もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

立民の財源探しに注目

2025年02月15日 | 野党
 立憲民主党が来年度予算に約4兆円の修正(歳出増)を求めることが報じられた。
 今回の修正案では、修正の前提である財源確保の方策も併せて示されていることが特色で、民主党政権時の「財源を考慮しないコンクリートから人へ」の失敗反省が図られている。さらに、政局的には国民民主が絵図を描いた年収の壁で「財源は政府・与党が」の無責任さを強調する色合いも有るように感じられる。
 歳出の修正事項は給食費の無償化、年収の壁引上げ高額医療費負担額の低減などで評価できるものの、財源確保については年金等の政府基金取り崩しや予備費の圧縮などで手当てし、国債の発行はしないとされているが、とても継続事業を支える恒久的な財源確保とは呼べないものである。政府基金の取り崩しにあっては数年でギブアップであろうし、災害対策が主眼の予備費を圧縮することは小規模な災害対策でも補正予算が必要となって時宜適切な対処や復旧に支障を来すであろう。中国コロナ禍に際して、東京都が国に先行して手厚い支援や対策が採れたのは、石原知事が蓄積した積立金であったとされることを思い出す必要があるのではないだろうか。
 更には、ガソリン税の廃止も主張しているので、実現すれば歳入不足⇒国債の乱発の出来も見え見えである以上に、高度経済成長期に建設した高速道路などの老朽化不安が叫ばれる現状から、果たして適当であろうか。となれば新税も視野の片隅に現れ、主としてガソリン税という受益者負担の変形であった道路行政も広く国民が負担することになるだろう。
 蛸は、飢えて獲物が採れない場合は、自分の足を食って生き延びるという。
 与党の過半数割れと云う事態で出来した、腐肉を争うハイエナのごとき野党の姿、更にはそれに快哉を叫ぶメディアの姿を目の当たりにすると、まさに蛸足状態に見えるが、他山の石としてイギリスのトラス内閣を思い出すべきである。
 人心一新として2022年9月6日に政権を握ったトラス内閣は、矢継ぎ早に大型減税、エネルギー価格高騰対策、所得税率の撤廃、法人税引き上げの中止等を打ち出した。この「歳入減と歳出増が国家財政を危うくする」蛸足的経済政策では多くの国民が余慶に預かるであろうことが期待されたが、世論調査の政権支持率では支持7%、不支持77%と惨憺たるものであった。この惨状からトラス政権は成立後わずか44日後の10月25日に瓦解した。思うにイギリス国民とメディアは、一時的余慶に惑わされることなく国家百年の存続を選択したものであろう。
 ガソリン税を含む石油税については、道路行政や温暖化対策のためにも必要であり、物流を担うトラック用軽油の減税は有としても、ガソリン税は暫定措置ではなく恒久税として存続させるべきであり、マイカー保有者も”お国のためと我慢しましょう”と締め括って終演。

うなぎバトル

2025年01月17日 | 野党
 共産党員や支持者の間で「うなぎ論争」が熱く交わされているらしい。
 きっかけは共産党の斉藤優子目黒区議が昨年末、Xで自民党の高額会食批判を投稿し、この投稿に対して、かつて共産党を支持していたとする投稿者が共産党の政治資金収支報告書(令和5年:2回の会食で計11万5800円)をもとに「共産党も外でうなぎを食べて会食費を使っている」と批判。すると斉藤区議が「共産党はうなぎを食べたりしてはいけないと言いたいのか」と反発し、論争が始まったらしい。これをきっかけに「常識の範囲内で会食をするのはいいと思う」・「共産党だと鰻を食べたらあかんと言う合理的な理由を説明しろ」という擁護派、「うなぎはブルジョアの食事だ」・「共産主義思想に反している」という批判派のコメントの応酬が繰り広げられているそうである。
 かって自分は共産党と云う語感から、党員は資本家から搾取される労働者階級と思っていたが、歳をとるにつけ豪邸に住む活動家や会社を経営する共産党員などを見聞きし、思想と世過ぎ手段の乖離を目の当たりにする機会が増えので、高価な国産うなぎで会食する党員がいても不思議には思わない。問題は「常識の範囲内での会食」という常識の誤差に起因するのではないだろうか。斉藤区議は2回11万円の会食費を常識と捉え、批判する側はそれを共産党員としたは高額過ぎるとし、いわば、50歩逃げた斉藤区議が100歩逃げた自民党を糾弾したことに、外部から「例え50歩でも逃げたことに変わりないじゃないか」と正論で反撃されたものに他ならない様に思っている。
 田村智子共産党委員長は記者会見で、詳細は把握していないと断りつつ、「うなぎがブルジョアの食事なのかどうか。毎日、食べるものではないが、庶民にも手が届く食事であろうと思う。私も食べるときがある」と述べて、沈静化を図っているようである。
 古来の「50歩百歩」を、ブーメラン現象と呼ぶのが今様であろうが、立憲共産党お得意のブーメラン現象が、本家共産党にも伝染していることを印象付けられた一幕である。

年収の壁引上げに思う

2024年12月13日 | 野党

 過半数割れ与党の政権保持のキャスティングボート(注)を手にした国民民主党が、論功行賞として要求した年収の壁引き上げが実現の見込みと報じられている。

 年収の壁の引上げについては「ヒト」として賛成しなければならないだろうが、引上げ決定のプロセスや波及については頷けない点が多い。
 プロセスを時系列に書くと、国民民主党は、総選挙において年収の壁引上げを公約の柱とした。選挙後の与国協議の開始早々に財源(税収減)をどうするかが問題となったが、国民民主党の榛葉幹事長は「必要な財源の手当ては政府・与党の責任」と述べた。更に、税収減について財務・総務省から7兆円程度とされたことに対して、全国知事会から「税収減は住民サービスの低下を招く」と引上げ反対のコメントが出された。その後の協議の場に財務省が作成した会議資料に「税の増収分等の予測不可能な要因があるために7兆円は極めて荒い見積もり」と書かれていたことに対して榛葉氏は居丈高に官僚を叱責したとも報じられた。
 さて、国民民主党は、選挙公約作成時に年収の壁引上げに伴って生じる諸々を検討さえしていなかったのであろうか。これは大学までの教育無料化についても言えることであるが、作用には必ずに反作用が伴う。年収の壁引上げで恩恵を被る人があれば反対に行政サービスの低下によってこれまで以上の出費を余儀なくされる人が出てくるし、大学の授業料を国が負担することになれば、大学生と中学・高校出の有職者はそれこそ天国と地獄の境遇に置かれることになる。
 国民は税金を通じて、国会議員に政策秘書を与えているが、国民民主党をはじめとする野党各党は政策秘書をして政策の波及を検討させたり必要財源の在り方などのグランドデザインを描かせることなく、有権者の耳に心地よい公約を無責任に垂れ流しているのだろうとの思いが強い。
 この無節操な一連の動きを観る限り、榛葉幹事長は語らぬものの旧社会党から引き継がれている「財源がなかったら防衛費を削れ」の哲学をお持ちなのだろうと邪推したくなるが、積年の防衛費削りの悪弊によって自衛隊の継戦能力(戦闘機の可動率や弾薬保有量)が無残な状態であることが明らかにされた今、前記の哲学は通用しないことを学んで欲しいものである。

(注)自分は数十年間、キャスティングボートをキャスティングボードと思い込んでいた。英語素養の無い自分は「なにやらボード()」に関連する言葉だろうとの間違いからであるが、過日の産経抄には自分と同じ間違いをしている人が多いとされていた。今更ながら調べてみると英語表記は"casting vote"であり、"vote"は"表決"であるようである。これまで間違いを指摘されることが無かったのは、"あいつならば「しょうがない」"と見逃してくれていたのであろうと、今更ながらに赤面


大椿裕子議員の公開資産に思う

2023年09月21日 | 野党

 大椿裕子参議院議員(50歳)の公開された資産が、預金105万円とされている。

 大椿議員は、社民党の副党首で先の参院選挙での吉田忠智(立憲民主党)氏の議員辞職に伴っての繰り上げ当選である。
 人様の懐具合を云々するのは慎むべきであり自分でも忸怩たる思いがあるが、大椿議員が「蓄財に頓着しない、清廉な井戸塀政治家」であるとしても、50歳女性の資産が105万円とは頷けない思いがする。
 大方の一般的50歳女性と云えば、既婚者であれば「夫の不意に際しても葬式代くらいの自分名義預貯金を確保」しており、未婚者であれば「老後不安に備えて幾ばくかの預貯金・金融資産を考える時期」であると思う。大椿議員の私生活などは伝えられていないので節税対策や危機管理のために資産を分散されておられるのかも知れないが、公になっている経歴などから見ても105万円の資産とは如何なものであろうか。
 大椿議員の来し方やWikipediaの記事を眺める限りでは、紛うかたなき「残り少ない社民党闘士」とお見受けするので、憲法特に9条堅持は当然のこととするものの、《「日本人の日本人による日本人のための政治をする人を選ぶ」と言うのがそもそも間違いです。国籍にかかわらず、この国で暮らす人々のことを考えるのが政治です。》という主張は再考して頂きたいものである。
 「同化しない異教・異境の民」が移住地の文化と秩序を破壊する現状から、マクロン、メルケル両氏の様な中道左派色の指導者と雖も「節度ある移民政策」に転舵を余儀なくされていることを観れば、大椿議員の主張は明日の日本を独仏米並みの混乱に投げ入れることに繋がるように思える。また将来的な危惧は置いても、既に顕在化している近隣トラブル、医療保険制度の悪用、治安の悪化、不法滞在者の収監・強制送還などに国費を含む多くの資源が浪費されていることなどをも、冷静に学んで欲しいものである。

 公開資産云々とは別であるが、比例名簿4位である大椿議員の繰り上げ当選にも釈然としない思いがする。名簿2、3位が辞退しためとされているが、副代表を議場に送るための忖度は無かったのであろうか。
 自分の様な勘繰りが生まれる素地を持つことを思えば、比例選挙は無くすべきではないだろうか。「地域には密着していないが、全国的に活動する知識人などを議場に送るため」とされている比例選挙であるが、選挙区立候補者の保険であったり、名簿記載者を1年ごとに議員にするという荒業を公言する政党もあったことを思えば、比例制度の目的も色あせて見える。


矢田稚子氏が総理補佐官に

2023年09月16日 | 野党

 前参議院議員で国民民主党副代表の経歴を持つ矢田稚子氏が総理補佐官(賃金・雇用担当)に任命された。

 不勉強の所為で矢田氏について知らなかったのでWikipediaにお願いしたが、軟弱化した現在には珍しい「苦学力行」の方とお見受けした。
 矢田氏の総理補佐官受諾に対しては、野党分断の狙い、連合(電機連合)の取り込み、国民民主党の連立参加布石、と喧しいが、矢田氏個人の政治活動の延長線上の必然と見るべきであるように思える。
 先の通常国会の予算委員会では、予算に関する質疑は20%に満たず、それ以外は閣僚・与党議員の資質や不正疑惑の追及で占められていたとされるが、本会議で反対票を投じた立民の公式見解は「審議が尽くされていない」であったとされている。予算審議の場にあって「閣僚の箸の上げ下し」を国家の一大事と攻撃する作戦は、政権運営と内閣支持率維持に苦悩する政府から多くの譲歩と来年度予算の修正を勝ち取ったであろうかと思いきや、政府原案から1円の修正も成し得ていない。
 野党の政治家を大別すれば、空理・空論に近い思想を玉条として意に添わぬ政権・政策を全否定する理想派と理想実現のためには政権の意思決定にも関与する実務派に大別できるのではないだろうか。政治家個人の労度・負担を考えると、理想派は攻撃材料を発見(週刊誌等で十分)して委員会の場で火を点ければ仕事の大半は終わったも同然で、後はメディアや世上の沸騰に委ねることで使命は果たせる。一方、実務派は現状の問題点と原因を調査・考察して改善策を見つけ出すことを出発点とし、法制化に当っては党内・政党間・官僚の根回し・説得が必要となることから、実務派の活動Mhは理想派に数倍するのではないだろうか。

 既に政界から距離を置いている矢田氏であるが、来し方・主張をWikipediaで見る限り、今回の補佐官受諾からは実務家として「主張の一部でも実現したい」、「問題点の一部でも解決したい」、との心情・熱情が窺い知れる。
 外交辞令・永田町言葉であるかもしれないが、矢田氏と行動を共にした経歴を持つ国民民主党の榛葉幹事長の「政局で捉えるのは矢田氏に申し訳ない」とのコメントが一面の真実を伝えるものと思いたい。
 矢田氏にあっては、外野の思惑・中傷に迷うことなく、所掌する賃金・雇用に関して実務経験に根差した提言を期待したい。