つれづれ写真ノート

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シグマ「dp 0 Quattro」を試す Part 2

2015年07月23日 | カメラ

シグマ「dp 0 Quattro」試し撮りの続きです。

屋内の実写例

新製品体感イベント会場が設けられた大阪・梅田、ブリーゼタワー(BREEZE BREEZE(ブリーゼブリーゼ)」の中で撮ってみました。

ほんとは写真撮影はいけないんだそうです。ただ、おしゃれな店ばかりなので、つい…

 

絞りF4、1/125秒、ISO 200、露出補正:+0.6、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド。

 

絞りF4、1/60秒、ISO 100、露出補正:+0.5、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:ビビッド。

 

絞りF8、1/8秒、ISO 100、露出補正:+0.2、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:ビビッド。

 

PHOTO YODOBASHI の実写インプレッションによると、Foveonセンサーの発色で特徴的なのは「赤の表現」だとか。

確かに上のショップ、ショーウインドウの赤色が美しいですね。

 

 絞りF4、1/125秒、ISO 100、露出補正:+0.7、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:ビビッド。

 

ミックス光源下での服のホワイトバランスは難しいです。SIGMA Photo Pro 6.3 で色々調整した結果、上記の設定にしましたが、これが妥当な色かどうか自信がありません。

 *ホワイトバランスの「オート(色残し)」というのは、光源の色味を残し、その場の雰囲気を残したホワイトバランスを設定するもので、dp Quattroシリーズのみに適用される機能です。

 

上の写真の等倍画像。

ニットの服、ショルダーバッグのベルトの質感など、ここまで解像するとは驚異です。

 

絞りF4、1/30秒、ISO 100、露出補正:-0.7、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:スタンダード。

ハイライトも暗部も諧調が豊かで、上質の雰囲気。

 

SIGMA Photo Pro 6.3

今回、シグマのRAW現像ソフト、SIGMA Photo Pro 6.3 を初めて使いました。細かな画像調整ができる良いソフトです。

画像データが大きいため、調整が反映されるまで数秒~十数秒かかることがありましたが、エラーなどはありませんでした。

 

SIGMA Photo Pro 6.3 の画面(画像補正のため、レビューウインドウを開いたところ。寸法が大きいので、モニタの表示によっては、はみ出すかもしれません)。

明暗、彩度、シャープネス、ホワイトバランス、カラーモードなどを設定できます。設定した結果がその通り画面に反映されるので直観的な操作が可能。使い方を知らなくても、すぐできるようになります。

 

面白いと思ったのは倍率色収差の補正。

dp 0 Quattro」は、倍率色収差が“極小”に抑えられているというカメラですが、全く無いわけではなく、画面の隅で輝度差が大きい場合、倍率色収差が出ることもあります。

これを「倍率色収差補正パレット」で補正してみました。

 

上の写真の左下隅を等倍に拡大してみます。

建物の白い壁と、植え込みとの境界に赤い線が出ていますね。これが倍率色収差による偽色(フリンジ)。

 

倍率色収差を補正するパレットで、「レンズプロファイル」にチェックを入れます。レンズデータをもとにした補正です。(キヤノンDigital Photo Professional の「デジタルレンズオプティマイザ」のような機能かも)

 

      補正前                  補正後

偽色がほぼ消えて(右の写真)、すっきりしました。

この補正による解像感の低下はないように見えます。

 

この操作だけで普通は十分だと思いますが、それでもまだ偽色が気になる場合は、「フリンジ除去パレット」を使います。(今回は使っていません)

     

発生しているフリンジが緑か赤か、に合わせてチェックを入れ適用量を調整します。

下のスポイトを使うと、劇的にフリンジが消えますが、同時に画面全体の色味も変わってしまう場合があるらしいので注意が必要です。

 

dp 0 Quattroは「買い」か?

LCDビューファインダーをつけたdp 0 Quattro。

 

外観が実に変わったカメラで、「こんなものを買う人がいるのか」と思っていましたが、使ってみると面白い。

ただ、使い勝手については、色々改良してほしいところがあります。

まず、液晶(3型、約92万ドット)が今一つ。ソニーRX100の液晶(3型、約123万ドット)に比べて、かなり視認性が見劣りします。

Foveon センサー で高精細な画像が撮れているのに、それをまともに確認できない、というこの落差。

だからLCDビューファインダーが“不可欠”になるわけで、ソニー並みの液晶が付けられれば、こんなでっかい付属品は不要になるはず。

 

ボディーの形状も改良の余地がありそう。

奇抜なデザインは、センサーから発熱部を離す、大きなバッテリーを使う(それでも撮影可能枚数200枚は少ない)、という内部メカ的な必要性から生まれたもので、ユーザーフレンドリーなものではないように思います。

モードダイヤルがなく、モードボタンや「QS」ボタンから設定しなければならないというのも、やや不便。

AF測距点も9 点と少ないし… などなど、言いたいことはいろいろあるのですが、それにもかかわらず、「欲しいな」という気を起こさせるのは何なんでしょうね。

 

センサーサイズそのものはAPS-Cサイズ相当で、有効画素数2,900万画素。その画質はフルサイズ機を超えています。

実はdp 0 Quattro を試写したのと同じ場所で、フルサイズのキヤノンEOS 6D (2,020万画素)でも撮影、比較してみました。解像感に関する限り、シャープネスをかけない状態ではEOS 6D の完敗。EOS 6D にシャープネスを中程度にかけ、「デジタルレンズオプティマイザ」で収差を補正してようやく同等になる感じ。(画角が違うので比較画像の掲載は見合わせました)

dp 0 Quattro の「中判カメラの画質」(シグマ)は、うたい文句通りでした。

超広角、高画質なので、切り取り方(トリミング)しだいでズームしたのと同じになる便利さもあります。

超広角なのに歪曲(ディスト―ション)がないのも素晴らしい。撮っていて気持ちが良いです。

それと、このデータ量が大きく扱いにくかったFoveon センサー を、何とか普通のデジタルカメラ並みに使いやすくしようとしてきたシグマの熱意です。

体感セミナーで山木社長のプレゼンテーションを聞いて、少しだけですがシグマファンになりました。

 

値段もそう高価なカメラではないし(7/25、価格.com で最安 96,369 円)、資金に余裕のある人は、買ってカメラの楽しみ方を広げるのもいいのでは…

(購入はLCDビューファインダー付きキットがお得です。7/25、価格.com で最安107,470円)

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関連記事

   ・『ディスト―ション・ゼロ「SIGMA dp0 Quattro」』(Kasyapa)

   ・『まっすぐ描写のシグマ「dp0 Quattro」で前ボケの迫力』(shiology)

   ・『SIGMA dp0 Quattro(外観・機能編) 』(デジカメWatch)

 


シグマ「dp 0 Quattro」を試す Part 1

2015年07月23日 | カメラ

7月18日に大阪・梅田のブリ―ゼタワーで開かれた シグマ「dp 0 Quattro」体感イベント の続きです。

実際に「dp 0 Quattro」を借りて、イベント会場の周辺で撮影してきました。

 

時間限定で借りた「dp 0 Quattro」。付属のLCD ビューファインダーがモノモノしく、実にマニアック!

 

LCD ビューファインダーが不要なら、左側にスライドして外せるようになっています。しかし付けた方が抜群に見やすいので、そのまま撮影しました。

いよいよ、以前から気になっていたFoveon センサーを試せます。ワクワクしますね。

 

貸し出しの条件は以下のようになっていました(シグマのホームページより)。

 1.お一人様、一回一機種の貸出しとなります。
 2.貸出し時間は30分です。
 3.運転免許証、パスポート等の顔写真付きの身分証明書をご持参願います。機材貸し出しの際にひかえさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
 4.記録メディアや三脚、一脚などの撮影用品はご用意しておりませんので、必要な方はご持参願います。
 5.事前のお申込みおよび予約はできません。当日の受付順とさせていただきます。なお、貸出しの受付は各会場16:00までとなります。

貸し出し時間が30分とは短すぎると思っていたところ、実は30分で返却したあと再度借りることができました。なので、私の場合3回借りて計1時間半撮影(やりすぎ?)。

 

カメラの設定は基本的に、露出を「絞り優先オート」、ピント合わせを「AF+MFモード」に。画質はRAW+JPEG。SIGMA Photo Pro 6.3 でRAW現像、色調整しています。(RAW現像後のサイズは、5424×3616)。すべて手持ち撮影。

(SIGMA Photo Pro 6.3 は、シグマのホームページから誰でも無料でダウンロードできます。)

 

実写例

 絞りF8、1/250秒、ISO 100、露出補正:0、ホワイトバランス:晴れ、カラーモード:ビビッド。

 

さすがに「ディスト―ション(歪曲収差)・ゼロ」をアピールするカメラだけあって、建物の直線に歪みがなくシャープな描写です。

倍率色収差もほとんどありません。高精細のオリジナル画像を見ていただければ凄さが分かるのですが、データサイズが大きすぎてアップできません。代わりに、中央部分を等倍で表示してみました。

ピクセル100%、等倍画像。

シャープネスは全くかけていません。それでもこの精細さ。デジタル画像にありがちな、不自然なエッジの強調がなく、スパッと切り落としたカミソリのような描写です。

ウ~ム、これがFoveon センサー なのか…

 

 絞りF8、1/160秒、ISO 100、露出補正:0、ホワイトバランス:晴れ、カラーモード:ビビッド。

 

こういう建物を撮ると、このカメラの良さが際立ちますね。

 

絞りF8、1/60秒、ISO 100、露出補正:-0.4、ホワイトバランス:晴れ、カラーモード:スタンダード。

35mm判換算21mm の画角は街をダイナミックにとらえられます。西梅田、ハービス大阪の近くを散歩しながら撮りました。

 

上の写真の等倍画像。レンズの“切れ”を感じます。

 

ところで、ピント合わせを「AF+MFモード」にしたのは、シビアなピント合わせをしようと思ったためなんですが…

「AF+MFモード」はオートフォーカスでピントを合わせた後、マニュアルでピントの微調整が可能。シャッターボタンを半押ししたまま、フォーカスリングを少し回すと、拡大表示になるので、そのままフォーカスリングを回し続け、ピントを微調整。フォーカスリングの回転を止めると、約1秒で通常表示に戻るので、構図を整えて撮影という手順になります。

ところが実際にやってみるとなかなか難しい。三脚を使わなかったため、拡大画像がブレブレ。ピントの山をつかみにくいのです。モタモタしているうちに、拡大表示がすぐ通常表示に戻ってしまったり。

このモードは、やはり三脚を据えてがっちり撮るスタイル向きかも。それと、慣れが必要ですね。

結局、途中からAF だけで撮ることに。

それでも、超広角レンズの被写界深度の深さに助けられ、ピントは大体合っていました。

 

 絞りF8、1/25秒、ISO 100、露出補正:-1、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド。

 

絞りF8、1/100秒、ISO 100、露出補正:0、ホワイトバランス:晴れ、カラーモード:ビビッド。

 

街路樹など葉っぱの緑は、カラーモードがスタンダードよりは、ビビッドを選んだほうが良いようです。

 

絞りF8、1/160秒、ISO 100、露出補正:0、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド。

 

ホワイトバランスやカラーモードは、RAW現像時に適宜変更しました。上の写真は「カラーモード:ビビッド」ですが葉が黄色っぽかったので、さらに「ホワイトバランス:晴れ」を「オート」に変更。そうすると赤味が弱まり、すっきりした緑色になりました。

 

絞りF8、1/10秒、ISO 100、露出補正:-1.1、ホワイトバランス:オート、カラーモード:フォレストグリーン。

 

ツタに覆われたビル。緑色を強く出したかったので、カラーモードをフォレストグリーンにしてみました。

 

絞りF8、1/80秒、ISO 100、露出補正:+0.7、ホワイトバランス:オート、カラーモード:フォレストグリーン。

 

これまでの個人的な経験から思うのですが、植物の緑色が最も鮮烈なのは富士フイルムのカメラではないでしょうか。それに比べると、「dp 0 Quattro」は、普通に(スタンダードなどで)撮った場合、光の状態によっては、やや渋い色調になるような気がしました。一方で色の諧調自体はとてもリッチで滑らかです。

 

絞りF8、1/250秒、ISO 100、露出補正:-0.4、ホワイトバランス:晴れ、カラーモード:ビビッド。

 

絞りF8、1/125秒、ISO 400、露出補正:0、ホワイトバランス:晴れ、カラーモード:スタンダード。

 

Foveon は高感度が弱いという印象があったのでISO 100 一点張りで撮影。しかし、ここでは試しにISO 400にしてみました。

上の写真で見る限り、ISO 400でも良い感じ。

影になった木の椅子の部分を等倍にしてみると…

 

等倍画像。

暗部ではそれなりのノイズがあるような… でも等倍でこの程度なら完全にOKです。

 

体感イベントでプレゼンテーションした山木社長の話(7月21日の記事)の続きになりますが、SIGMA Photo Pro 6.3 のRAW 現像はディテールを優先して、ノイズを少し残す方向で調整しているとのことでした。

このあたり、解像感を重視するシグマの考え方が現れているようです。

 

屋内の実写例は次回に。

 

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関連記事

  ・『dp0 Quattro、シグマのプロモーションのうまさ』(田中希美男氏ブログ)