主に交通事故などで発生する多発外傷の中でも、最も重症度の高いものの一つに外傷性大動脈断裂があります。通常、大動脈弓部が体に固定されている部位として、動脈靭帯がありますが、ここを起点にして大動脈が断裂するものです。直接大動脈に打撃が加わるのではなく、体全体が衝突の刺激で急速に減速した場合に、内部の質量をもつ大動脈が断裂してしまうというもので、急速減速性外傷、とか、高エネルギー外傷ともいいます。交通事故以外に、転落でも同じようなことが起こりえますが、今まで最も多く遭遇したのは、バイク搭乗中の事故でした。
この大動脈断裂は、事故現場で半分が命を落とすと言われ、病院に搬送されるまで生存しているのは一般に半分で、そこから救命される可能性は半分ともいわれています。まるで大動脈瘤破裂に匹敵する重症の状態ですが、この多発外傷は、他の臓器損傷を伴うことが多いのが特徴で、骨折や脾臓破裂、腎破裂、脊椎損傷、肝挫傷、肺挫傷、心外傷などが合併していることが多く、特に腹腔内出血を伴う場合はどちらの治療を優先するべきか、迷いことも少なくありません。
最近ではこうした外傷による出血に対する治療として、血管内治療が主流になってきています。脾臓破裂や腎破裂、肝破裂などの場合も、その臓器を灌流する動脈をコイル塞栓することで止血ができればより低侵襲での治療が可能となり、救命の可能性が高くなります。
大動脈断裂においても、以前は左開胸して下行大動脈置換を行うのが一般的でしたが、10年程前より、ステントグラフト挿入術による再破裂予防治療が一般的になりました。ステントグラフトが出来ない症例や状況でのみ、下行大動脈置換術が選択されると考えていいでしょう。
この大動脈断裂は、事故現場で半分が命を落とすと言われ、病院に搬送されるまで生存しているのは一般に半分で、そこから救命される可能性は半分ともいわれています。まるで大動脈瘤破裂に匹敵する重症の状態ですが、この多発外傷は、他の臓器損傷を伴うことが多いのが特徴で、骨折や脾臓破裂、腎破裂、脊椎損傷、肝挫傷、肺挫傷、心外傷などが合併していることが多く、特に腹腔内出血を伴う場合はどちらの治療を優先するべきか、迷いことも少なくありません。
最近ではこうした外傷による出血に対する治療として、血管内治療が主流になってきています。脾臓破裂や腎破裂、肝破裂などの場合も、その臓器を灌流する動脈をコイル塞栓することで止血ができればより低侵襲での治療が可能となり、救命の可能性が高くなります。
大動脈断裂においても、以前は左開胸して下行大動脈置換を行うのが一般的でしたが、10年程前より、ステントグラフト挿入術による再破裂予防治療が一般的になりました。ステントグラフトが出来ない症例や状況でのみ、下行大動脈置換術が選択されると考えていいでしょう。