言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

幽玄ということ

2009-12-31 | 読書 本
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世阿弥能の幽玄とは永遠のまたの名だったのだ。

そこに在って無いもの。それが幽玄だ。
非在の在。それが幽玄だ。
幽冥を彷徨しながら、嚇嚇たる光で彩られたる世界、
それこそ幽玄であったのだ。

彼等儚き者、美しき者、猛々しき者、おぞましい者、
呪われし者、神々しき者達の世界は永遠に続くだろう。
なぜならば一度終わってしまった世界は、
もう二度と終わることがないからだ。
・・・
            「暁けの蛍」 朝松健

第8回 喜正の会

2009-12-23 | 能・芸能
番組
・一調   『笠の段』 謡 片山清司     大鼓 国川 純

・仕舞   『巻絹』  山崎正道
      『龍虎』  遠藤喜久 奥川恒治
      『雲林院』 観世喜之

・能    『松風』見留
      シテ(松風) 観世喜正    ワキ(旅僧) 工藤和哉 
      ツレ(村雨) 味方 玄    間 (浦人) 高澤祐介

      大鼓:國川 純  小鼓:大倉源次郎  笛:藤田六郎兵衛

先日の「松風」は十分に観た気がしなかったが今回はじっくりと観賞することができた。前回はあまり気にならなかったが、幕が揚がるまえのお調べでの能管の音がなにやら気持が籠ってるように聞こえた。ススキの穂がたくさん茂ってる野原みたいな情景を感じた。ふーんなんて思っているうちに舞台にお囃子方が着座し始まったのだけど、やはり笛は鳴ってたなー。3人分くらい鳴ってたように思う。ひしぎもビヤーという感じで背筋が伸びました。この曲は広く知られた曲で能の定番の一つと聞いているけれども、どこがどうだったと記録できるほどたくさんの曲を観たわけではないのだけど、今回は何を語っているのかということがかなり聞き取れたというのは収穫だった。これまで多くの能の語り・・謡の文言が面のせいでくぐもっていたり発声のやり方でなのかよく理解できなかったのだけれど、この曲は謡本を学習したためか舞や所作に見どころを集中できた。そういう意味でこれが自分にとって今後の「松風」の基準となると思う。ユッタリと流れる時間の中で、一つの華やかな舞台を見せてくれる日本の伝統芸能をみたような感じがする。