7月 若竹能 平成30年7月22日 矢来能楽堂
番組
● 能 「 野宮 」
里女/御息所の霊 桑田貴志
旅僧 森常好
里人 山本則重
後見 小島英明 観世喜正
大鼓 亀井広忠 小鼓 鵜沢洋太郎 笛 八反田智子
地謡 中所宜夫 坂真太郎 佐久間二郎 永島充 鈴木啓吾 奥川恒治
●仕舞 「賀 茂」 弘田裕一
「夕 顔」 観世喜之
地謡: 中森健之介 鈴木啓吾 駒瀬直也 永島充
● 「 葵上 」
御息所ノ生霊 中森貫太
照日ノ巫女 河井美紀
横川小聖 大日方寛
大臣 館田善博
下人 山本則秀
大鼓:安福光雄 小鼓:森澤勇司 太鼓:桜井均 笛:熊本俊太郎
後見 奥川恒治 駒瀬直也
地謡 遠藤喜久 中森健之介 坂真太郎 小島英明 佐久間二郎 永島充
「野宮」。秋深い嵯峨野の野宮の跡にやってきた旅の僧。都見物の合間にやってきただけなのだが、旧跡ということで弔っていると、榊を手にした女がやってくる。実はこの女性、六条御息所の幽霊。かってこの野宮で精進潔斎をしていたのにもかかわらず、想いが忘れられない光源氏の訪れに心が揺れたのだ。それが強い思い出となり、妄執となって成仏できず、毎年この野宮の黒い鳥居をくぐりに来るのだ。ほんとに罪作りの光源氏なのだ。紫式部の世界。秋の嵯峨野の風情・男女の想いのやるせなさ、過去の思い出から抜け出せない女の性、等々空想力豊かに膨らませる曲。
「葵上」。御息所が源氏の姿を一目見ようと車に乗って出かけ、良い場所で待っていたら、葵上の車がやってきて、その場所から追い出されてしまう。悔しがる御息所、そのことは心に深い傷跡を残すことになる。そして、生霊となって葵上の寝所に夜ごと出没する。呪い殺そうとする御息所。対して巫女は御息所の生霊を呼び寄せ、修験者の祈祷がその怨念を払拭する。みんな源氏の蒔いた種なのだ。地謡がよかった。