言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

映画「イヴ・サンローラン」

2014-09-07 | 映画 音楽
原題:YVES SAINT LAURENT 2014年 フランス 106分

山岳映画と伝記映画にはがっかりさせられることが多いので、この映画はどんなものだろうかと大した期待も持たず観た。映画は20歳代からで、ディオールの店のデザイナーから始まる。そしてこの106分の間に、ファッションデザインへの執着・閃き、それをデッサンする様子、衣装として出来上がりモデルに着せショウをする。イヴ・サンローラン財団が初めて公認し衣装の協力をしただけあって、いくつもの年代のコレクションが豪華な衣装で次々と披露され、退屈しない。楽屋裏での大勢のスタッフやモデル、それを取り仕切るパートナー。モデルたちの輝き・感嘆しつつ眺める招待客。華やかな世界がスクリーンに展開される。これが「陽」のパートとすれば「陰」となるのは、主人公そのものかもしれない。見るからに繊細な風貌、有名になったがために新たな産みに追われる宿命に、酒・ドラッグに溺れ、精神病院や留置場に入ったり、メディアに叩かれたりするさま。かなりのホモというのも映画はしっかりと見せている。むしろ公私ともにパートナーだった一人の男との葛藤の様が映画の縦糸になっていたように思う。そして数々のシーンにハマってるBGM。クラシックからジャズ・ブルースなどなど、少し音量が大きかったけれど聴いてるだけでも楽しめる。主人公を演じたピエール・ニネという25歳の役者は、半年もの長い時間をかけて役になりきる準備をしたそうだ。年齢を思えば、すばらしい演技と思う。久々にいい映画だった。