心臓血管外科診療は多くの診療科、スタッフが関わるため病院全体の総合力がいい治療結果を生むことになりますし、それによって患者さんも増加し、売り上げにも貢献できます。一方、患者数が少ないと、スタッフの仕事がなくて遊んでいる時間が増加し、その分の雇用コストもかかるので、病院にとって経営のお荷物になってしまうリスクの大きい診療科と言えます。
なので、病院全体の評価、質は実は心臓血管外科にとっては切実な問題です。一部の診療科で評判の悪い医師がいたり、スタッフに暴言を吐く医師がいるせいでスタッフの離職が増加し病棟運営に影響を与えていることがあります。現在取得している看護単位7対1を維持できなくなったら、億単位の損失になります。
心臓血管外科診療を良好な環境でできるように維持することは重要で、そのためには患者さんに対する接遇だけではなく、スタッフ、またはスタッフ家族に病院が信頼される存在である必要がありますが、そうした認識を持っている医師がいかに少ないか、日々実感しております。
筆者の環境としては直接は目にしていないのですが、そうした暴言やスタッフに対する冷遇などの話をいろんなところで聞くたびに心が痛みます。そうした暴言を吐く医師は、弱い者いじめの心理が基本的にあり、公衆の前では言えない、というのが一般的だと思います。なので、暴言内容を録音録画して公開する体制をとることが一案と思います。他の国内の国立のセンター病院では実際にICレコーダーを所持し録音しながら勤務しているという話を聞いたことがあります。筆者の施設でも実施に関して病院の会議で提案、検討したいと思っています。