言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
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その他勝手な思いを日記代わりに。

道成寺 赤頭

2013-03-24 | 能・芸能
『神 遊』  第45回公演 15周年記念
                 国立能楽堂 3月22日(金)19時開演

番組
● 仕舞   網の段  片山九郎右衛門
       西行桜  観世 喜之

● 能    道成寺 赤頭  前シテ(白拍子)& 後シテ(蛇体): 観世喜正
               ワキ(住僧):森常好 ワキツレ:森常太郎、館田善博
               アイ(能力):野村又三郎、井上松次郎
               囃子 太鼓:観世元伯 笛:一噌隆之
                  大鼓:柿原弘和 小鼓:観世新九郎
               地謡:片山九郎右衛門、佐久間二郎、小島英明、
                  谷本健吾、馬野正基、山崎正道
               後見:観世喜之、鈴木啓吾、古川充
               鐘後見:奥川恒治、桑田貴志、坂真太郎、中森健之介
               狂言鐘後見:佐藤融 鹿島俊裕 野口隆行 奥津健太郎

道成寺開演に先立ちカチカチと切火があった。お囃子方はじめ長袴の正装。なんとなく厳粛な雰囲気がした。狂言鐘後見の方々が紫色の大きな鐘を本舞台に運んでくる。太く長い竹竿に下げて鏡の間から運ぶのだけど、肩に担ぐのではなく、両腕を真上に伸ばし背中がほとんど弓なりになったようになって音もなく運ぶのだけれど腰に負担がかかりそうで大変そう。最後にもこの格好で運び去るのだ。善正師がこれに飛び込むのだし、なかに般若のお面やらなにやら蛇体に変身する小道具が詰まってるのだから、縦1.8メートル直径は1メールはあるような感じだ。作り物は能楽師が普通作るのだけれどこれは狂言師が作るのかな。正中に置き、鐘を吊下げる作業に移る。今度は物干し竿みたいな竹竿2本。先が割れていてそこに鐘の太い綱を挟み込み一方の竹竿の先は鈎になっている。これを使って先ず天上の滑車に綱を引っ掛け終わると、今度は鐘後見が程よい高さまで引き上げて笛座の柱にある金輪に固定する。終わると大きな鐘が舞台中央にブランブランしていて特に止めるふうでもない。観客ほとんどすべてがこのブランブランを茫然という感じで観ているのだ。白拍子の特殊な舞。そして烏帽子を払い落して鐘に突入、同時に落下。このタイミングは見もの。白拍子の衣装は唐織のシッカリしたもののようだしけっしてタイツのような軽くて運動に適した衣装ではないし、運動神経の鈍くなったシテ方もいることだし、ともかく鐘に消えたと見えた瞬間に落下してないと様にならないのだ。飛び込んで、落っこちてきたのが丸見えで、それから落下では観客はコケてしまうのだ。今回はまあまあで良かった。