横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

医師は人を救うための仕事、殺人はしない

2023-07-29 06:52:10 | 心臓病の治療
ススキノ殺人事件、医師である父親が被害者の頭部を切断し自宅に保管していたなど、異様な時間はワイドショーで連日報道され、お茶の間の視聴者を釘付けにしているようです。筆者はネットニュースの見出しくらいしか見ていませんので、詳細は知りませんが、医師が殺人事件に関与していることに関してどう思っているのか?と、外来の患者さんに質問されました。事情は知りませんが、『医師としての職業や面目、全てを失ってでも実行しなければならないと決断するような事情があるのでしょうかね。』と返答したところ、医師が殺人をするなんてたとえなにがあっても絶対あってはならない!医師は人を救うための存在だ!と、強く言われました。
 確かにおっしゃる通りで、それでこそ患者さんは医師を信頼して自分の命を預けることが出来る、という患者さんの信じていることを改めて理解したように思いました。
 連日殺人や事故死の報道を見聞きしていると感覚が麻痺してしまいがちですが、その中で確かに医師が殺人に関与したというのは、昔千葉大女医殺人事件の犯人とされた藤田正(椎名正)容疑者くらいしか知りません。一人の医師がそうした事件を起こすと医師全体の信用が低下するというのは、こうした事例が積み重なってできるのだ、ということを改めて実感しました。医師個人が頑張って患者さんの信頼を得るというよりも、集団としての医師が社会全体のイメージを上げていけるようにすべき、そういう意味での日頃の行いは大事だと言うことだと思いました。

A doctor should never commit murder, no matter what! Doctors are there to save people!

The Susukino murder case, the father, a doctor, cut off the victim's head and kept it at home, and other odd hours seem to be reported daily on TV shows, keeping the viewers in their living rooms glued to their seats. 

I have only seen the online news headlines, so don’t know the detail. I was asked by an old patient in her seventy’s at an outpatient clinic, "How do you feel about a doctor being involved in a murder case? I replied I wonder if there are circumstances that would make him decide that he must do it, even if it means losing his profession, his face, everything he has as a doctor." Then she said, "A doctor should never commit murder, no matter what! Doctors are there to save people!
 I felt as if I understood once again what patients believe, that they can trust doctors and entrust their lives to them.
 It is easy to become numb to the senses when we see and hear reports of murders and accidental deaths day after day, but the only person I know of who was indeed a doctor involved in a murder is Tadashi Fujita, the suspect in the Chiba University female doctor murder case long ago.
 I realized once again that such incidents by a single doctor can cause a decline in the credibility of doctors as a whole because of the accumulation of such cases. Rather than individual doctors working hard to gain the trust of patients, doctors as a group should try to improve the image of society as a whole, and in this sense, I thought it was important to conduct myself on a daily basis
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やはり大阪では粉もの

2023-07-13 06:04:22 | 心臓病の治療
大阪に来たら、粉もの、食い倒れと決まっています。学会で訪れると最近はなかなか時間もないので、そうしたカルチャーに触れるチャンスは必ずしも多くはなく、やっとありつけたのが空港での飛行機待ちの時間に食べたタコ焼きでした。6個で700円!物価高がここにも来ていますが、数分のハフハフで終わってしまいました。
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J-MICS2023

2023-07-13 05:56:48 | 心臓病の治療
  低侵襲心臓手術学会=J-MICS2023が今年は大阪で開催されました。歴史ある大阪の素晴らしい建造物で行われた今回の学会は、MICSの認定医、指導医の制度を作った関係で、一気に学会は盛り上がり、昨年の福島市での開催では70名あまりの参加者だったのが、今年は立ち見が出るほどの盛況ぶりで参加者が330名以上だったそうです。ランチョンセミナーのお弁当が足りなくなり、50個のサンドイッチを買い足したのではたりず、コンビニエンスストアでおにぎりを追加で購入して配布したとも聞きました。
 今回の学会の報告では、MICSの第一期指導医22名、認定医50名でMICSの指導的立場になっていくと思われる外科医は全国で100名近くになるのではないかとの予測でした。認定医の取得には学会参加1回、指導医には3回が必要条件なので筆者は今回は認定医を取得になりましたが、来年の大分で参加すれば三回目の出席となるため来年は指導医を目指して経験を積むつもりです。
 MICS認定医は弁膜症手術に限定した資格になっているので、今後はMICS-CABGの認定医、指導医の制度も保険収載がされるようになれば現実になると思います。


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Management is stabilised by diversifying the source of referrals.

2023-07-13 05:53:30 | 心臓病の治療
The number of cardiovascular surgery cases is increasing year by year.

 We are able to maintain the number of cases because of referrals from outside the hospital.  At the same time as reforming the hospital, we still have to make continuous efforts to increase referrals from outside the hospital.

 The best way to increase the number of referrals is to promote minimally invasive surgical procedures that benefit patients and that are not yet performed by other cardiovascular surgeons. To this end, I’ve been a pioneer in minimally invasive cardiac surgery and actively disseminates its results at conferences, research meetings, lectures, websites and blogs.
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名医のいる病院2023

2023-07-08 08:36:41 | 心臓病の治療







名医のいる病院2023年版が発売され、横須賀市立うわまち病院からは唯一心臓血管外科が関東の上位30位以内として、弁膜症と大動脈治療の分野で掲載されました。冠動脈分野では今回は掲載されませんでしたが、現在の症例数増加を見ると次回は冠動脈の分野も載ると思います。
もしこれが、ミクス🟰低侵襲心臓手術に限ったランキングにした場合は確実により上位に組み込むはずですが、まだ時代はそこまで行ってないという感じでしょうか。
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MICS-MVPにおける心筋保護の注意点:遮断不十分

2023-07-04 03:23:47 | 心臓病の治療
 MICSは小開胸アプローチで心臓手術をする関係で、視野が限られている中での心臓操作を行う手術であり、創が小さい、胸骨正中切開をしないという点から創部トラブルが少なく術後の回復がはやく早期退院が期待できます。
 一方で、視野が限定されるために特有のリスクがあるとも考えられ、それを熟知することが安全な手術につながります。MICS導入において最初に行われる手術の一つが僧帽弁手術ですが、この導入時の注意点では心筋保護に関するものも重要です。
 もちろん正中アプローチでも重要であることには違いませんが、特にMICSにおいては大動脈遮断が不十分だと心筋保護液を注入後も冠動脈へ甘い遮断から漏れた血液が冠灌流に回り、心静止が持続せず心電図波形が動き出します。こうした現象を見たらすぐに遮断不十分を疑って確認するべきです。遮断時に遮断が十分できているか確認してから心筋保護液注入を行うのも有効です。この確認方法は心筋保護液注入用のルートカニューラの側枝から血液が逆流してこないか確認することです。
 特にラバー付き鉗子のSignet鉗子は遮断する力が特に先端部が弱いため発生しやすいと考えられます。過去に何度か手術指導に伺った施設でこの事象が発生しており、早期に気づいたため遮断鉗子をかけなおしたり、遮断鉗子を追加してかけて事なきを得ました。
 発生の予防には右肺動脈の遠位側で遮断する場合は、大動脈の背側を出来るだけ剥離して遮断鉗子と大動脈の間に不要な組織を入れないようにすること、遮断鉗子の深さを十分入っているか確認することです。特に大動脈が太い症例は遮断不十分になりやすく注意が必要です。
 MICSにおける心筋保護の問題が学会でも話題になっていますが、心筋の冷却不十分、投与間隔が不十分、右冠動脈からのエアー注入、遮断時間が長すぎる、などがその原因として考察されていましたが、実は遮断不十分が原因であった可能性も考慮する必要があり、気づかずに行われていた、という可能性もあります。
 こうした危険に関しては可能性を認識して早く気付くこと以外に予防はありません。
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