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世田谷の本格フレンチ「アンシェーヌ藍」、スタッフは障害者 「夢と希望を」 /東京

2012年06月19日 01時45分02秒 | 障害者の自立
 ハープの美しい音色が店内に響き渡り、皿に盛られた色とりどりの料理が整然と運ばれていく。飲食店が建ち並ぶ世田谷区三軒茶屋の一角にひっそりと構えたフレンチレストラン「アンシェーヌ藍」は、障害者の自立支援を目的とした社会福祉施設で、接客などのスタッフはほぼ全員が障害者だ。障害者が働く店で本格的なフランス料理が楽しめるという、全国的にも珍しい施設ができた背景には「障害者が夢を持てる職場づくりを目指したい」という関係者の強い思いがあった。

 アンシェーヌ藍は96年にカフェとしてオープンしたが、運営する「社会福祉法人 藍」の竹ノ内睦子理事長が「誰もが『すてきね』と言うような場所で働く権利が障害者にもある。高級感のある場所で誇りを持って働いてほしい」と思い、改装を決意。東京会館(千代田区丸の内)に38年勤めていた尾原寛さん(64)を調理長に迎え、09年からレストランとして再始動した。

 尾原さんは調理師を退職後、母の介護をしながら福祉の勉強をしていたが、元同僚からアンシェーヌ藍のシェフ募集を聞き、応募したという。精神障害や知的障害がある店員に「飲み物はお客様の右から、食事は左からお出しして」などと、フレンチのテーブルマナーを根気よく教えた。尾原さんは「他の店に行ってマナーを覚えてくるのか、知らないうちに彼らが進歩していくのが楽しい」という。

� 同じく公募で採用されたマネジャーの大野圭介さん(40)は精神保健福祉士の資格を持ち、同店に来るまでは社会福祉施設の職員だった。大野さんは「障害者の『作業場』はあるが、働いて稼げる福祉施設があったらいいと思っていた。お客様の中にはスタッフが障害者20+件と気づかないで帰る方もいる」と話

 スタッフの北原大吾さん(35)は、ホテルマンとして働いていたが夜勤が多く、20代後半から精神疾患のため、勤めては仕事を辞めることを繰り返したという。1年ほど前に同店へ来てからは、時折あった遅刻も最近はなくなってきたといい「病気への理解がある環境で、仕事ができて幸せ。1、2年の間に一般就労できるようになれれば」と意欲を見せる。

 疾患のことを考慮し、現在はランチ営業のみで、ディナーは団体予約で受け付けている。竹ノ内理事長は「健常者が望むことは、障害者も望んでいいはず。お客さんが来ないとスタッフはがっかりするし、来れば誇りを持って仕事して、やりがいを感じている。障害者の『仕事がしたい』という意欲に応えていきたい」と語る。

 営業時間は午前11時半〜午後2時半、定休日は土日祝日。問い合わせはアンシェーヌ藍(03・5430・3671)へ。

毎日新聞 2012年06月18日 地方版


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