本なんかでよく見るあのルオーのぶっとい輪郭線で描いたキリスト(受難)の実物を初めて観た。一点だけかと思ったらたくさんの絵に同じような顔が描かれていて、ここにもあるここにもあるというほどだった。いかにも油絵という描き方で、カンバスにてんこ盛りして描いたのもあり、接近しても、離れて観ても印象や感じが違い面白い。銅板や石版のもあってどの作品も逞しい豪快な線で表現されていて日本人ではあそこまで割りきる作家はその時代にはいなかっただろう。宗教画家といわれるだけあって、ホンワカした癒し系の絵はなかったように思う。たくさんあった絵のどれもが石造りの建物の、ちょっと薄暗いところにでもさりげなく飾ると引き立ちそうな絵ばかりだったような気がする。観終わって会場の休憩室から眺めた皇居がすごくみずみずしく日本を感じさせてくれてこれも良かった。
出光美術館 (JUN14~AUG17)
出光美術館 (JUN14~AUG17)