横須賀うわまち病院心臓血管外科

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横須賀市立うわまち病院心臓血管外科 虚血性心疾患に対する手術方針

2018-01-31 18:44:19 | 医療
1. 虚血性心疾患
 心臓を栄養する冠動脈の狭窄や閉塞に対して、循環器内科によるカテーテル治療が困難な症例や手術が適切であると判断された症例に対し冠動脈バイパス術を施行しております。当院では人工心肺を用いず、心臓を動かしたままバイパスを行う心拍動下冠動脈バイパス術を第一選択にしております。
また皮膚小切開による左開胸での低侵襲冠動脈バイパス術(MID-CABまたはMICS-CAB)にも症例によっては対応しております。また、カテーテル治療と冠動脈バイパスを組み合わせたハイブリッド手術も循環器科との連携の元、積極的に行っています。
 陳旧性心筋梗塞による心不全や難治性不整脈に対して、左室形成術や冷凍凝固療法を行っています。



 特に最近は、左小開胸による冠動脈バイパス術が増えております。低侵襲心臓手術の潮流の中、冠動脈バイパス手術においてもその流れが加速しつつあります。もちろん、大きな手術創を作らずに冠動脈の血行再建が可能なカテーテル治療(PCI)はゴールドスタンダードではありますが、カテーテル治療では治療困難もしくはリスクが高いと判断される場合は今後も多々あるものと思います。現在の国内の年間の冠動脈カテーテル治療件数は15万件に比較して、冠動脈バイパス術は15000件。10件に1件の割合で冠動脈バイパス術が実施されており、その比率は若干の変化があっても冠動脈バイパス術はなくなることはありません。今後はより重症症例や難治性の症例が増える傾向にもあるといえます。その中で、左小開胸での冠動脈バイパス術、およびそれとカテーテル治療の組み合わせ(ハイブリッド手術)は今後の冠動脈バイパス術の主流になる可能性があります。当院でも適応のある症例には積極的に行っていく予定です。
 左小開胸で左内胸動脈と左前下行枝をつなぐ1枝バイパス術のことをMID-CAB(Minimally Invasive Direct - Coronary Artery Bypass:ミッドキャブ)と呼んできましたが、最近は2枝以上吻合する左小開胸バイパス手術のことをMICS-CABG(Minumally Invasive Cardiac Surgery - CABG:ミクスーCAB)と呼んだりしています。
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神奈川ハートカンファレンス「僧帽弁形成術」

2018-01-30 09:59:50 | 医療
2017年2月3日 神奈川ハートカンファレンスでは、僧帽弁形成術に関するエキスパートの講演会が行われます。



横須賀市立うわまち病院からは、僧帽弁形成術後の再手術において、再度形成を行った症例経験について発表しました。緊急で行った第一例目を除いて、7例中6例で再形成に成功しており、僧帽弁逆流に関してはあくまでも自己弁を温存して形成で逆流を制御する手術手技にこだわるチャレンジ・スピリットが重要と考えます。しかしながら、ハイボリュームセンターといわれている施設においても症例経験が少ないようです。
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下肢難治性皮膚潰瘍(下肢壊疽)の集学的治療

2018-01-29 17:38:53 | 医療
 横須賀市立うわまち病院では心臓血管外科、循環器科、形成外科、皮膚科、内科、リハビリ科など、各科連携で下肢難治性創傷(下肢壊疽)の治療も行っております。下肢血流を改善する手術やカテーテル治療から、足部の形成手術や、重症糖尿病の治療、治療後のフットウェア作成やリハビリまで院内で完結した治療が可能です。
 下肢難治性創傷を患う方々には心臓や脳の血管にも問題がある場合がありますが、こちらに対しても並行して治療を行うことが可能です。外来受診は火曜日と金曜日の午後に受け付けております。
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横須賀市立うわまち病院心臓血管外科 2017年手術実績

2018-01-28 09:59:51 | 医療
 2017年の手術件数は、383件で、スタッフの入れ替えなど体制を一新してからは、開設以来最も多い件数となっており、前年に比較して100件以上増加しました(図1)。そのうちわけは、心臓胸部大血管手術133例、腹部大動脈瘤37例、末梢動脈手術23例、下肢静脈瘤手術118例となっております(図1)。静脈瘤手術は血管内レーザー焼灼術を導入してからは日帰り手術が可能となり、横須賀・三浦地区唯一の治療施設として大幅に手術件数が増加しています。透析センター開設に伴い、シャント造設手術も増加しています(図2)。

地域における心臓血管疾患すべてに対応しているため、疾患のバリエーションが多くなっておりますが、特に近年は患者様の高齢化がすすみ、80歳以上の方も増えており、90歳以上の患者様に対しても疾患、病態によっては対応しております。


主な対象疾患として、
A.虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞、心筋梗塞後合併症)
B.心臓弁膜症(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁疾患など)
C.大動脈疾患(胸・腹部大動脈瘤、大動脈解離、大動脈ステントグラフト手術)
D.成人の先天性心疾患
E.末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症など)
F.静脈疾患(下肢静脈瘤レーザー治療など)
G.透析用シャント造設、経皮的シャント血管形成術
などの手術治療を担当します。

2017年の手術件数

手術総数      383例

心臓胸部大血管手術総数     133例
 虚血性心疾患          40例 
 弁膜症               74例 
 胸部(胸腹部)大血管     45例  (重複なし)
先天性心疾患         2例
心臓外傷            1例

腹部大動脈瘤     37例
末梢血管疾患     23例
内シャント        16例
下肢静脈瘤       118例
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