横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

Enclose-II自主回収:冠動脈バイパス術における上行大動脈へのグラフトの中枢側吻合デバイス

2019-07-31 12:25:37 | 心臓病の治療
冠動脈バイパス術における上行大動脈へのグラフトの中枢側吻合には、従来は部分遮断鉗子をかけて、メスで小さく大動脈壁を切開し、それを通じてアオルティック パンチャーで円形の切開口とし、そこに大伏在静脈や橈骨動脈、右内胸動脈などを吻合して血流供給ソースとします。上行大動脈の性状が粥腫などによって不良の場合は、脳梗塞などの塞栓症の原因となるため、そういう部位を極力さわらなくてもいいようにするデバイス、それが中枢側吻合デバイスです。人工心肺を使用した上で、部分遮断鉗子をかけて中枢側吻合をしていた20年前は1~2%の脳梗塞の発症を経験しましたが、オフポンプ時代になり、さらに中枢側吻合デバイスが普及してから脳梗塞の発症はほぼゼロになっています。

 オフポンプCABGにおいて、上行大動脈へのグラフトの中枢側吻合をするためのデバイスの一つであるEnclose-IIに製品の不具合が散見されるということで、全て自主回収の措置となりました。院内在庫で次の症例には対応可能ですが、それが無くなり次第、補充されなくなるので、非常に困る場面が起こることが想定されます。他に代わるデバイスがあまりないため、供給再開までは慎重な対応が必要です。


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病院の紹介ページ

2019-07-30 16:19:38 | 心臓病の治療


横須賀市立うわまち病院は病病連携、病診連携に力を入れており、この連携の中で効率よく患者さんも病院での診療が出来るようにシステム化しようとしています。近隣の病院との連携を深めて、患者さんの利便性をたかめ、それぞれの医療機関の役割を果たしていくことが結果的に患者サービスにつながるものと思います。
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こんな患者さん、一度横須賀市立うわまち病院心臓血管外科に受診してください

2019-07-30 16:15:58 | 心臓病の治療


特に横須賀市立うわまち病院心臓血管外科が力を入れている領域としては低侵襲心臓手術などの侵襲、患者さんの体への負担が小さい手術です。その意味で下肢静脈瘤のレーザー治療も重要なツールです。

弁膜症が疑われる心雑音を指摘されたひと、血縁に大動脈疾患があるひとなどは是非一度受診をお勧めします。
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うわまち病院におけるMICSの比率

2019-07-30 16:06:47 | 心臓病の治療


横須賀市立うわまち病院では、手術侵襲を少しでも小さくするために小開胸の心臓手術を積極的に行っており、筆者が赴任した2016年から少しずつ症例が増加し、体制を整えられた2018年夏頃からは、標準術式として確立して、ほぼ全例に適応する方針としています。
 僧帽弁形成術は9割以上、大動脈弁置換術においても約8割で右小開胸手術をこの一年で実施してきました。
 冠動脈バイパス術においては1/3の症例で行っています。

 おそらく神奈川県内ではおそらく最も積極的に行っている施設と言って良いと思います。
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横須賀に恐竜? ところで恐竜の寿命は?

2019-07-30 15:51:28 | 心臓病の治療



恐竜博が人気のようですが、ジュラ紀や白亜紀の時代、地球は今よりもかなり暑かったそうです。その頃を生物が大繁栄する通常の地球と考えると、現代は未だに氷河期であり、地球温暖化というのは、恐竜時代に比べたら全然クールな時代のようです。

一般にほ乳類においては体の大きな個体の方が、体の表面にある細胞の比率が小さくなるので、エネルギー効率が高まり、より長生きしやすくなるそうですが、は虫類の場合は同じように考えていいのかどうかは微妙ですね。ワニやニシキヘビなんかは40年以上生きると言われているので、大きなは虫類の個体の方が長く生きたと考えられます。ゾウガメは150年も生きたそうですが、恐竜は竜脚類といわれるブロントサウルスやブラキオサウルスのような、また特に巨大だったと言われるスーパーサウルスでは100~200年以上生きたと言われているようです。大きくないBODYのは虫類でムカシトカゲは100-200年の寿命があるようです。
 ちなみに恐竜の中でも最も有名なティラノサウルスの寿命は約30年だそうです。

人間は生物のグラフから飛び出て、異常に長生きな種となりましたが、それ以上の長生き個体、まだまだあるようですね。ほ乳類のなかの最長の寿命を持つのはシロナガスクジラで約100年。耳垢の年輪から推定するそうです。
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大動脈解離における送血部位と働き方改革

2019-07-29 07:41:40 | 大動脈疾患
大動脈解離における送血部位は、
①大腿動脈、②腋窩動脈、③上行大動脈、④心尖部 と主に4つの部位があります。
横須賀市立うわまち病院では①安全で確実、②より速く人工心肺が開始できる、③創部の数を少なくする、④手技が簡便という観点から選別している関係上、選択の頻度は
①上行大動脈送血、②大腿動脈、③心尖部送血、④腋窩動脈送血の順です。

世間では、腋窩動脈からの送血が最も安全ではないか、として第一選択している施設もありますが、術前の慎重なCT評価を行うことで、どの方法も安全、確実な選択として採用可能と考えます。腋窩動脈には人工血管を縫着するため、20-30分人工心肺開始まで長く時間がかかります。夜間の緊急手術が多い大動脈解離の手術としては、より短時間で人工心肺を開始して、より短時間に手術を終えることができる方法を選択するということを考えると、腋窩動脈は最終選択になります。また、同じ理由で確実に救命できる方法を第一選択するということを考慮すると、置換範囲を出来るだけ小さくすることが理に適っており、弓部大動脈置換や大動脈基部置換を極力行わず、出来るだけ上行大動脈置換術にとどめることが重要です。
 このことが結果的に限られた病院のリソースを有効に利用し、働き改革にも貢献する方法であると考えられます。
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東京埼玉神奈川心臓血管外科症例検討会

2019-07-28 22:42:22 | 心臓病の治療
 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科の派遣元医局である、自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科医局は、横須賀以外に、横浜市、東京都練馬区、江東区、さいたま市、春日部市と、三件にまたがって心臓血管外科施設にチームで派遣しております。
 こうした派遣施設が一同に集まって定期的にイベントや会議などを行っておりますが、今回は横須賀市立うわまち病院心臓血管外科が主催して、品川で東京埼玉神奈川心臓血管外科症例検討会が開かれました。今回で9回目となり、また、令和になって初の症例検討会です。
 各施設から経験した症例をもちより、情報・経験を共有することは今後の診療に非常に役立ちます。学会に比べて、内輪の会であるためかえってざっくばらんに何でも話せる環境が非常に有効と思いました。

横須賀市立うわまち病院からは
① 落下した左房粘液腫を無事に人工心肺のリザーバー内から回収に成功した症例
② 腹部大動脈瘤と冠動脈バイパス術(右胃大網動脈-後下行枝)を同一手術創から行った症例
について症例定時しディスカッションしました。

他に術後心筋虚血の評価について、B型解離のMalperfusionについて、人工血管の屈曲の予防について、オープンステント挿入において弓部のカーブが急峻な症例についての適応、オープンステントの部分的開窓による左鎖骨下動脈再建、術後感染に対する対策などについて議論しました。
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横須賀と言えばカレー、カレーと言えばカレーうどん

2019-07-27 08:55:03 | 心臓病の治療


横須賀カレーうどん、ココナッツ風味の入ったスパイシーなカレーが売りのカレーうどんですが、今月のおすすめ、渡り蟹の焼きカレーうどん、絶品です。渡り蟹の味噌の強い風味がカレーに独特なコクを与えます。渡り蟹のクリームパスタをココナツカレー味にして、麺を太麺のタリアテッレにした感じです。
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修練指導医の心臓血管外科専門医更新

2019-07-27 08:32:48 | 心臓病の治療
心臓血管外科専門医の更新は五年に一回、その手続きがあり、実際は多くの専門医が手術経験が足りない、論文が足りない等の理由で更新できないそうですが、あらたに、元専門医であることの証明である認定医という資格ができるようです。
他に、専門医の更新も初回と二回目以降、そして修練指導医の更新と三つのジャンルが出来ました。

修練指導医の更新では、自分で執刀する1点よりも、指導的助手をした方が2点にカウントされるようになりました。すなわち、より教育的な方へ重点をおかれたことになります。五年間で100点以上の手術経験が必要です。筆者はその10倍の1000点以上の経験がこの五年間でありましたが、データベースの利用で申請が極めて簡単になっています。過去には手術記録を100件以上整理して提出する必要がありましたが、データベースの利用により、指定された1件の手術記録だけですみます。今回の更新申請で筆者が指定されたのは、急性大動脈解離のキュウブ大動脈置換術の症例でしたが、その日は定時のキュウブ大動脈置換術のあとに緊急の解離が入り、1日二件のキュウブ大動脈置換術をしたときの記録を出すように指示されました。懐かしい思いでの症例でした。
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ノーサイドゲーム

2019-07-27 08:17:46 | 心臓病の治療
池井戸潤の書き下ろし、日曜ドラマになっていますが、
主演の大泉洋は、原作と違ってかなり、大泉洋になってしまってて少し残念です。

原作ではラガーマンの精神に訴えて、正義の行いをする、という設定になっていたりします。

心臓血管外科にもラガーマンだった人はいますが、ラガーマン精神を忘れたのか、診療にもいかしてほしいものです。オールフォーワン、ワンフォーオール、少なくともこれ、心臓外科の世界にはあまりありませんね。

みなそれぞれ、孤独な戦いをしていますが、最後にいい外科医人生だったと思えるような人間関係を維持したいものです。

医局の人事など、個人的な利害が直結する事項は多々ありますが、どうしてこんなに自分の利益ばかり主張するものが多いのか、しかも、上にたつものほど、下に手本を示さなければならないのに、わがままを押し通そうとするのか、理解に苦しむことが多いですが、組織としてはそうした人間は排斥していくしかありません。組織の大きさだけを維持するために、悪を妥協するより、ダウンサイズしてでも、いいメンバーだけ残していく方が将来性があると思います。
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人工弁の縫着方法Supra? Intra?

2019-07-26 14:01:06 | 弁膜症

人工弁置換術には、弁の留置の仕方によって、Supra-annular position, Intra-annular positionがあります。これらは、より組織が切れにくいマットレス縫合の際の縫着方法で、糸のかけかたが左室側から入れるか、左室側に向かって入れるのかによって、弁輪の上に弁座が乗るのか、弁輪の中に弁輪が反り返るような形態をさせながら逢着するのかの違いがあります。その中間的なポジションとして、単結節の糸で逢着する方法もあります。

 大動脈弁のとくに狭小弁輪には最近は、より大きめの弁が入るSupra-annularの方が多用されます。
 僧帽弁の場合は、日本ではIntra-annularが多く採用されるのに対して、アメリカではSupraがおおいようです。最近の新しい僧帽弁用の生体弁ではSupraに縫着することを前提にデザインされたものもあります。
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鮎の季節

2019-07-26 10:21:11 | 心臓病の治療


鮎の季節ですね。やはり、たで酢ですね。
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心不全のPrecision Medicine

2019-07-24 05:27:27 | 心臓病の治療



 心不全の病態解明に関して、遺伝子解析が役立っているそうです。まだ詳しいメカニズムはわかっていませんが、p53などの癌抑制遺伝子が関与しているようです。心不全を呈している心臓にある心筋細胞に遺伝子解析をして、この細胞に癌関連遺伝子が表現されていると治療に反応しやすい、または治療に反応しないというようなことの性質がわかるそうです。
 治療の早い段階で、そのまま薬物治療でよいのか、補助人工心臓のような機械的補助や心臓移植を見据えた治療が必要かどうかの判断が出来ることは、より適切な治療に近づくことになります。
 今後、心不全が、感染の大流行のような大量の患者数が発生することが予測される、いわゆる「心不全パンデミック」時代により適合した治療ができることが予測されます。
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透析患者の大動脈弁置換術には生体弁か、それとも機械弁か?最新の論文から~

2019-07-24 01:19:19 | 弁膜症
 透析患者さんに生体弁を移植すると、人工弁の弁葉が早期に石灰化して、そこを起点に亀裂が生じて、早期に弁機能不全(PVF=Prosthetic Valve Failure, SVD=Structural Valve Deteriorationともいう)が生じて、長持ちしない為、機械弁の選択が推奨されてきました。
 しかしながら、最近の考え方として、透析患者さんは長期生存する症例が少ないので、生体弁を移植してたとえ長持ちしなくても寿命自体がもともと短いので、あまり問題にならず、それよりも機械弁を移植したためにワーファリンの管理を厳密に行う必要があり、それによる出血のトラブルの方が多い、との観点から、生体弁が適する、と考える人も少なくない現状です。

 しかしながら、透析患者に生体弁移植した際の長期成績について、まとまった報告は少なく、日本人のデータベースから解析した結果によると、透析患者の平均の術後生存期間は3年ほどで、5年以内に生体弁が壊れる可能性は2-10%程度のようです。しかし、たとえ2%でも早期に壊れてしまう症例があるのも事実で、5年以内に死亡するとは限らない透析患者に積極的に生体弁を選択するというのはいかがなものか、と思います。
 透析患者と言っても全身状態には差が大きく、元気で栄養もいい患者さんは、10年以上生存も期待できるため、元気な患者さんほど機械弁を選択するべきと思います。しかしながら、全体とすると・・・

Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2019 Jul 6. doi: 10.1007/s11748-019-01172-w. [Epub ahead of print]
Prosthesis selection for aortic valve replacement in patients on hemodialysis.
Hori D1, Kusadokoro S2, Kitada Y2, Kimura N2, Matsumoto H2, Yuri K2, Yamaguchi A2.

これは、当医局のデータを論文化したものが今月出版されました。透析患者に対する大動脈弁置換における弁の選択に関しては最新のものです。これによると、透析患者の大動脈弁置換術では生体弁と機械弁とでは大きな有意差はなく、機械弁において出血の合併症が高いということ以外の差は認めなかった、ということになり、あとは患者の選択で決定して良い、ということになります。


要旨を要約すると

自治医科大学附属さいたま医療センター(年間500件の心臓大血管手術を行い、大動脈弁置換は年間100件以上実施している国内のハイボリュームセンターの一つ。筆者の前任地でもあり、横須賀着任前はその1/3の症例を筆者が執刀していました)。

この施設において、2008年から2016年の間に76例の透析患者の大動脈弁置換術が実施され、このうち機械弁が移植されたのが30例、生体弁が移植されたのが46例。機械弁が移植された患者が有意に年齢が若いが、手術実施時の在院死亡に機械弁と生体弁では有意差はない。遠隔期には出血の合併症が機械弁患者で高頻度であるが、遠隔死亡や主要合併症には有意差は認めない。3年後の生存は機械弁で56.7%で生体弁で61.2%、5年後の生存率は機械弁で48.6%、生体弁で39.5%。これらの症例の中で生体弁機能不全による再手術症例は1例も無かった。遠隔期に機械弁と生体弁とで遠隔死亡、主要合併症の成績において有意差は無かった。
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横須賀なわばり

2019-07-21 09:18:11 | 心臓病の治療


だそうです、
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