僧帽弁閉鎖不全症の手術タイミングについて
僧帽弁閉鎖不全症の原因は、変性疾患(粘液変性やリウマチ性変化)による腱索断裂・変性、左房や左室拡大による弁輪拡大、感染性心内膜炎による弁破壊、急性心筋梗塞による乳頭筋断裂などがあります。
刻々と病態が悪化する為緊急手術の対象となるのは、急性心筋梗塞による乳頭筋断裂や感染性心内膜炎です。タイミングを逸すると救命できなくなる可能性が高くなります。急性期を無事に乗り切って安定した状態まで持っていければ、定時手術で対応することも可能ですが、多くは救命のための緊急手術となります。
また、変性疾患や弁輪拡大によるものの多くは病態が安定した状態での手術が多くの場合可能です。胸水や浮腫が落ち着いて、栄養状態や免疫の状態が安定した時点での手術が望ましいといえます。急に発生した腱索断裂では、突然発生する肺水腫となり気管内挿管など必要となることがあります。この場合でも多くは急性期の内科的管理で乗り切ると、人工呼吸器から離脱し、安定した状態での予定手術をすることが多くの場合は可能です。人工呼吸器から離脱できない、もしくは、血行動態が維持できないという場合は緊急手術を決断する必要がありますが、稀です。よって、逆流の原因が何か特定することが、治療方針を決定することで非常に重要となります。
急性心不全の時期を乗り切った状態では、利尿剤の内服などで安定した状態を維持することが可能ですが、手術のタイミングや治療方針について残念ながら検討されることなく漫然と利尿薬の内服を継続されている症例も少なくありません。そうしている中で、僧帽弁逆流が多い症例では左室・左房の拡大進行、肺高血圧、心房細動と進行し、心不全を繰り返して利尿剤による内科的治療が限界になった時点で外科治療にコンサルトされるという事態が未だに稀ですが見られます。こうした状態になってからの手術では、手術のリスクが上昇する、術後の心機能の回復が望めないなど、せっかくの手術の成果を十分得られなくなってしまう危険があります。その意味で、出来るだけ早期に外科医に相談してもらいたい、と常日頃実感しています。利尿剤がないと、心不全症状が出現する場合は明らかに手術治療を検討する必要があります。
その意味で、安定した状態での手術を検討するタイミングとして
① 利尿剤継続が必要
② 心房細動の出現
③ 心拡大の進行傾向(単純レントゲン、心エコーでの計測)
④ 浮腫、呼吸困難などの自覚症状
などです。外科医が判断してまだ手術するタイミングではない、と判断する場合も少なくありませんが、その場合でも6-12ヶ月ごとに検査をして進行の傾向がないか、経過観察している症例も多く抱えています。数年経過観察して、ようやく進行の傾向がみられ、手術に至った症例もありますし、まだ悪化傾向無いのでそのまま観察を継続している症例もあります。
僧帽弁閉鎖不全症の原因は、変性疾患(粘液変性やリウマチ性変化)による腱索断裂・変性、左房や左室拡大による弁輪拡大、感染性心内膜炎による弁破壊、急性心筋梗塞による乳頭筋断裂などがあります。
刻々と病態が悪化する為緊急手術の対象となるのは、急性心筋梗塞による乳頭筋断裂や感染性心内膜炎です。タイミングを逸すると救命できなくなる可能性が高くなります。急性期を無事に乗り切って安定した状態まで持っていければ、定時手術で対応することも可能ですが、多くは救命のための緊急手術となります。
また、変性疾患や弁輪拡大によるものの多くは病態が安定した状態での手術が多くの場合可能です。胸水や浮腫が落ち着いて、栄養状態や免疫の状態が安定した時点での手術が望ましいといえます。急に発生した腱索断裂では、突然発生する肺水腫となり気管内挿管など必要となることがあります。この場合でも多くは急性期の内科的管理で乗り切ると、人工呼吸器から離脱し、安定した状態での予定手術をすることが多くの場合は可能です。人工呼吸器から離脱できない、もしくは、血行動態が維持できないという場合は緊急手術を決断する必要がありますが、稀です。よって、逆流の原因が何か特定することが、治療方針を決定することで非常に重要となります。
急性心不全の時期を乗り切った状態では、利尿剤の内服などで安定した状態を維持することが可能ですが、手術のタイミングや治療方針について残念ながら検討されることなく漫然と利尿薬の内服を継続されている症例も少なくありません。そうしている中で、僧帽弁逆流が多い症例では左室・左房の拡大進行、肺高血圧、心房細動と進行し、心不全を繰り返して利尿剤による内科的治療が限界になった時点で外科治療にコンサルトされるという事態が未だに稀ですが見られます。こうした状態になってからの手術では、手術のリスクが上昇する、術後の心機能の回復が望めないなど、せっかくの手術の成果を十分得られなくなってしまう危険があります。その意味で、出来るだけ早期に外科医に相談してもらいたい、と常日頃実感しています。利尿剤がないと、心不全症状が出現する場合は明らかに手術治療を検討する必要があります。
その意味で、安定した状態での手術を検討するタイミングとして
① 利尿剤継続が必要
② 心房細動の出現
③ 心拡大の進行傾向(単純レントゲン、心エコーでの計測)
④ 浮腫、呼吸困難などの自覚症状
などです。外科医が判断してまだ手術するタイミングではない、と判断する場合も少なくありませんが、その場合でも6-12ヶ月ごとに検査をして進行の傾向がないか、経過観察している症例も多く抱えています。数年経過観察して、ようやく進行の傾向がみられ、手術に至った症例もありますし、まだ悪化傾向無いのでそのまま観察を継続している症例もあります。