横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

生(ナマ)好きな日本人

2023-08-25 07:39:33 | 心臓病の治療
 ナマという言葉に世界一弱いのは日本人ではないでしょうか?ナマ=新鮮という意味でしょうし、調理していない=ナマモノを珍重する文化でもあると思います。野菜サラダというよりも、生野菜サラダというほうが聞こえが新鮮です。ほかにも、生ビール、ナマ放送、最近はナマ食パンなどと言い、そのほうが高く売れるからでしょうか、ナマが巷に溢れています。
 筆者も例外ではなく、ペプシの生COLAというのを車内販売のお姉さんが持っていたのでつい買ってしまいました。MICS-AVRのお手伝いに栃木までちょっとした遠足中で、自作の筋子おにぎりを一瞬で食べ終わってしまったので、食後のお供です。

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医師の過労自殺の原因と対策(私見)

2023-08-25 07:25:52 | 心臓病の治療
 研修医を指導管理する立場として、自分の管理下にある研修医が過労自殺したら本当にたいへんなことになると思います。勤務時間の長さだけが証拠として残り、また原因として認定されるのはこの部分だけですが、これではことの本質が明らかにされていないと思います。いずれの報道も超過労働のせいでうつ病にいたり、自殺したとありますが、多くの場合はパワハラやイジメが関与してるのがほとんどではないかと思われます。
 実際に自分の関係者が過労自殺した経験はありませんが、パワハラで仕事継続ができなくなり職場を去っていったり進路変更したり人は少なからず知っています。また自分の担当していた外来患者さんが自殺したケースは数例あり、この場合の多くの原因が地域、生活の中に逃げ場がない、というのが原因です。おそらく多くの子供の自殺も同じ原因です。
 職場を去る、という逃避行動で自分を守ることができない、逃げ場が確保できない場合に自殺という逃げ場に逃げ込むのではないかと思います。それを思いとどまらせる、もしくは逃げ場を上司なら同僚、職場が確保してあげられれば自殺は防げます。
 パワハラで医局員が耐えられなくなって進路変更した人が何人かいましたが、進路変更せずにうまく救うことができ、仕事を継続できた人は、すぐに移動させて緩くリハビリさせることで復職し現在も活躍できたケースもあります。こうした救いが必要なのだと思います。
 超過労働時間のみが取り上げられているようですが、医師としての情熱があれば時間も生活もすべて捧げて診療している医師をたくさん知っていますが、そうした医師が自殺するなんてとても想像できませんが。何らかのパワハラにあって逃げ場がない弱い立場の研修医は、自殺という逃げ場しか残されていない、という状況があるのではないでしょうか?

As a supervisor of residents, I think it would be really serious if a resident under my supervision committed suicide due to overwork. The length of work hours is the only evidence that remains, and this is the only part that can be identified as the cause, but I think this does not clarify the true nature of the situation. All of the reports indicate that overwork has caused depression or suicides, but in most cases, power harassment or bullying is probably involved.
 Although I have not experienced any actual suicides due to overwork, I have known many people who left their workplaces or changed their career paths because they were unable to continue their work due to power harassment. There have also been several cases of suicides by outpatients in my charge, and in many of these cases, the cause was the lack of escape in the community or in their lives. Probably the same cause is responsible for many children's suicides.
 If they cannot protect themselves by escaping from the workplace, or if they cannot secure a place to escape to, they may turn to suicide as a means of escape. Suicide can be prevented if the patient is discouraged from doing so, or if the boss, colleagues, or the workplace can secure a place for the patient to escape.
 There have been several people who changed their career paths because they could no longer tolerate the power harassment in the medical office, but those who could be saved successfully without changing their career paths and who were able to continue their jobs were moved immediately and given loose rehabilitation, and in some cases, they were able to return to work and are still active today. I believe that this kind of rescue is necessary.
 I know many doctors who are passionate about their work and dedicate all their time and life to their practice, but I can't imagine such doctors committing suicide. I think there is a situation where a resident doctor in a vulnerable position who has been harassed in some way and has nowhere to run is left with no other escape than to commit suicide.
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Redo AVR症例→再置換とするか、またはApco-Aortic Conduitにするか

2023-08-19 11:52:50 | 心臓病の治療
 生体弁によるAVR術後の再手術症例は時々経験しますが、TAVI IN SAVが一般化してから、ほとんどはこれで対応可能と考えられます。
 しかしながら日本人の場合は狭小弁が多く、19mmの生体弁を入れた場合はのTAVI IN SAVには通貨障害が遺残してしまうため適応は限定されるでしょうし、一般には適応がとされ、Redo Surgical AVRの適応とされる症例もあります。
 この時に、再度正中アプローチで再置換するか、左開胸でApco-Aortic Conduitとするかは悩むところです。施設によっては右小開胸でMICSアプローチで行うということも考慮するのかもしれませんが、人工弁の切除が困難な可能性が高いので、やはりOpen Surgeryが基本になると考えます。
 正中から行う利点としては、心筋保護をしっかり行っての手術が可能であるので、スタンダードな術式と言えますが、CABG後だったり、上行大動脈が胸骨裏面に癒着している症例などは、これを触らないApco-Aortic Conduitが有利になります。一方、Vf下で行うApco-Aortic Conduitは低左心機能症例には不利ですし、下行大動脈の性状不良症例は適応外となりますので、こちらも条件がそろわないと安全に施行できません。こうした患者特性を総合的に判断して術式を選択する必要がありますが、最近横須賀市立うわまち病院で実施した2例のRedo症例では、こうした患者特性を踏まえて、82歳のCABG後の症例はApco-Aortic Conduit、86歳才の心機能保存された症例は正中アプローチとしていずれも経過良好です。
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ECMO+IABP=エクパン だそうです。

2023-08-19 11:48:01 | 心臓病の治療
最近、機械的循環補助装置による治療のことをMCS=Mechanical Circulatory Supportと呼び、ECMO,Impella、IABPなどを装着した状態を指しますが、
ECMO+Impella = ECPELLA エクペラ
VAV ECMO+Impella = VAVECPELLA ヴァヴェクペラ
と呼ぶということは効きました。

最近、Impella Surgical Summitで他のドクターから聞いたところでは、
ECMO+IABP = エクパン だそうです。
病院に帰って自慢げに、「エクパンって知ってる?」とスタッフに聞いたところ、「アナウンサーか誰かですか?」って答えが返ってきました。


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感染性心内膜炎での弁輪部膿瘍への手技的対応

2023-08-12 07:21:31 | 心臓病の治療
感染性心内膜炎はいまだに死亡率の高い重篤な疾患で全身に敗血症を起こしている状態で手術するという、荒療治が必要です。シンプルな弁置換や弁形成で済む場合が半分以上ですが、弁の付着部にあたる弁輪部にまで感染が波及し、そこに膿瘍を形成していた場合は、人工弁を縫い付けることが出来ないので、手技的な工夫が必要になります。
 前提として、完全に膿瘍を解放して感染巣を除去する必要があります。その上で、縫い付ける組織があるかの観察ですが、それによって次の対応が決まります。
①組織がしっかりしているのでそのまま糸掛する。
②自己心膜やウシ心膜で弁輪部を補強したところに、縫合糸をかける。
③人工血管などで新たな弁輪を作る。マヌギアン手術や、人工血管でのルート再建がこれにあたります。
④弁輪部の外から、弁輪や周囲組織を貫通させて縫合糸をかける。

この④の方法として、周囲の解剖学的位置関係などを熟知しておくひつようがあります。特に、左右冠動脈起始部よりも基部よりに縫合糸をかけるひつようがあるため、述中の的確な判断と工夫が必要です。無冠尖の部分はバルサルバ洞の外からかければいいのですが、右冠尖は、右室流出路や、主肺動脈を切開して、その内腔から縫合糸をかける必要があります。また、左冠尖は左房上壁などからかけなければならず、肺動脈からかけられるところの境界で左冠動脈回旋枝が背側に向かって横切るので、ここで損傷したり閉塞させるリスクがあります。
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