言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

住吉詣

2024-12-01 | 能・芸能

古典の日 の記念として 源氏物語を素材に 雅楽と能の公演があった

 雅楽
   16人の楽士が舞台に揃い 管絃と催馬楽 を奏する
             
       管絃として    平調音取   王昭君   萬歳楽

       催馬楽として   伊勢海 
                   
  能  住吉詣 

      光源氏 梅若紀章    明石の上 観世喜正    惟光  鈴木啓吾   他12名

      お囃子 3名   後見 2名  地謡 8名    全部で28名

   この物語は 宮中人が住吉神社にお参りにくる話なので 衣装が豪華

   広くもない舞台に28人が色とりどりの衣装をまとい演技する

   舞台に秋の景色を観るようだった

この日も良い天気で 千駄ヶ谷のイチョウの木々は見ごろだった

             


万作師 芸歴90年

2024-11-17 | 能・芸能

万作師は93才 今も現役で能舞台に立つ                        能楽堂中庭に咲くツワブキ

             

3才で初舞台 以来芸歴が90年になり その節目として 演目 三番叟 の踏み納めを披露した

客席はビッシリ満員 NHKも取材に入っていた

             

三番叟自体は 30分余りの演目なのだが 平和な曲ではなく 祈りの曲なので 

心身共に充実してないと 演じられないし なにより観客の目は厳しい

年齢は関係ないのだ 

歩み 走り 飛び 声を張り 重厚な囃子を背に 新鮮な三番叟を魅せてくれた 

若さ漲る三番叟 落ち着きのある三番叟 枯れても尚生命を感じさせる三番叟・・・ 

万作師は 今回をもって踏み納め というけれど 気丈であれば またその時の三番叟を観たい

今回のは大人の三番叟と思う

             
              万作一門総出演でした

万作師の踏み納めを祝し 観世 宝生の家元はもとより 囃子方も家元が集まり 賑やかな会だった

国立能楽堂までの歩道は イチョウ並木が続く   もうしばらくしたら 秋色に染まりそうだ

             
                           JR千駄ヶ谷駅前のイチョウ



能 盛久

2024-09-09 | 能・芸能
盛久 を観に行く  

観世九皐会九月定例会 矢来能楽堂   シテ  観世喜正    ワキ  宝生常三
    

あらすじ・・・平盛久は 源平の戦いに敗れたのち捕らえられ 鎌倉の頼朝のもとに護送された

信心の篤い盛久は 移送途中にも 清水寺に向かい 観音経をとなえるうちに夢を見る

やがて由比ガ浜で 断首されようとしたとき 刀は真っ二つに折れ 処刑は中止された

盛久が見た夢は 頼朝も見た というのだ 

頼朝はこれを奇遇とし 刑を許し 盛久の舞う男舞を観るのだった


時間にして1時間余り  派手でもなく女々しくもなく 刀が折れる場面は振り上げた刀を前に放り出す演出だった 

幕が上がり橋掛かりに歩み始めるとすぐにシテが語り始める  このような出だしはあまりない 

見ごたえがあったのは男舞   大柄の喜正の舞は舞台が狭く感じるほどだった

この日も暑かった  でも和服 背広姿の方も多かった 気を引き締める何かが 古典芸能にはあるのかもしれない

このところの空には秋ともつかない雲が湧く


鸚鵡小町

2024-06-10 | 能・芸能
暑くもなく 寒くもない 9日の午後 国立能楽堂に行った
                         

番組は
    ● 狂言 文相撲  シテ 山本東次郎

    ● 能  鸚鵡小町  シテ 観世喜正  ワキ 野口能弘

                 笛 松田弘之  小鼓 鵜澤洋太郎  大鼓 柿原弘和  太鼓 小寺真佐人

老女モノは 動きが少なくまた躍動的ではない  台詞も理解が難しく 一度見聞きしたした位では全然わからない これで100分位観続けるのはとても辛い
隣に座った観客は 謡本を見ながら鑑賞していたけれど かなりの人が謡本を読みながら観ていたようだ  当方はときどきウトウトした
                         

あらすじは
年老いて 目も不自由になった小野小町に ある日帝の勅使が訪れる
帝は 優れた和歌を集めようと考え その昔歌人として活躍していた 小町を思いだし 今は零落した小町に 帝 自ら和歌を詠み 勅使に託し 返歌を望んだのだった

眼の不自由な小町へ 勅使が詠む帝の和歌
         雲の上は ありし昔は 変わらねど 見し玉簾の 内やゆかしき 
を聴き 小町は
         雲の上は ありし昔は 変わらねど 見し玉簾の 内ぞゆかしき

つまり 御所の内を懐かしいと思いませんか という問いかけに 懐かしいと思いますと オウム返しに一字を変えて 返歌としたのだった


そして 勅使の請われるまま 小町は舞を舞い 勅使を見送るのだった
 
 
 
 

舞 三番

2024-03-12 | 能・芸能
観能が続いた

『三人の会』   観世能楽堂  9日

   ●  野宮    シテ  谷本健吾     ワキ  宝生欣哉

           大鼓 亀井広忠    小鼓 観世新九郎     笛  松田弘之

      ・序の舞  
         六条御息所が巫女として仮住まいした野宮  そこを訪れた僧 その僧に御息所の霊が回向を頼む 葵上との車争いに敗れ その時の執心を晴らして欲しいと
         僧が回向すると 御息所の霊が現れ 源氏との華やかだった日々 愛を失った悲しみを込め 月の光の下 静かに舞を舞う     

           野の宮の 月も昔や 思うらん 影寂しくも 森の下草・・・
 
    ●  邯鄲      シテ 川口晃平     ワキ  宝生欣哉

          大鼓 亀井広忠   小鼓 飯田清一   笛  杉 信太郎   太鼓  林 雄一郎

      ・ 楽
         盧生が旅をし 邯鄲の里に一夜の宿を求めた時 女主人の薦める枕で眠りにつく すると盧生は王になった夢を見る 
         位 人心を極め栄耀栄華に満たされた日々  その喜びを込め悠然と舞を舞う

              いつまでぞ 栄華の春も常盤にて なお幾久し有明の月・・・・

『観世九皐会 三月定例会』  矢来能楽堂  10日

     ●  誓願寺      シテ  観世喜正    ワキ  宝生欣哉

                 大鼓   柿原弘和  小鼓  鵜澤洋太郎  笛 杉 信太郎  太鼓  林 雄一郎

       ・序の舞 太鼓入
           京都の誓願寺で仏法を広める一遍上人  そこに和泉式部の霊が 歌舞の菩薩となって現れ 誓願寺の境内が 極楽浄土に化したかのように優雅に舞う

             ひとりなお 仏の御名を尋ねみん おのおの帰る法のにわ人・・・・
 
  両日あわせて ・ 仕舞

   ・西王母 観世喜之  ・定家 観世銕之丞  ・賀茂 観世喜正  ・善知鳥 坂口貴信  ・西行桜  弘田裕一  ・玉之段  桑田貴志



太鼓職分会

2024-02-13 | 能・芸能
7年前 観世流太鼓方の観世元伯師が亡くなった  51歳だった

師の追贈記念として 第一回 観世流太鼓職分会 が 銀座の観世能楽堂で開催された

最初に 20年余り前 師を含む 若手同士で 結成された 神遊 の能楽師たちによる 

 ● 舞囃子 高砂 八段之舞   

      観世喜正  
      大鼓 柿原弘和   小鼓 観世新九郎    笛 一噌隆之    太鼓 小寺

続いて 太鼓を中心に

 ● 一調    ・ 貝尽くし   野村太一郎   麦谷暁夫
         ・  百  萬   宝生常三    田中 進
            ・  野  守   藤波重彦    林 雄一郎
            ・  葛  城   浅見重好    加藤洋輝
            ・  山  姥   関根知孝    井上敬介
            ・  西行桜    梅若紀章    小寺佐七
          ・  巻  絹   観世銕之丞   金春惣右衛門

 ● 連調    誓願時   太鼓を 麦谷 鬼頭 徳田 飯森 大橋の各師

20分の休憩後 太鼓を師の長女 結子さんの披きで

 ● 道成寺    シテ   観世清和

          ワキ 宝生常三  舘田善博  梅村昌功

            大鼓 亀井弘忠  小鼓 大倉源次郎   笛 一噌隆之  太鼓 観世結子

          間  野村萬斎  野村裕基

その他 在京を中心に活躍されている大勢の能楽師たちによって演ぜられた

狂言 「花子」

2023-06-27 | 能・芸能
第18回 狂言ざざん座    6月24日   宝生能楽堂
番組
● 小舞  『海 人』   野村万作

● 狂言  『悪太郎』   悪太郎:月崎晴夫 伯父:石田幸雄 僧:破石晋照

● 狂言  『花 子』   夫:深田博治 妻:野村萬斎 太郎冠者:高野和憲

狂言師 深田が「花子」を披いた
狂言師として舞台に立ち 長く活動してやっと「釣狐」を演ずるのを許される
それから更に15年を経てようやく「花子」を演ずることが万作師から許された
「花子」は後半の独演独白が見どころ
花子は遊女 だが舞台には登場しない
夫に花子より 逢いたい という文が届く
夫は堪らなく逢いたいと思ったが妻の目が怖くてままならない
そこで一計を案じ 太郎冠者を身代わりに仕立て 喜び勇んで逢いに行く
しかし妻に見破られ 妻は太郎冠者になりすまして夫の夜帰りを待つ
明け方 夢見心地で帰ってくる夫
夫は 妻とも知らず 昨夜の出来事をトクトクと語る
黙って聞いている妻
やがて気づき 腰が抜けるほどに仰天する夫
怒り狂う妻・・・
             
六百年前も今も変わらない人間の情
面白かった




亀井忠雄

2023-06-09 | 能・芸能
能楽囃子大鼓方の亀井忠雄師が肺炎で亡くなった  81歳

テレビなどで観る能楽には
必ずと言っても良いくらい出演されていた
                    

あの腹にズシンと来るような音声は

舞台にハリとシマリを与えてくれたように思う
                 
大鼓は迫力が大切 と言い

全身 火の玉となって鼓を打て  と3人の子に芸を仕込んだ

長男は葛野流 能楽界に

次男 三男は 歌舞伎囃子田中を継承  

鬼の佐太郎 閻魔の忠雄と言われ

家には父が二人いると子達に言わしめた

すごい能楽師だったのだ


   映像は NHKスペシャル「鼓の家」から拝借しました


天鼓・小督

2023-05-08 | 能・芸能
観世会定期能 5月7日 観世能楽堂

演目
     ● 能 『小督』
              シテ(源仲国): 武田宗典
              ツレ(小督局): 北浪貴裕

     ● 狂言 『昆布売』 
              昆布売:三宅右近    何某:三宅右矩

     ● 仕舞  弓八幡:角幸二郎 杜若:津田和忠 蝉丸:武田尚浩 女郎花:藤波重彦

     ● 能 『天鼓』弄鼓之楽
              シテ(天鼓) : 観世喜正
              ワキ(勅使) : 宝生欣哉

高倉天皇の寵愛を受けた小督局
しかし正妻の父親 清盛の目を恐れ 宮中を出奔し身を隠す 
彼女を探す勅使 頃は 三五夜中の新月の頃
・・・峰の嵐か松風か それかあらぬか 尋ぬる人の琴の音か
     楽は何ぞと聞きたれば 夫を想ひて恋ふる名の 想夫恋なるぞ嬉しき・・・・

帝の命に背き処刑された天鼓 しかし召し上げた鼓は鳴らず天鼓の父を召し出し鼓を打たせる 
我が子の不憫を想い嘆く父に帝は思いを寄せ 濾水の堤で管絃講を催し弔う やがて現れる天鼓の霊 そして弔いに感謝し舞う
・・・人間の水は南 星は北にたんだくの 天の海づら 雲の波立ち添ふや濾水の堤の月にうそむき水に戯れ・・・・

太鼓の入った弄鼓之楽は良かった


三人の会

2023-03-12 | 能・芸能
「第八回 三人の会」  3月11日  観世能楽堂
                        
番組
● 仕舞 「春日龍神」  谷本康介

● 能   「俊寛」
         シテ:俊寛 坂口貴信  ツレ:谷本健吾 井上裕之真
         ワキ:宝生欣哉
         地謡:観世清和 山階弥右衛門 久田勘吉郎 関根祥丸
            清水義也 角幸二郎 上田公威 浅見重好
         囃子:大鼓 亀井忠雄   小鼓 飯田清一   笛 竹市学

● 狂言   「附子」
          シテ:山本則重   アド:山本東次郎 山本則秀

● 仕舞    「夕顔」  梅若紀彰
         「邯鄲」  観世清和

● 能     「山姥」
            シテ:山姥 川口晃平  ツレ:鵜澤光
            ワキ:森 常好
            地謡:梅若桜雪 坂口貴信 谷本健吾 梅若紀彰 
               松山隆之 安藤貴康 角当直隆 山崎正道 
            囃子: 大鼓 亀井広忠  小鼓 大倉源次郎  太鼓 林雄一郎  笛 松田弘之

同年代 それぞれ違う師匠に内弟子入門し いまや立派な中堅能楽師三人
地謡には同じ社中の先輩方で固め とてもしっかりした能だった
狂言では代役として東次郎師が出演しこれもメリハリの効いた狂言で面白かった