言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

H30 7-12月まで読んだ本

2018-12-29 | 読書 本
1.寡黙なる巨人   2.加藤清正 虎の夢見し   3.庭の砂場   4.蛍草   5.つばき
6.忍者月輪   7.日と月と刀   8.老いの入舞い   9.昭和の能楽名人列伝   10.戦の国
11.僕らの能・狂言   12.硯の中の地球を歩く   13.壺霊   14.回り道を選んだ男たち
15.莫山詩想   16.色いろ花骨牌   17.転進瀬島龍三の「遺言」   18.またまたサザエさん
19.プライベートカンパニー   20.風雪の檻   21.石つぶて   22.赤いダイヤ   23.天祐なり

 「 五月雨は 露か涙か 不如帰 我が名をあげよ 雲の上まで 」   足利義輝

24.小説ザ・外資   25.Hello CEO   26.卜伝!   27.かかわると面倒くさい人
28.東京奇譚集   29.バイアウト   30.獅子   31.道をひらく   32.謎の十字架
33.生き方   34.凶刃   35.その峰の彼方   36.春を背負って   37.かまいたち
38.歴史と戦争   39.琥珀の夢   40.倚りかからず   42.時雨のあと   43.ソロ
44.許さざる者   45.ドライブ・マイ・カー   46.大岩壁

映画『ボヘミアン・ラプソディー』

2018-12-26 | 映画 音楽
イギリスのある小さな居酒屋。そこで演奏していたバンドのボーカルが、もっと大きな世界に憧れて辞めた。そこに口の大きなインド系の顔つきの青年が、ボーカルの後釜にと売り込みをした。難色を示したバンド達だったが、声を聴いて受け入れた。それがこの映画の主役だった。もともと歌がうまかったのとギター・ベース・ドラム担当も作詞・作曲・編曲・歌唱などどれも熱く演奏する若者たちだったので、中央に躍り出てゆくのも早かった。国内だけでなく、海外へもどんどん出かけ演奏し、大成功を続ける。観衆に受ける曲作り工夫がすばらしい。映画では次から次にとヒット曲を映し出して、飽きない。7万人余りの客と一緒になって歌う迫力。そういう観衆をまとめあげる、たった一人のボーカル。すごいオーラが全身から放射されてるのを感じる。演奏の素晴らしさだけでなく、仲間・家族・恋人・自分自身・創作上のぶつかり合い・取り巻き立ちやメディアの人たち・・そういうエピソードが合間に挿入されていて、この映画を理解するスパイスとなっている。クイーンのファンなら誰でも知ってることなのかもしれない。このボーカル、フレディ・マーキュリーは1991年に45歳で亡くなった。彼はHIVに侵されていたのだ。ラストの20分余りは、声がかすれてきたフレディが、その命の最後の残り火を掻き立てるかのような、一世一代、渾身の舞台を見せる。もちろん俳優が演じてるのだけど、素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられる。まるでその会場の特等席に招待されたかのような、気持ちが大きく膨らむ後味が残る映画だった。


映画「アリー スター誕生」

2018-12-23 | 映画 音楽
原題「A STAR IS BORN」
主役は歌手、準主役は監督が務めた映画。でも役を演じるにあたって無理を感じなかった。監督でありながら、歌が上手い。抜群といってもいいくらいだ。物語は今の世の中でもありうる話で、スッと理解できる。アルバイトで生計をたてている女が、ある日、気まぐれに訪れたロック歌手の目にとまる。そして自身のステージに誘い出す。そこで歌った女の歌が観衆に受ける。しだいに多くの観客に受け入れられるようになり、やがてレコード会社のプロジューサーに見いだされレコードデビューし、これも売れ、グラミー賞新人賞受賞ということになる。しかし見出してくれたロック歌手はドラッグと酒に侵され大切な式の当日痛恨の失態を犯すことになる。それでも男を愛する女。失態を悔いる男。そして男は潔く舞台から去る。この映画のクライマックスはラストにあると思う。切々と女が歌い上げる男の作品。レディーガガのバラードが胸に浸みる。

映画「暁に祈れ」

2018-12-10 | 映画 音楽
原題「A PRAYER BEFORE DAWN 」。なにやらストイックななタイトルに魅かれる映画。
内容的に崇高さを感じさせる映画かと思いきやそうではなく暴力、闘争、過酷、不潔、残酷・・・的な映画だった。
所はタイの国、イギリス人のボクサーくずれ?はドラッグに溺れ、ある日警察に捕まり、タイの刑務所に収監されてしまう。映画はこの刑務所内の出来事が主なストーリーと言ってもよい。全身刺青だらけのタイ人犯罪者が詰め込まれた獄舎で夜、昼何が起こるのか、映画は実に克明に写し取ってゆく。現実はおそらくもっと物凄い現実があるのだろうが、そこは映画なので、そこそこに描かれている。それでも喧嘩、いじめ、強姦、自殺、殺人などなど映し出すのだ。音が凄い。タイの言葉を理解しない主人公が、凶暴なタイ人の集団の中に投げ込まれたときどうなるか。タイ語の字幕は出ないので、彼らの発する強烈な言葉が声だけで表現される。加えて効果音、腹に響くような音楽などが重なって、見る方も体力がないと続かない。刑務所内でムエタイに活路を見出した主人公。ドラッグから抜け出せないままに過酷な練習、トレーニングに耐える肉体。これ以上吐血したら命の保証はないと言われながらも試合に出場、どうにか勝ちを得る。そんなこんなのストーリーなのだが、このイギリス人ボクサーはビリー・ムーアと言って実在する人物だというから驚きである。映画はビリーの自伝小説が原作としている。読めばもっと物凄いことが書かれているのだろうが、映画はのっけから暴力的に観客に迫ってくる。こんな映画もたまにはアリかと思った。

能 「 鉢木 」

2018-12-03 | 能・芸能

第七回 佐久間二郎 能の会 三曜会     平成30年12月2日  国立能楽堂

番組

●舞囃子 「絵馬」  天照大神  鵜沢 光
           天鈿女神  河井 美紀
           手力雄神  怜以野陽子

           大鼓:亀井広忠  小鼓:大山容子  太鼓:大川典良  笛:松田弘之
           地謡: 佐久間二郎 中森健之介 鈴木啓吾 坂真太郎

●狂言  「木六駄」   シテ太郎冠者  野村萬斎
             アド 主    野村裕基
             アド 茶屋   高野和典
             アド 伯父   野村万作

●仕舞  「老松」  観世喜之

           地謡:奥川恒治 中森健之介 小島英明 桑田貴志

● 能  「鉢木」

           シテ佐野源左衛門常世  佐久間二郎
           ツレ常世の妻      永島 充
           ワキ旅僧&最明寺時頼  森  常好
           ワキツレ二階堂     野口 能弘
           アイ下人        野村 太一郎
           アイ早打        飯田 豪

           大鼓:亀井広忠  小鼓:大山容子  笛:松田弘之
           地謡:観世喜正 坂真太郎 小島英明 鈴木啓吾 遠藤喜久 中所宜夫 駒瀬直也 中森貫太
           後見:観世喜之 奥川恒治


三人の女性能楽師による舞囃子「絵馬」はなかなかだった。背格好年齢も揃ってるのかもしれないが、凛とするものが感じられた一番で、印象に残った。狂言「木六駄」は万作家三代共演。万作師も元気につとめられ、当面このお三方共演による狂言はますます面白くなるような気がする。「老松」を舞われた喜之師もピシャッとしたところがあって見ごたえがありました。能「鉢木」。とてもよくまとまった一番だったと思う。とりわけシテの佐久間師の出来は出色だったと思う。「降ったる雪・・」「なうなう旅人・・・」「常世が常にかはりたる・・・」などの情景描写。愛蔵の梅桜松を切る所作、痩せ馬に乗り鎌倉に馳せ参ずる演技などなど気迫があって面白かった。地謡もすごくまとまっていて気持ちの良い謡だった。