言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

神遊 第41回公演

2010-07-23 | 能・芸能
番組                    国立能楽堂

・狂言 『狐塚』 小唄入

       シテ(太郎冠者) 山本東次郎
       アド(次郎冠者) 山本則孝  
       アド(主人)    山本則重

 *** 蝋燭火入れ ***

・ 復曲能 『松山天狗』

       シテ(老翁・新院の霊)  観世喜正
       後ツレ(眷属天狗)    鈴木啓吾 古川充
       ワキ(西行法師)     殿田謙吉
       アイ(白峰の木の葉天狗) 山本泰太郎

     大鼓:柿原弘和 小鼓:観世新九郎 太鼓:観世元伯 笛:一噌隆之

梅雨明けてから連日暑い。この日も35度を超える猛暑日だった。開演は夕方の7時だったが外はまだ明るかった。館内は程よく冷房が利いていて心地よかった。例年この蝋燭能は完売らしいが、今回は空席があちこちあった。開演に先立ち、観世元伯さんから演目について簡単な解説があった。それによると700年も前に起った朝廷の内紛で、敗れた崇徳院は徹底的に冷遇されて讃岐に流され、以後中央からかえりみられる事もなく憤死したらしい。朝廷はどこかに引っかかるものが残ったのか、何か不都合なことが起こるとこの崇徳院の恨みだということになったそうだ。正確な情報が掴みにくかった時代というのは話しに尾ひれがついて面白いものだと思う。噂・妄想・思い込み等がいくらでも入り込めたのだ。天狗という眷属は一般人はなれないのだそうだ。皇族の人々しか冥界にで許されないのだそうだ。これも面白い。そして近年になって700年忌?が実際に宮中で施行されたのだそうだ。それだけ崇徳院の怨霊は大きいのだ。よくわからんけど。国立の舞台に20位の燭台が配置され蝋燭が灯される。加えて若干の照明が入り、舞台全体が木の祠の中のような雰囲気になった。西行法師が讃岐を訪れ崇徳院を想い歌を詠む。崇徳院の亡霊があらわれ西行に感謝し、舞いを舞う。しかし舞ううちに恨みが昂ぶり、天狗をひきつけ恨みを果たすべく豪快に舞を舞う。太鼓が結構お仕事するのだ。いつもは申し訳程度しかないのに。真夏の夜の観劇としてゆっくりとしたひと時をすごせた。

サッカーW杯2010

2010-07-13 | 所感折節
終わった。4年に1度のこの大会。オリンピックと同じ周期だけれど、単一の種目でこんなにも一国が盛り上がるというのもすごいことだ。細かいことは知らない。とりたててのファンという訳でもないが、子供のころ先生が「サッカーはヨーロッパでは国対国でやるのだ」というのがやっとわかったというところだ。一次リーグで日本が勝ち残れるとは思ってなかった。全敗で終わりと思っていた。しかし違った。しぶとく2位通過だった。しかも今大会準優勝国オランダと接戦の末、1点しか与えなかった。岡田監督が今大会ベスト4入りを掲げたのは正しかったのだ。指揮官はこうあるべきだろうと思う。初優勝したスペインチームのメンバーが、優勝トロフィーを天に突き上げ、全身が歓喜で
はち切れそうな写真を見てると、こちらまで熱く感じてしまう。

以下産経新聞(7・13)の抜粋。

・最終日は11日、決勝を行い、スペインが延長の末、1-0でオランダを下して初の頂点に立ち、優勝賞金3千万ドルを獲得した。
・2008欧州選手権優勝で人々の意識も変わった。自国民の後押しも受けての頂点。総得点は8点しかないが、失点もわずかに2点。これは優勝チームでは2006年のイタリア、1998年のフランスに並ぶ最少記録。また、初戦(スイス)を落としたチームの優勝は過去に例がなく、決勝トーナメントの4試合とも無失点で優勝するのも初めて。(決勝トーナメント4試合すべて1-0で通過していた)
・決定的な得点を決めると、イ二エスタは警告覚悟でユニフォームを脱いだ。白いTシャツには「ダニ・ハルケはいつもわれわれとともに」との文字が記されていた。昨年8月に急死したスペイン1部リーグ、エスパニョールの主将で親友でもあったダニ・ハルケに捧げるゴールでもあった。
・試合は序盤から激しいぶつかりあいとなった。微妙な判定も多く、最終的な反則数は両チーム合わせて実に47。カード数は今大会断トツの14枚で、歴代の決勝でも最も多かっ た。
・開幕前はインフラ整備の遅れや高い犯罪率から開催能力を疑問視する声が噴出していた。だが、懸念されていたテロや暴動などの非常事態の発生はなかった。期間中は4万4千人の警察官を投入して厳重な取り締まりを実施、・・観客動員数も300万人を突破し、興 業的にも成功を収めた。
・ドイツ西部オーバーハゥゼン水族館のタコ「パウル君」。今大会のドイツ代表の計7試合と決勝戦の結果をすべて的中、  9日の予言の際には、世界各地から100人以上のジャーナリストが殺到。欧米や中東の計約600のテレビ局が生中継したという。
・アルゼンチン・マラドーナ監督(ベスト8で敗退) 「人生で最もつらい瞬間。顔をけられたようなものだ」

神遊 第40回記念公演

2010-07-03 | 能・芸能
神遊 第40回記念公演(祝言能) 於:矢来能楽堂

演目
・能  『菊慈童』
      シテ:観世喜正
      ワキ:森 常好
      ワキツレ:高井松男 梅村昌功 野口能弘 野口琢弘

・狂言 『鐘の音』
      シテ:高澤祐介
      アド:三宅右矩

・仕舞 『枕慈童』 大槻文蔵
    『大瓶猩々』観世喜之

・能  『猩々』
      シテ:観世喜正
      ツレ:小島英明
      ワキ:舘田善博

「祝言」と表記されると結婚式のイメージしか湧かなかったのだけれど、当日能楽堂の入り口で手渡された資料を読むと能に於ける「祝言」についていろいろと記されていて勉強になった。要するに「めでたい曲全般」をいうのだ。めでたい曲ならば脇能かなーと思ったりしたけど研究者の解釈では、一部の曲が明治以降に「祝言能」と呼ばれ現代に至ってるらしい。「めでたさ」の印象を強くするためなのか、演能の最初か、最後に演ぜられ、簡潔にということかどうか知らないが、演目の後半のみを抜粋して演ずるいわゆる「半能」の形式をとるのが一般的らしいが、今回の神遊の試みは、半能でなく完曲で演じたということにあるのだ。「菊慈童」は謡本まで半能に改訂されてるくらいでこれを全曲通して演じたのは平成16年と記載されていることから、復曲された能なのでしょう。仕舞に「枕慈童」とあってこれは誤植かと思ったが、物語の内容からすると両方ともありで「湯谷」と「熊野」みたいなものだった。「菊慈童」は「帝に永遠の生命を捧げることで当代の泰平を寿いだ作品」また「猩々」は「猩々夫婦が曲を通し登場し、夢を信じて商売する男の孝行や御代の泰平を讃美した作品」とあった。めでたい曲だけに装束は豪華絢爛。舞台は華やいだものでした。ちょっと物足りなかったのは、地謡とお囃子でした。湿気のせいか大鼓のカーンという冴えた音が少なかったです。また入り口ではいつもの和菓子の販売に加え、特製の軽井沢モルトウィスキー販売とワンコインのワインサービスがあった。