言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

三人の会

2016-06-27 | 能・芸能
平成28年6月25日  国立能楽堂

番組
●仕舞
       『春栄』   谷本康介  (5分)
                      地謡: 関根小丸 坂口貴信 谷本健吾 鵜沢光
●能                    (80分)
       『養老』(水波之伝)  前シテ(樵翁)/後シテ(山神):  川口 晃平      後見:山中迓昌 観世喜正
                     前ツレ(樵翁の息子):林宗一郎   後ツレ(楊柳観音):観世淳夫
                     ワキ(勅使):殿田謙吉   ワキツレ(従者):大日方寛 御厨誠吾
                     笛:杉信太朗 大鼓:亀井広忠 小鼓:飯田清一 太鼓:小寺真佐人
                     地謡:梅若玄祥 井上裕之真 安藤貴康 角幸二郎 松山隆之 馬野正基 梅若紀章 角当直隆 
●狂言                   (35分)
       『舟渡聟』       シテ(船頭・舅):野村万作      アド(聟):内藤連アド  (姑):深田博治
●能                     (85分)
       『熊 野』(村雨留)   シテ(熊野):  坂口 貴信               後見:林宗一郎  梅若紀章
                      ツレ(朝顔):関根祥丸   ワキ(平宗盛):森常好   ワキツレ(従者):森常太郎
                      笛:松田弘之  大鼓:亀井広忠  小鼓:鵜沢洋太郎
                      地謡:観世清和 安藤貴康 松山隆之 清水義也 角幸二郎 上田公威 岡久廣 浅見重義
●仕舞                    (20分)

       『大江山』  観世銕之丞

       『采 女』  観世清和 

       『山 姥』  梅若玄祥
                       地謡:清水義也  浅井文義  岡久廣  浅見重義
●能                     (90分)
       『望 月』       シテ(小澤刑部友房):  谷本 健吾             後見: 山中迓昌 清水寛二
                    ツレ(安田友治の妻):鵜沢光  子方(安田花若):谷本悠太朗
                    ワキ(望月秋長):宝生欣哉
                    間:野村萬斎 
                    笛:一噌隆之 大鼓:亀井忠雄  小鼓:観世新九郎 太鼓:観世元伯
                    地謡:観世銕之丞 観世喜正 角当直隆 馬場正基 浅井文義 観世淳夫 川口晃平 坂口貴信 


観世家元の清和師・銕仙会の銕之丞師・梅若玄祥師。三師それぞれのもとで内弟子修行をした三人が立ち上げた「三人の会」。
その第1回目お披露目ということで、各家大先輩たちがしっかりと地を固めて見ごたえのある舞台だった。
大きなお祭りを見てきたような後味がする。「養老」ー水波之伝ー、豪快な舞を披露した川口晃平。切々とした風情を終始失わなかった「熊野」を演じた坂口貴信。慎重・冷静さを求められる役どころを失わなかった谷本健吾。ほんとにこれから楽しみな能楽師たちだ。
これぞ地謡という深みと豊かさを感ずる音声。お囃子は毎度のこと快適にお腹に響く。わけても松田師の笛。ほんとに皆さん名人なのだ。このほかに、大きな扇を捧げ持つようにして舞台に出てきた谷本康介(初舞台?)が健気に「春栄」を舞い、観世流の重鎮お三方による仕舞の至芸三番。清和師の「采女」は新鮮だった。また狂言方からも万作師の胸を借りて、素朴な味わいの「舟渡聟」を演じた若手、内藤連。休憩をはさんで6時間もの舞台だったが、変化と色彩に富んだ6時間だった。

栄典のあゆみ展

2016-06-24 | 所感折節
栄典のあゆみ -勲章と褒章ー         国立公文書館

勲章など殆ど興味はないのだけれど、実物を一堂にそろえて展示するという企画展に興味が湧いた。
鎖国から目覚めた日本が、欧米の国々に伍して成長してゆく過程で勲章・褒章は制度化された。
その経緯を記録した文書類。勲章・褒章の実物の数々。国の威信をかけ、偉人たちの胸や・首を飾る物だけに、見ただけで貴重なものだなと感ずる。最高位の勲章「大勲位菊花章頸飾」は、最後の元老・西園寺公望に授与されたもので、後に寄贈されたものだとのこと。
勲章と褒章は全く別物だというのを初めて知った。国家又は公共に対しての功労に報いたのが「勲章」で、それ以外の各分野に対しての功労に報いたのが「褒章」で、これは6色に分けられている。紫綬褒章が最高と思ってたが、これは科学技術分野のみで、他の紅・緑・黄・藍・紺と同等ということらしい。ただ文化勲章は国の文化の発達に特に顕著な功績のある人物に授与するということで国家レベルの勲章ということだ。 数百万人の日本人の血の上に功績ありと認められた軍人たちへの勲章とは、いったい何だったのかと思う。勲章なんて、一般市民には他人事でしかないゆえに何か複雑な感想だ。
国立公文書館って初めて知った。竹橋にある。ガッチリとしたなんの変哲もない、さして大きくもない建物だ。お濠に面した広い正面入口スペースには車1台駐車していない。役所なのか展示館の類なのかよくわからない建物だ。緑の木々に囲まれた、お濠の古びた石垣を眺めてると、なにかホッとした気になったのはどうしてだろうか。

『山姥』事前レクチャー

2016-06-11 | 能・芸能
6月11日  鎌倉能舞台

味方玄『テアトル・ノウ 東京公演』   『山姥』事前レクチャー (作品解説・謡実演・能装束の着付け)

『山姥』の小書として「雪月花之舞」「卵胎湿化」。味方玄の師匠片山幽雪が亡くなられて1年。
「雪月花之舞」は古くは追善の時に舞われたものとのこと。味方は師の追善の意も含め、勤めたいと述べておりました。
ところどころに謡を入れながら作品の解説。サプライズとして、キリのところは、中森健之介の地で仕舞を披露してくれました。
さすがに素敵な仕舞でした。休憩をはさんでから、装束の着付け。当日の装束はお楽しみにということで2時間あっという間だった。

6月の中旬ともなると鎌倉のアジサイは見ごろとなる。まして今日は天気にも恵まれ、明月院も長谷寺も大賑わいだった。
お昼ごろの長谷寺で、アジサイの群生を見るのに3時間待ちという表示が出ていた。
事前レクチャーの案内には、「アジサイを見、古典芸能に触れる1日は如何でしょうか」とあったけど、
とんでもない人出に予想が外れ、進行役のスタッフも恐縮しておりました。見所はしかし、ほぼ満席だった。