観世九皐会 十月定例会 矢来能楽堂 13時~17時30分
番組
●能 『道明寺』 シテ:駒瀬直也 前ツレ:鈴木啓吾 後ツレ:坂真太郎
ワキ:福王和幸 ワキツレ:矢野昌平 村瀬堤
大鼓:亀井広忠 小鼓:田邊恭資 太鼓:小寺佐七 笛:藤田次郎
間:山本凛太郎 後見:奥川恒治 長山禮三郎
地謡:観世喜正 中所宜夫 遠藤和久 永島充 佐久間次郎
桑田貴志 中森健之介 池上彰悟
ある僧が善光寺に籠って祈っていたら、道明寺へ行けという霊夢を見た。そこで道明寺へ行き、居合わせた宮人(寺人ではない)に、この寺の木槵樹(もくげんじゅ)の実で数珠を作り、百万遍念仏を唱えると往生できるというと、宮人達は天神の御本地や菅原公の神秘等について語り、自分達は神の使いでありまた神であると言って消える。そしてその夜、僧は夢を見、夢の中で天女と神を見、その神は持っている笏で木槵樹の実を振るい落とし僧に与え姿を消すのだった。 2時間近く要した曲。後半の天女(後ツレ)の舞(天岩戸の舞)と白大夫(後シテ)の楽の舞が時間的に長い。天女は紅の装束を身にまとい、白大夫は天神の神であって純白の装束をまとい、頭には純白の冠を頂き舞う。神仏混淆の時代背景らしいが、曲の作者は世阿弥なのか?それにしても舞は良かった。ゆったりと優雅にほんとに夢のなかで待っている感じだった。
●狂言 『清水』 シテ:山本東次郎 アド:山本則孝
おなじみの「清水」。東次郎師の間の抜けた「ヘッ・・」という受け応えが面白かった。
●仕舞 ◎ 菊慈童 奥川恒治 ◎ 井筒 観世喜之 ◎ 籠太鼓 永島忠移
●能 『松虫』 シテ:小島英明 ツレ:桑田貴志 中森健之介 池上彰悟
ワキ:大日方寛 間:山本則孝 後見:五木田三郎 中森貫太
地謡:永島充 遠藤喜久 鈴木啓吾 佐久間二郎
長山耕三 坂真太郎 高橋康子 河井美紀
昔、阿倍野の松原で、松蟲の音に誘われ草むらに入り亡くなってしまった男と、その亡骸を埋葬した親友の物語。亡霊となった親友は、当時の酒宴をを懐かしみ、松蟲の音に友を偲び早舞を舞う。やがてあけがた、亡霊は消え松蟲の声ばかりが聞こえるのだった。この曲もやはり舞、「忘れて年を経しものを・・・」からが良かった。