アメリカの2銀行の破綻が報じられた。
最初に、以下の記述は経済音痴の故に誤解などが多いだろうことを予めお断りさせて頂く。
10日にカリフォルニア州を拠点とするシリコンバレー銀行が、12日にニューヨーク州のシグネチャー銀行がそれぞれ経営破綻したことで、先進国では珍しい「取付騒ぎ」が起きている。
2行の経営破綻は、相互に影響しあったいわゆる連鎖倒産ではないものの、連邦準備制度理事会(FRB)による金利引き上げが共通の原因とされているようである。
米財務省とFRBは、2行の経営破綻は限定的なものでリーマンショックの再来ではないとするとともに取り付け騒ぎ沈静化のために「全預金者の完全保護」を表明したが、経営破綻の原因が原因だけに全銀行にも破綻や業績悪化の可能性があると指摘されていることを思えば、他行も安泰とは呼べない事態かとも思える。
「経済は生き物」と呼ばれるが、経済政策の一環として金利を操作すると専門家でさえ予測できない副作用が出るものであるらしいことは、「抗がん剤治療」が思わぬ副作用を引き起こすことと似ているように思える。
アメリカは、中国との経済摩擦で低迷する国内経済刺激策として低金利を導入したが、ウクライナ事変という外的要因も加わって急激な物価上昇・悪性インフレを招いた。そのためにインフレ抑制のために段階的に金利を引き上げたが、引上げに際して考えもしなかった銀行の信用不安という新たな事態を招いてしまったと理解している。
日本でも、穏やかなインフレを目指したアベノミクスでゼロ金利の金融緩和を採用したが、数年かかっても初期の目的は達し得なかった。そのため、識者やメディアでは景気刺激策としての金融緩和は有害で撤廃すべしとする主張を良く耳にしたが、その方々は今回のアメリカ2行の例で示された「金利を操作することで出現した想定外の副作用」をどのように観ているのだろうか。
今年はかっての「春闘」を思い出されるような労使の攻防が再現され、長年に渡って一時金や賞与で肩代わりされ続けた賃上げについても「ベースアップ」が相次いでいる。
この様変わりは、ウクライナ事変によってもたらされたものであることは間違いなく、更には防衛装備増強にまで及んでいることを思えば、ロシアの横暴が引き起こしたウクライナ事変は日本にとって「令和の黒船」のようにも思える。
預貯金の利息が1%であっても0.0001%であっても大して違わない貧民の自分ではあるが、米銀行の信用不安が浦賀(今は成田?)に上陸すれば、それは大ごとで、金利を操る黒田総裁イヤ植田総裁には熟慮をお願いしたいものである。