悠山人の新古今

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紫式部集115 何という

2006-09-09 04:15:00 | 紫式部集

2006-0909-yms115
何という有難いことなのかしら
五月五日に経五巻とは   悠山人

○紫式部集、詠む。
○これ以後は、写本によって扱いが大きく異なるが、私は基本的には、基本本とする新潮版に拠る。同書では、「日記歌」として連番歌扱い。日記歌は、「古本にのみある。『紫式部日記』の中の歌で家集にないのを抜き出したのであろう。」(新潮版) 平王ク歌番号066。渋谷版(実践女子大本)では第65歌。

○この歌は、本来なら仏教経典の知識を前提にしている(以前にも述べたように、当時の貴族階級は、かなり深く仏教を理解していた)が、ここでは略す。1008(寛弘5)年4月下旬から約一か月、仏典の連続講義を受講したときの歌。一番人気の法華経提婆品(だいばぼん)に当たったのが、端午節(せち)なので、作者もことのほか喜んでいる、という歌。「経」に「今日」が懸かる。そういえば、きょうは重陽節(ちょうようの せち)。
¶妙なりや=何という有難いことでしょう、の仏教表現。
¶御法(みのり)=前記の経典。「法」は仏法。

□紫115:たへなりや けふはさつきの いつかとて
      いつつのまきに あへるみのりも      
□悠115:なんという ありがたいこと なのかしら
      ごがついつかに きょうごかんとは


短歌写真217 つき草は

2006-09-09 00:05:00 | 短歌写真

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つき草は移ろひ色と見られしに
言につけ訪ふ貴き紫   悠山人

○短歌写真、詠む。
○月草。ほたる草。つゆ草。世間では、月草は移ろい易い色の草花、と思われていますが、あなた(月草の君)は、言の葉に貴い紫色を付けて、貴い紫色の衣を着けて、訪ねて下さったのですね。「月草の」は、広辞苑にも独立の見出し語として載る。花名の「月」、言の葉に「付いた(色)」、「(訪問)着(の色)」の、ウルトラ3個の掛詞!? なお来館者なきため、重陽を待って、きょう、悠山人館閉門。栗飯・菊酒の日。
○本歌(表記はいつもの岩波文庫版に拠る)は、
   つき草の移ろひやすく思へかも
   わが思ふ人の言もつげ来ぬ   【万葉集 04-0583】
作者は分かっていて、大伴坂上大娘(おほともの さかのうへの おほをとめ)。郎女(いらつめ)とは別人。これも女心の切ない歌である。万葉集は難しいけれど、とても奥深くて心の琴線が爪弾かれる。
□つきくさは うつろひいろと みられしに
  ことにつけとふ たかきむらさき

【写真】自宅。朝露に濡れ、無花果樹の陰に隠れていた。昨日は白露。


番外 石蒜-9月壁紙

2006-09-09 00:00:00 | Weblog
2006-0909ex-yim_NikonWP
title : September's wallpaper by Nikon
yyyy/mm : 2006/09
memo : 石蒜(せきさん)。彼岸花。曼珠沙華。【写真】余りの美しさに、ニコン会員用9月壁紙(昨日着信)から、作品を損なわない程度にコラージュ。