言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
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その他勝手な思いを日記代わりに。

シャネル&ストラビンスキー

2010-02-05 | 映画 音楽
観客はガラガラ。でも30人位はいたか。1日に1回しか映写されないのも判る気がする。しかしこの映画は、かなり密度の高い映画だ。2時間弱、観てて厭きない。これはやはり監督や役者がしっかりしてるからだろうと思うし、またなんといっても安っぽくないのだ。衣装・建物・乗り物・自然環境・・どれも時代を反映し手抜きなし。エキストラの衣装も半端ではない。もちろん音楽やバレーも迫力満点。なんでこのような映画が評価されないのだろうと不思議に思う。  導入部は「春の祭典」初演のシーン。シャネルは観客の1人にすぎない。圧倒的な音でオケが奏で、怪奇な衣装に身を纏ったダンサー達が舞台を乱舞する。しかしやがて「白鳥の湖」的な舞台を想像していた観客達はわめいたり、どなったり、口笛吹いたりして怒り出す。一方評価する観客もいて口論してるのもいたり、ついには警官が観客席に入り込む騒ぎとなるなか、音楽・舞台は粛々と演じられる。しかし終わって楽屋でストラビンスキーと舞台の振り付けをしたニジンスキーは対立。「テンポに乗って無い」と一方が言えば、一方は「あんなイカレた音楽にもかかわらず、ダンサー達は正確にダンスをした」と言い張る。内も外も熱いのだ。 7年後、成功したシャネルは経済的にゆとりのないストラビンスキー一家に、自分が住んでるシャトーを使用したらと申し出、いぶかるストラビンスキーではあったが移り住むことになった。ストラビンスキーの奥さんは敬虔なクリスチャンで子供たちの躾にもしっかりと気を配るのだが病気がち。しかし家主のシャネルは恋人を失った自立した女性。同じ屋根の下で、斬新で情熱的な曲を創造している男と革命的な衣装デザインやら香水の開発やら、これも情熱的に生きる女の間でなにも無かった・・では済まないではないか。激しく情熱が燃えることになる。シャネルの5番ができ、「火の鳥」ができ等など、やがて奥さん子供達と別れるということになる。その後、匿名の(本当はシャネルなのだが喧嘩したので、ストラビンスキーは知らない)スポンサーによって「春の祭典」は再演され、大成功するのだ。物語はこの辺りまでで、その後、話は何年かスキップして、共に老人となったシャネルはホテル・リッツの住人。ストラビンスキーはアメリカで住むことになりましたね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。というわけで長い字幕が続き「FIN」と出るかと思ったらもう1シーン出てくるのだ。この辺りがフランスの映画かなと思ったりする。でここはシャネルが事故で亡くした恋人と向かい合って互いに眼を見つめあうのだけど、傍らにある思い出の人の写真はストラビンスキーになっているのだ。どこまでが真実かは知らない。しかし面白かった。華やかだった。西洋の幽玄というのかもしれない。