昨日のブログで、ガーシー容疑者を応援したであろうSNS世代を念頭に置いて尤もらしく書いたことを後悔している。
自分の現在を思いつつ昨今の世情を観ると、連日のように高齢者の不祥事が報じられる。曰く、ブレーキとアクセルの踏み間違い・近隣トラブル・老々夫婦間トラブル・・・と、いずれもが悲惨な結末であることが多い。
本来、経験を積んだ高齢者は、世の手本とまではなれなくても、社会に迷惑を掛けない存在であるべきであろうが、背中に苔が生えても中々に枯淡の境地には辿り付けないのが実状である。
そんな後悔の念にさいなまれながらPCの私設美術館を眺めていると、若い半裸の女性を好色の眼で覗き見する老人が描かれているカニャッチの「スザンナと長老たち」という絵に目が留まった。”スザンナって誰”とWikipediaで調べてみると、
《ヘブライ人の美しき人妻スザンナが、人払いをして庭で水浴をしていると、性欲を持て余した2人の好色な長老が覗き見した。彼女が家へ戻ろうとした時、長老たちは彼女の前に立ちはだかり、「我々と関係しなければ、お前が庭で青年と密会していたと告発する」と脅迫した。スザンナが拒絶したために脅迫通り逮捕され死罪に処されそうになったが、青年ダニエルの粘り強い調査と推理で、長老たちの嘘が暴かれて長老は処刑され、美徳が勝利を収めた。》というものであるらしい。
煩悩を捨てきれないのは男性のみに限らず女性も同様であるらしく、江戸時代中期の旗本・朱子学者新井白石が母親に「女性の煩悩はいつ消えるのか」と問い掛けたら母は無言で火鉢の灰をかき混ぜることで、「死ぬ(灰になる)まで消えることは無い」と答えたとされている。
本日は、自戒を込めて4人の画家の描く「スザンナと長老たち」である。1枚にはスザンナしか描かれていないがご容赦を。なお、カニャッチはいつか御披露しようと思っていた画家であり、画家のあれこれと残余の絵は後日に。
なお、バスケット孫の春休み襲来のために、10日ほどブログをお休み致します。
カニャッチ(エルミタージュ美術館蔵)
グエルチーノ(プラド美術館蔵)
ジェンティレスキ-(所蔵先不明)
サンテール「水浴のスザンナ」(ルーヴル美術館蔵)