もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ナポレオン絵画を比べて

2023年05月31日 | 美術

 美術鑑賞では邪道であろうが、ナポレオン像を並べてみた。

 同じフランス人で同じナポレオンを描きながら、早い時期のルイ・ダヴィッド(1748~1825年)・ジャン・グロ(1771~1835年)・フランソワ・ジェラール(1770年~1837年)の描くナポレオンと、約40年後に活躍したポール・ドラローシュ(1797年~1856年)では、大きく印象が違っている。また、ドラローシュと同時期ながらナポレオン失脚後にベルギーに亡命せざるを得なかったドミニク・アングル(1780年~ 1867年)がダヴィッドに近い表現であるのも興味深い。
 かって絵画は信仰心涵養や為政者の事績広報の手段であり、画家は受動的に世相を映す写真家であるよりも積極的に世論を形成・情勢するジャーナリストと捉えても良いのではないだろうか。それでも画業で食っていくためには自分の主義・主張とは異なる注文にも応じざるを得ない場合も多かったであろうが、この辺は現代日本のジャーナリストにも通じるようにも感じられる。
 などと考えながら、前述の画家の描くナポレオン像を紹介することとした。ネット上には更に多くのナポレオンに由来する絵画が存在するが。一覧の最後にドイツ人画家の作品を参考掲示。

ダヴィッド「サン・ベルナール峠を越えるナポレオン」-ウィーン美術史美術館


ダヴィット「書斎のナポレオン」-米・ナショナルギャラリー


ジェラ-ル「戴冠式正装のナポレオン」-不明


ジャン・グロ「アルコレ橋のナポレオン」-エルミタージュ美術館


ジャン・グロ「マドリードの降伏を受け入れるナポレオン」-フランス歴史博物館


ジャン・グロ「皇帝ボナパルト」-不明


ドラローシュ「アルプスを越えるボナパルト」-不明


ドラローシュ「フォンテーヌブローのナポレオン」-不明


アングル「玉座のナポレオン」-フランス軍事博物館


アングル「ナポレオンの肖像」-クルティウス美術館


アドルフ・ノルテン(独)-ナポレオンのモスクワからの退却-不明

 


親バカの悲哀

2023年05月30日 | 与党

 岸田総理の長男である岸田翔太郎政務秘書官が更迭された。

 翔太郎秘書官は、身内の登用そのものが疑問視され、任命後にあっても公務外遊随行中の土産物漁りや公邸でのバカ騒ぎで火だるまとなっていたので、更迭は当然と思う。
 この更迭劇に対して、立民の泉代表は「そもそも公私混同の色彩が強い人事で、辞任は当然だ。国民に対する説明や謝罪にも欠けている」と述べ、維新の馬場代表は「公邸や官邸で写真を撮ること自体はよくある話だが、問題なのは広く流出したことであり、秘書官として知り得た情報まで漏れるのではないかと懸念される」とコメントしている。2つのコメントを並べると、泉代表が底の浅い首狩り族的であるのに対して、馬場代表は官邸の防諜体制不備と本質を捉えているのが興味深い。閑話休題。
 現在の総理秘書官は、2名の政務補佐官と6名の事務秘書官で構成され、政務補佐官は首席秘書官である嶋田隆一(元経産省事務次官)氏と岸田翔太郎氏、事務秘書官は財務省(2人)・外務・経産・防衛・警察の各省庁から選抜・出向となっている。
 事務秘書官について各省庁はエース級の人材を送り込むとされ、秘書官経験者は役所に戻って事務次官にまで上りつめる人も少なくないとされているが、総理が交代すれば出身省庁に戻るために総理(国政)よりも出身省庁の利益を優先する側面が強いとされる。
 政務補佐官は、議員時代の秘書や政策ブレーン・親類縁者・・など総理の信頼の厚い人物が選ばれる。
 したがって、重要な国家機密、各省庁(特に事務秘書官の母体官庁)の利害が衝突する施策、野党との秘密裡の調整などについては、事務秘書官を外して総理と政務担当秘書官だけで処理されることも多いので、その影響力は極めて大きいとされており、小泉内閣の飯島勲氏や安倍内閣の今井尚哉氏などは自分でも記憶している程である。

 事務秘書官には官僚キャリアが必要であるが、政務秘書官選定には定性・定量の度量衡は無く、云わば総理の信頼さえあれば誰でもなれる・就くことができる。
 岸田翔太郎氏の経歴を眺めると、広島県屈指の脩道高校・慶応大学法学部政治学科卒、三井物産勤務の後国会議員秘書で、一見すれば申し分ないものであるが、岸田総理にあっては「このままでは跡を継がせるには・・・」という不安要素が多く・大きかったのだろう。「何とかして現実と政治の厳しさを知って」の親バカから総理秘書官にしたものの、親の心知らずのボンボン豚児は麒麟に進化できなかったように思える。
 秘書官任命~騒動~更迭の一連を眺めると、ボンボン豚児の不甲斐無さ以上に、「それでもなんとかして」という岸田総理の親バカが際だって見える。


ワクチン接種

2023年05月28日 | コロナ

 武漢コロナワクチンの6回目接種を受けた。

 武漢コロナに対する国のワクチン支援はアト1回有るか無し、今後はコロナに罹っても幾ばくかの負担が必要となるだろうことから複雑な気持ちで接種を受けた。
 首相官邸HPによると、令和5年5月23日時点での総接種回数は387,031,097回となっている。約4億回に及ぶ接種に如何ほどの公費を要したかを示す資料は見つけられないが、ワクチンの調達・輸送、接種の事務経費・人件費、・・・などを含めると、膨大な額に達しただろうと思う。
 厚労省の試算では、武漢コロナのワクチン接種が予防接種法上の「任意接種」となった場合の個人負担額は9,600円とされているが、全額公費負担の臨時接種では、大規模接種場の開設・所要人員の確保・広報・維持、接種券の配布経費、・・・等を考えれば1回当りの経費は3万円を下回ることは無い様に思えるので、3万円×4億回=12兆円と計算される。
 ワクチン接種が始まったころには、「副反応で大勢が死ぬ」や「接種後5年以内に全員が死ぬ」・・・等の流言飛語が飛び交っていたが、今に至るも重篤な副反応は極めて少ない様に思える。それ以上に、現在ではコロナを発症して一旦重度の症状に陥った人の後遺症の方が問題視されているので、発症したもののワクチンを打っていたために軽症で済んで後遺症からも逃れ得た人の方も多いのではないだろうか。
 自分は、武漢コロナに感染したかもしれないもののワクチンのおかげで発症することも無くここまでこれたことは政府の支援・庇護の賜と感謝しているが、SNSの場では今もってワクチンの功罪に関して物申す人も多いようである。

 韓国の科学者が福島の処理水調査団を派遣し、所要の施設を検証したことが報じられた。しかしながら、調査団員には、「科学的根拠と処理水放出容認は別」とする科学者も含まれているそうである。
 福島の処理水が韓国沿岸を汚染する経緯は、処理水は黒潮によって北米西海岸に達した後、北赤道海流によってアジア海域に運ばれ、再び黒潮によって九州南方に達し対馬海流で韓国沿岸に達するというものであるらしい。韓国でノーベル賞受賞者が現れないのは、処理水対応に観られるように問題を科学的に考察して定説・通説を覆すことが受け入れられないという国状・民情に帰することが大きいように思える。
 ワクチン接種に疑問を呈する人が正しいのか、科学に無知であるがワクチン対症を信じる自分が正しいのか、韓国の処理水対応とともに考えさせられる。


自公連立解消の動きを歓迎

2023年05月26日 | 与党

 昨日のブログで解散・総選挙について書いたが、東京選挙区における自公の選挙協力解消が現実となった。

 東京における自公の選挙協力解消は、地方にも波及して少なからぬ影響が出ると予想されているが、自民党の政治家には政党政治を正す好機と捉えて欲しいものである。
 このことに関する報道の中で、公明の推薦無しに当選を重ねている平沢勝栄議員が「日頃から地域を泥まみれになって動けば、応援を貰わなくても勝てる」と云い、ある閣僚経験者も「選挙は別々にやるのが政党のあるべき姿だ」と語っており、当然のことながら自民党議員にあっても普通選挙における政党の在り方を憂うとともに、勝敗(当落)のみに拘る呉越同舟的な選挙協力に否定的な政党人が少なくないことが窺える。
 また、さらに一歩進んで「(公明を)切ってしまった方が、自民は強くなれる」との意見が中堅議員の間に燻ぶっているとも報じられている。
 数合わせの原理による国家の混乱は、イスラエルにおいて顕著であるように思える。
 イスラエルでは、2021年6月の選挙で12年間首相の座にあったネタニヤフ氏に代わって8つの政党による連立政権が成立したが、成立は1票差での承認という薄氷状態であった。また、数合わせの象徴は首相の任期に顕著で、2023年9月までは連立第1党のベネット氏が務め、残りの任期(2年間)は連立第2党のラピド党首が首相を務めることで合意されていた。しかしながら、8頭引きの馬車が正常に機能できるべくも無く、加えて首相交代を前提とする連立は国民の支持を得ることができずにラピド党首への禅譲を待つことなく1年半で瓦解してしまった。
 2022年11月には、総選挙で、再びネタニヤフ元首相が返り咲いたものの連立を組む極右政党の議員を重要閣僚に指名せざるを得ない状態で、パレスチナ問題に対してはこれまでで最も強硬な政権となている。
 このように短期間に左右両極端に振れるイスラエルについては、最大の庇護者アメリカですら「イスラエルにあるのは政争だけで外交は無い」とあきらめ顔と報じられている。

 ロシア核兵器の隠れ共有国であったベラルーシが公然と核共有体制保持を露わとした。
 ロシアの支援で命脈を保っているシリアのアサド大統領が中東社会での発言権を回復したが、背景には中東におけるロシア核兵器の存在(シリアの核共有)があるのではとされている。
 中国はG7サミット開催に合わせてアフリカ諸国を招待し、台湾進攻に関する国連での制裁決議を逃れる舞台の構築に本腰を入れている。

 来るべき総選挙では、日本の振れ幅が世界・特にG7諸国から注目されるだろうことを思えば、最大の争点は子育て支援金の額やLGBT法案の良し悪しでは無いと思うが如何に。


解散総選挙

2023年05月25日 | 与党

 通常国会会期末における衆院の解散が確実となったように思える。

 各党は既に総選挙準備に入っているようであるが、今回の選挙では「維新が台風の目となる」ことで、「より望ましい姿」に変化するのではと期待している。
 これまでの総選挙では、選挙区での立候補者の擁立や協力態勢に「棲み分け」と呼ばれる談合が行われるのが常であったが、来るべき選挙では維新が野党第1党の座獲得の第一歩として全選挙区に候補者を擁立し、立民の泉代表・岡田幹事長の選挙区にも対立候補を擁立して大阪以外での力量を測るとし、東京選挙区では自公の選挙協力が終止符を打つ見込みと報じられている。
 経済活動で複数の同業者が「棲み分け」を行えば、新規参入者や消費者にとって不利益をもたらすとして厳しく罰せられるが、政治家の都合・思惑で行われる選挙での「棲み分け」も立候補を模索する者や有権者の選択機会を奪うもので、経済活動以上に許されない前時代的な手法と思っていた。
 立憲民主党の凋落は政策の不備以上に、前時代的な共産党との選挙協力に端を発したもので、当時の枝野執行部が示した「限定的な閣外協力」のフレーズに協力の内容・程度が明らかでなかったために、多くの立民支持者が「立憲共産党」の匂いを嗅ぎ取ったためと思っている。
 自公の選挙協力にあっても、国会活動での公明党の連立内野党的行動が今では国政運営の阻害要因と化している現状を見る限り、保革伯仲時の過半数維持の数合わせとした役割を終えており、例え自民党が公明党・創価学会の協力を失って議席を減らしたとしても、政党政治・議会制民主主義の原点からみれば望ましい方向であると考える。

 昨日、観るともなくTBSのニュース・ショウを眺めていたら、元朝日新聞主筆と現毎日新聞解説委員が今もって「民主党政権誕生に肩入れした一昔前の論旨」を語ることに驚いた。国際情勢が比較的安定し、誰が・どの政党が政権を担当しても大差なく、言い換えれば、素人の民主党に実験的に国政を預けることができた時代と比べて、些細な過誤が国を危うくしかねない緊迫した状況下の現在では、国民の意識も大きく変化している。にもかかわらず、一昔前の主張を繰り返すジャーナリスト?は、国際情勢や国民の変化をどのように観ているのだろうかと不安になる。
 泉代表も、維新・国民・共産・・・に秋波を送るよりも、無党派層を引き付ける政策を堂々と掲げて欲しいものである。現政権の瑕疵攻撃だけで支持が拡大できないことを、立民以外はみんな知っているのに。