一酸化窒素の吸入療法は1990年代に開発された比較的新しい治療法です。
血管平滑筋の拡張作用があることから、主に吸入することにより肺動脈圧が低下することを利用して、先天性心疾患をもつ新生児の肺高血圧治療に成果が認められてきましたが、2016年より成人心臓手術後の肺高血圧に対する手術適応が認められ、 成人の心臓血管外科手術のみを扱う施設としては神奈川県内では最も早く横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも2017年から治療を導入しています。
これにより特に、急性大動脈解離における術後のSIRS=Systemic Inflammatory Responce Syndromeに伴う肺障害に対して効果を上げています。急性大動脈解離は高度の全身炎症を起こすため、これによって白血球より産生される炎症性サイトカインが、肺胞上皮などを攻撃して炎症を惹起し、肺浮腫を起こすことによって一時的に呼吸機能が著しく悪化します。
NOを吸入することで、NOが到達する肺胞に灌流する毛細血管が拡張し、喚起する肺胞ほどガス交換が盛んに行われるようになります。肺浮腫に陥った肺胞ではガス交換がうまく行えないため、NOが到達できず、血管拡張は行ず、これによっていわゆるV/Qミスマッチが解消されて、呼吸機能が改善します。
また肺血管の拡張によって、右心室から肺動脈、肺静脈、左心房へと血流がよりよく灌流することになり、心不全が改善することが期待できます。
特に肺高血圧もしくは右心不全を伴う症例には効果が期待できるため、両心補助(左心補助+右心補助)を必要とする症例に対して、左心補助だけで済む可能性が高くなります。補助人工心臓装着の際、両心補助でなく左心補助だけですむようになれば、装着の手術侵襲が大幅に削減され、救命率そのものを改善できる可能性が高くなります。極端に言うと、右心補助が必要なく、左心補助だけですむようになれば、開胸による全身麻酔手術である補助人工心臓装着を必要とせず、最新の循環補助装置であるインペラ(Impella)の装着とNO治療の組み合わせだけで劇症心筋炎などの症例を治療できることになります。次世代の治療として、より低侵襲で確実な救命の期待できる治療が進化していくものと期待できます。
血管平滑筋の拡張作用があることから、主に吸入することにより肺動脈圧が低下することを利用して、先天性心疾患をもつ新生児の肺高血圧治療に成果が認められてきましたが、2016年より成人心臓手術後の肺高血圧に対する手術適応が認められ、 成人の心臓血管外科手術のみを扱う施設としては神奈川県内では最も早く横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも2017年から治療を導入しています。
これにより特に、急性大動脈解離における術後のSIRS=Systemic Inflammatory Responce Syndromeに伴う肺障害に対して効果を上げています。急性大動脈解離は高度の全身炎症を起こすため、これによって白血球より産生される炎症性サイトカインが、肺胞上皮などを攻撃して炎症を惹起し、肺浮腫を起こすことによって一時的に呼吸機能が著しく悪化します。
NOを吸入することで、NOが到達する肺胞に灌流する毛細血管が拡張し、喚起する肺胞ほどガス交換が盛んに行われるようになります。肺浮腫に陥った肺胞ではガス交換がうまく行えないため、NOが到達できず、血管拡張は行ず、これによっていわゆるV/Qミスマッチが解消されて、呼吸機能が改善します。
また肺血管の拡張によって、右心室から肺動脈、肺静脈、左心房へと血流がよりよく灌流することになり、心不全が改善することが期待できます。
特に肺高血圧もしくは右心不全を伴う症例には効果が期待できるため、両心補助(左心補助+右心補助)を必要とする症例に対して、左心補助だけで済む可能性が高くなります。補助人工心臓装着の際、両心補助でなく左心補助だけですむようになれば、装着の手術侵襲が大幅に削減され、救命率そのものを改善できる可能性が高くなります。極端に言うと、右心補助が必要なく、左心補助だけですむようになれば、開胸による全身麻酔手術である補助人工心臓装着を必要とせず、最新の循環補助装置であるインペラ(Impella)の装着とNO治療の組み合わせだけで劇症心筋炎などの症例を治療できることになります。次世代の治療として、より低侵襲で確実な救命の期待できる治療が進化していくものと期待できます。