冠動脈バイパス術における上行大動脈へのグラフトの中枢側吻合には、従来は部分遮断鉗子をかけて、メスで小さく大動脈壁を切開し、それを通じてアオルティック パンチャーで円形の切開口とし、そこに大伏在静脈や橈骨動脈、右内胸動脈などを吻合して血流供給ソースとします。上行大動脈の性状が粥腫などによって不良の場合は、脳梗塞などの塞栓症の原因となるため、そういう部位を極力さわらなくてもいいようにするデバイス、それが中枢側吻合デバイスです。人工心肺を使用した上で、部分遮断鉗子をかけて中枢側吻合をしていた20年前は1~2%の脳梗塞の発症を経験しましたが、オフポンプ時代になり、さらに中枢側吻合デバイスが普及してから脳梗塞の発症はほぼゼロになっています。
オフポンプCABGにおいて、上行大動脈へのグラフトの中枢側吻合をするためのデバイスの一つであるEnclose-IIに製品の不具合が散見されるということで、全て自主回収の措置となりました。院内在庫で次の症例には対応可能ですが、それが無くなり次第、補充されなくなるので、非常に困る場面が起こることが想定されます。他に代わるデバイスがあまりないため、供給再開までは慎重な対応が必要です。
オフポンプCABGにおいて、上行大動脈へのグラフトの中枢側吻合をするためのデバイスの一つであるEnclose-IIに製品の不具合が散見されるということで、全て自主回収の措置となりました。院内在庫で次の症例には対応可能ですが、それが無くなり次第、補充されなくなるので、非常に困る場面が起こることが想定されます。他に代わるデバイスがあまりないため、供給再開までは慎重な対応が必要です。