最近、高齢というだけで治療対象と考えない医師や医療者が多くなっていると感じるのは、非常に残念に思います。都会の病院では患者さんもたくさんいるので、治療対象も医療者側の方針で限定しても十分な利益も上げられるし、若い患者さんを扱った方が当然成績もいいので、施設の成績も名声があがりやすいのも事実です。
しかし、地域医療は違います。横須賀市のような地方都市での市立病院では、地域の医療を担う責務があり、住民票のあるすべての住民に医療を提供することが当然です。具合が悪い、苦しいなど患者さんの主訴を解決することが使命であり、それには年齢は関係ありません。中途半端にその場しのぎの治療をして帰宅させても何度も病院へ繰り返し搬送されてくる患者さんがたくさんいます。そうした患者さんの根治治療をすることでその後の生活を安定して確立したものにできるのであれば、たとえ高齢であっても治療対象とするのは地域医療として当然のことです。そういう理想の元、横須賀市立うわまち病院心臓血管外科では診療を行っております。
残念ながらそういう意識のない医師が非常にたくさんいて、それと日々戦っていますが、この少子化、人口減少の日本においては老人よりも若い人により税金や医療資源を使った方が理にかなっていると思ってしまうのは当然です。しかし、現在は年齢とは関係なく公平に医療を提供することを是としている体制には変わりありませんので、保険診療が認める限りできるだけ公平に医療を提供したいものです。