年に一回の夏祭り。多くの人で賑わっていました。 当時手の中に50円位しか持っていなかった記憶があります。時代が時代です。50円もあれば、りんご飴とか綿菓子が買える時代ですよ。そんな中、僕の目を引いたのが、「ピヨピヨ」と鳴く鶏のヒヨコでした。
「かわいい」手を出すとピヨピヨと手の中に入ってきます。
「ぼうず、一匹どうだ?」と声をかけられます。
値段は、餌付きで60円でした。
「おじさん。僕50円しか持っていないんだ」と言うと、
「じゃー餌無しで50円でいいや」と言われた記憶があります。
とても迷いました。このままヒヨコを買って帰ったら親からなんと言われるだろうと・・・。でも、手の中のヒヨコは僕から離れようとはしません。 そんな様子を見かねた店のおじさんが、
「そのヒヨコ、ぼうずが気に入ったみたいだから、いいよ、いいよ、餌付きで50円で」と売ってくれました。
確か紙袋に入れてもらって家に持ち帰った記憶があります。
そして家に戻ると、当然親からは「そんな物どうするの? 自分で育てられるの?」とか、兄からは、そんなもの直ぐに返してこいとか、さんざんでした・・・。
でも、そのヒヨコは本当に僕から離れなかったんです。ついに親も折れて、その夜は、夏の蝉取り籠の中入れて僕の布団の横で一緒に寝ました。
その夜に両親の会話で、「あの子、ヒヨコどうするんだろう?」
おやじが、なーに「縁日のヒヨコなんて直ぐに死んでしまうよ。心配いらないよ」という会話が聞こえました。
その後、毎日のように籠から出して、部屋の中を散歩させ、夜は籠ごと一緒に布団で寝ました。そして、縁日でもらった餌が無くなり・・・。
「かあさんお願いだから、鳥の餌を買って?」とせがむも、「鶏のエサなんてこの辺りでは売ってないから自分で何とかしなさい」と言われてしまいました。
ヒヨコはなんでも食べます。でも、白米を食べると下痢を起こすのは不思議でした。可哀そうでしたが、2回ほど試して見て、やっぱり白米を食べると、下痢をしました。2024年の今、検索してもそれらしい答えは見つかりません。ただ、鳥類は、白米(炊いたご飯)を与えると下痢をする事が多いとインコの飼い方に書いてありました。これも今現在の知識です。当時はわかるはずもありません。 たかがニワトリのヒヨコです。ペットのように育てる人は周りにいない時代です。学校の図書館にもそれらしい本はありませんでした。
さすがに困った・・・。餌が無いとヒヨコは死んでしまいます。そこで、そういえば知り合いの大工さんの家で鶏を飼っていたのを思いだして、その事を母親に話すと・・・
観念した様子で「明日少し餌を分けてもらえるか聞いてみるよ」という話になったんですね。
そして飼い始めて3日後、僕は名前を「ぴよたろう」と名付けて、可愛がり始めたのでした。
今日はここまで。続きは明日です。良かったら続きをどうぞ。
今でも・・・と言っても14年以上も前ですが、僕の手の中ではヒヨコは眠りにつきます。
気持ちよさそう。 もちろん生きてますよ(笑い)。この写真はいつ見ても癒されます(手前ミソですが)