ポスターに魅かれて松尾敏男展を観た。
2016年に90歳で亡くなった日本画の巨匠。
2012年に文化勲章を受章していたとは知りませんでした。
フライヤーの裏面に簡単な解説文が載っているが、
それによると「本展は、松尾が最後の展覧会として自ら構成を練り作品選定を行いました・・・」とある。
抽象的な絵、風景画、人物画、牡丹の花の絵、素描、などなど約50点あまり。
日本画なので、屏風とか襖のような画材に描かれた作品も多い。
優雅・幻想的・静謐静寂・気が付いたらそこに在る的なそんな絵のように思う。
生まれ故郷の長崎の夜景を描いた作品など、会場の対局くらい離れて観るとほんとに幻想的だ。
ほの明るい夜空の下に黒々と沈む長崎の町。そこに散りばめられた無数に輝く灯の数々。
あるいは無数の鵜を浮かび上がらせるように、激しく燃え盛る松明。
しかしその紅蓮に燃える炎は美しいけど熱さを全く感じない。光のような炎に感じる。
牡丹の花を描いた作品が多かった。どの作品も実際の花よりも花らしいのではないのか、そんな絵に思った。
会場で「父、松尾敏男へのレクイエム」と題して、ピアノやフルートの演奏があるのも分かるような気がした。