお姫様の持参金」であろうと思う。そう考えれば、必ずしも望ましいご結婚ではないかも知れないが、そのこととは別に元皇族としての体面を保って頂くためにも支給されるべきではないだろうか。
 お相手の小室氏は、NYの大手法律事務所への就職が内定したとも報じられているが法曹資格を得ていないために、生活の基盤が盤石とは言えない現状である。万が一、小室家が経済的に困窮した場合を考えれば、一般家庭にあっては不遇な結婚ではあったとしても娘の家庭が困窮した際には、親は何らかの援助を与えると思うが、秋篠宮家には私的財産が無いため援助もままならない。
 メーガン妃に振り回された格好のヘンリー王子も王室助成金を辞退しているが、もともと王子の生活費の95%は父であるチャールズ皇太子の所領収入から出ており、ヘンリー王子の生活が破綻した場合にも相応の体面を保てる援助が可能であるという背景に守られている。
 これまでに降嫁された貴子内親王や清子内親王は国内で生活されているために、皇族のネットワークに守られておられるかとも思うが、真子内親王はアメリカを生活の場とされるので、それらの有形・無形の支援さえ得られない可能性が有る。

 今までのところ、一時金支給の賛否に関する論評は伝えられていないが、日本国の元皇族に日本の支援が及ばないことは、対外的にも好ましいことでは無いと思う。真子内親王が一時金を辞退した心情は尊重するとしても、一時金に見合う金額をどこかに供託しておいて、最悪の場合には本人や秋篠宮家が支出できるような手段は採れないものだろうか。いや、採って欲しと願うところで、これならば世論も納得するのではないだろうか。
 ともあれ、降嫁に伴う皇室離脱一時金と不行跡のゆえに辞職する官僚の退職金を同一視することは慎もうと思っている。


立民の「対等で建設的な日米関係」とは?

2021年09月25日 | 野党

 立民の選挙公約第5弾「外交・安全保障政策4項目」が発表された。

 1 現実的な日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策
 2 地球規模の課題への積極的な取り組み、
 3 対等で建設的な日米関係
 4 経済安全保障・食の安全保障の確立 としている(立民HPから)。
 素人が読んで理解できないのは、「日米同盟」と「日米関係」の二つの概念である。常識的には「日米関係」と云う大きな概念の一部に「日米同盟」が存在すると観るべきであると考える。現在日米同盟と呼べるのは日米安保条約だけであろうが、それを基軸とした外交政策とは一体何で・どの国との外交に当てはめれば良いのだろうか。もし通商を含む対米諸協約の全てを「同盟」としているのであれば、「日米関係」とは具体的に何を指して・何を対等としたいのだろうか、日米安保を対等(双務性)にしたいのであれば、日本はアメリカの戦争に対しても参戦義務を負うことになる。自分には「判じ物」で理解できないところであるが、それはさておいて、記者会見で詳述された普天間基地の顛末を考えてみたい。
 会見では、普天間基地の建設は国内問題であるために中止し、普天間周辺住民の危険除去についてはアメリカと交渉するとし、危険除去の手段・方法は、アメリカの海兵隊戦略が絡んでいるとともに、交渉に「○○ありき」の先入観を持つのは不毛であるとして明言を避けているが、「最低でも県外移転」とした鳩山政権誕生時と同工異曲に過ぎないと思える。
 確かにアメリカは海兵隊の存在・戦術の変更を模索しており、従来の「3軍に先駆けて海兵隊が強襲着上陸して橋頭堡を維持する」思想から、他の3軍と協調するための「遠征先進基地」のみ海兵隊が確保する作戦を試用しているのも確かであるが、近い将来に海兵隊策源基地としての普天間を放棄することは考えられない。
 更に、枝野氏は在日米軍基地存在の根拠である日米地位協定の改定まで踏み込んでおり、安保条約自体を危殆に曝す危険性が読み取れるものである。
 米軍の本格的な支援・反攻までの1週間、最大でも10日間持ちこたえることを目標に自衛力が整備されている現状を考えれば、米軍支援の時期を遅らせた最高指揮官(枝野総理)の下で戦うことを強いられる自衛官の無念と損耗は計り知れないように思う。
 また、立民は既に海上保安庁の警備行動を自衛隊が補完する趣旨の法案を提出している。前にも書いたことであるが、海上保安庁の執行する国内司法権と自衛艦(軍艦)の持つ国際法上の権利は全くの別物であり、もし不法船舶を砲撃した場合、巡視船と自衛艦では外国の対応は全く違ってくる。そのために海警部を人民解放軍の部局とした中国は別にして、各国は戦時には沿岸警備隊等(海保)を海軍が統括する制度を採っているものの、平時に沿岸警備隊の職能を海軍が代行することはない。枝野弁護士の得意分野は知らないが、国際法に通暁した国際弁護士では無いようである。

 韓国真っ青の自公政権の積弊清算による集票に懸命な枝野氏であるが、流石に安全保障については「米軍のアジア・太平洋地域におけるプレゼンスの重要性についての認識は従来の日本政府の認識と同じ」であるとしているが、一方で「基本姿勢が揺らがないということと、粘り強い時間をかけた交渉をする、という姿勢であれば、日米同盟に影響を与えることはない」ともしている。
 辺野古移設決定まで20年を要し、漸く見出した方策を中止して更に長い(粘り強い)交渉と検討を重ねることは如何なものであろうか。その間結果としてアメリカは「日本疲れ」を起こし、(何年も)普天間住民は政治の犠牲となって危険なままに放置されることになる。それとも、お得意の「お金配り」で我慢してもらうのだろうか?