言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

ルオー大回顧展

2008-08-14 | 所感折節
本なんかでよく見るあのルオーのぶっとい輪郭線で描いたキリスト(受難)の実物を初めて観た。一点だけかと思ったらたくさんの絵に同じような顔が描かれていて、ここにもあるここにもあるというほどだった。いかにも油絵という描き方で、カンバスにてんこ盛りして描いたのもあり、接近しても、離れて観ても印象や感じが違い面白い。銅板や石版のもあってどの作品も逞しい豪快な線で表現されていて日本人ではあそこまで割りきる作家はその時代にはいなかっただろう。宗教画家といわれるだけあって、ホンワカした癒し系の絵はなかったように思う。たくさんあった絵のどれもが石造りの建物の、ちょっと薄暗いところにでもさりげなく飾ると引き立ちそうな絵ばかりだったような気がする。観終わって会場の休憩室から眺めた皇居がすごくみずみずしく日本を感じさせてくれてこれも良かった。

  出光美術館 (JUN14~AUG17)

逢春と非水

2008-08-11 | 所感折節
逢春と非水の素描を出版物で観た。両方とも主な内容は自然の花々がモチーフとなっているのだけれど、印象に大きな違いはない。両者の線の引き方、彩りのしかた、とても似ている。非水の作品は版画が主体となっているので、線が細部にわたってすっきりと描かれているが、逢春のはスケッチそのものであって、かすれていたり、幼稚にみえたり、見事にスッとひけているのもあり、デッサンするうえでとても参考になった。ボタニカルアートほど克明な描き方ではないが、やさしく美しくどこか儚く感じるのはやはり日本画というものなのだろうか。

「山口逢春素描集」:山口逢春記念館発行
「非水百花譜」:ランダムハウス講談社発行