言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

2009-11-25 | 映画 音楽
良い映画だ。2時間余り画面にくぎずけ・・・
バックダンサーを世界中からオーディションで選考する。多くの肌の色の違う若者がマイケルとともに踊れることを感動をもって応募してくる。選ばれステージに立ったダンサーたちはまさに超一級のダンスセンスに溢れた若者たちだ。マイケルが「こうしたい」と振り付けることをすぐに理解して、スピード感溢れるダイナミックでパワーに満ちたダンスを展開する。「ウェストサイドストーリー」も当時は斬新だったけれど、この映画は物語ではない。マイケルの個人的な記録なのだ。夢のロンドン公演のための稽古風景を実写したものだ。「フルヴォイスでは歌わない」と映画で本人が語ってるけど、自分には十分に歌っているように聞こえた。か細い高音も、十分にサビをきかした叫ぶような歌いっぷりも見事なものだった。それよりもなによりもダンスシーンは圧巻と思う。マイケルは超人的だ。多くのエネルギー溢れた若者たちを凌いで踊りまくる。ホントにどの場面を切っても絵になるというか人間の瞬間的な美を体現していると思う。それにしても彼の手は大きい。・・と思う。その手が自在に空間を切り取ってゆく。そのスピード、そのカタチ。脚がまた長くていい形してるのだ。これが信じられないくらい多様に表現するのだ。前にも後ろにも。もちろん空中にも。もう全身がダンスなのだ。彼は自分の感ずることを、バックの演奏者・ボーカリストに躊躇なく伝え、創造をしてゆく。細かいこともキチンとそれを再生してゆく。あの大音響に誰もミスるということがない、誰も夢中になってマイケルとともにショーを作り上げてゆくのだ。映像や音響を支える技術人もみんな天才的な人達ばかりに見えた。それが実現できなかった。マイケルのあまりにも唐突ともいえる死。一体何なのだ。なにが真実なのだ。と思う。マイケルはこの映画で、地球の再生を訴えている。またいつも「アイ ラブ ユー」と言って人に目を向けている。あんなに人から傷つけられていながらも。すごいエンタテイナーだったのにまったくもって残念だ・・だけでは表現できない。マイケルを惜しむ人達はたくさんいる。平日というのに、また上映が延長されたというのにもかかわらず、今日上映分の座席は全て売り切れということからもわかる。 合掌

第48回 野村狂言座

2009-11-06 | 能・芸能
番組

『貰聟』   舅:三宅右近
       聟:三宅右矩
       妻:三宅近成

『柑子』   太郎冠者:野村万之介
         主   :石田幸雄

    ・素囃子『楽』 内田輝幸 観世新九郎 徳田宗久 内潟慶三

『老武者』   祖父:野村万作  三位:野村萬斎  稚児:野村裕基
        宿屋:深田博治  若衆:野村遼太・中村修一・岡聡史
        老人:月崎晴夫・高野和憲・竹山悠樹・石田幸雄

ほぼ満席。圧倒的に女性が多い。上演中どこかで携帯の音がしていた。それも演者が丁度沈黙するところで。皆その音を聞いてる感がした。所有者は堪らんだろうと思うけどしかし元々は喧騒に近いなかで演じられた狂言と思うけど想像すべくもない。今回初見は「老武者」。素囃子を奏した能楽師達がアト座に端坐する中、揚幕が上がり、裕基君が漆黒の笠に真っ赤な頭巾で顔を隠し赤の衣装で橋掛りを歩み、松一つ置いて萬斎先生が薄青い水干?をまとい現れ、続いて宿屋と共に音もなく本舞台に。能仕立てなので、萬斎先生の謡から始まった。いい声です。「紅葉狩」の調子かなと思いながら聴きほれる。能楽師だともっと野太い声になるかもしれないけど。宿屋で親子寛ぎ、親の「柳の下」をひとさし舞い、稚児は大あくびしたりしてのびのびとした演技。そのうち若衆が押し寄せ、宴となり「掛川」を遼太君が舞う。遼太君の声に余裕が出てきた感じがする。今度は一度宿屋に締め出された祖父が腹いせに仲間を集め、長刀・鉈・熊手・さすまた?等の武器を持って宿屋を襲撃するのだが出で立ちが面白い。全員が面をつけカラフルな山伏のような格好で祖父役の万作先生を筆頭に橋掛りを踏み渡る・・といってもヨボヨボの老人の風情なので、背負ってる武器に腰が折れそうというのがおかしい。5人が老人姿をして歩くのだが、5人とも違う。万作先生は腰が折れてる老人を、他の先生方もまちまちで、ほとんど腰の立ってる老人もいて参考になった。で若衆と老人の争いがあって・・・よくわからないうちに仲直りして、稚児は老人達の(騎馬戦の馬のような)肩車の上に乗って幕となる。結構長い演目なのだが、この間能楽師達はズットアト座に座っていて、最後のほうでちょっと合いの手を入れるだけなので辛かったのではなかろうかと思ったりした。今回も20人位の方々が舞台の上で騒がしく演技され面白かった。