平成27年11月20日 19時開演 矢来能楽堂
番組
1⃣What’s龍田? 解説:観世喜正
2⃣Mask & Costume
3⃣Let’s Know Noh!
● 仕舞 葛城 観世喜之 地謡:佐久間二郎 河井美紀 中森健之介
● 能『 龍田 』
シテ(巫女&龍田姫):桑田貴志 後見:観世喜正 永島充
ワキ(旅の僧):館田善博 ワキツレ(従僧):則久英志 森常太郎
笛:杉信太朗 大鼓:亀井広忠 小鼓:鳥山直也 太鼓:梶谷英樹
間狂言(所の者):山本則秀
地謡:坂真太郎 小島英明 鈴木啓吾 中森健之介
龍田川 紅葉乱れて渡るめり 渡らば錦 中や絶えなん
龍田川 紅葉葉閉づる薄氷 渡らじそれも 中や絶えなん
諸国を旅する僧が龍田神社に詣でようと川を渡ろうとすると、一人の巫女に呼び止められ、二首の和歌にもあるように川を渡ってはいけないという。参詣したいのなら自分が案内するという巫女に導かれ、龍田明神や境内の宮巡りをする。霜降りの月で枯れ木がある中、一本の紅葉の木が見事にあるのを不審に思った僧が訊ねると、紅葉の木はこの社の神木であり、この明神の御神体は紅葉であるという。そして末社をめぐるうち巫女は、実は自分は龍田姫の化身であると明かして社殿に入ってしまう。龍田姫は日本の秋の神様なのだ。僧たちが参籠していると龍田姫が神々しい姿で現れ、神楽の舞を見せ、夜明けとともに消えるのだった。
大小鼓の前に一畳台に乗った作り物が据えられている。これが龍田姫の社殿。巫女姿の前シテがこの中に入るのだけれど、一畳の半分くらいしかない長方形の箱のような作り物の中で、天冠を頭に頂き、長絹・大口の袴姿に変わる。それも間語りの終わりまでに完璧に完了するのだから着つける後見の役割も重責である。秋の神様というだけあって長絹には金糸・銀糸で豪華な文様があしらわれ、袴に紅葉の図柄が描かれていて見事な装束だった。舞尽くしの中入り後だけれどとても楽しめた。また地謡がまとまりよく盛り上げていてとても良かった。