腹部大動脈瘤手術における吻合中は下半身の循環遮断を伴い、また腎動脈上遮断を要する腹部大動脈瘤の手術において、腎血流遮断中は冷却したリンゲル液で灌流することは広く行われているが、腎血流遮断が長時間に及ぶと術後の腎不全を起こし一時的にも透析管理が必要になる症例が多い。補助循環を行う人工心肺によって持続的に腎灌流が出来れば術後の腎不全を回避出来、また人工心肺による下半身の循環遮断を回避出来、血液回収、返血による血液ロスも回避できる。
腹部大動脈に急速に拡大する傍腎動脈腹部大動脈瘤6cmを認め人工血管置換術の適応と判断された症例に対して、腹部正中切開で開腹。両側腎動脈上遮断が必要で、また腸骨動脈領域の高度癒着のため末梢側の遮断は不可能な症例であったため、左大腿動脈送血、左大腿静脈経由右房脱血で人工心肺を確立し、循環補助を行いながら腎動脈上遮断して瘤を切開。出血は人工心肺から返血しながら、両側腎動脈の分枝灌流を開始し、腹部大動脈末端で大動脈を閉鎖。両側腎動脈入口部を温存するように中枢側のトリミングを行い、Y型人工血管を吻合。末梢側は両側外腸骨動脈に吻合。中枢側の吻合部から拍動性の出血があったが、人工心肺からの血液回収、返血により終始血圧は安定。止血確認後、人工心肺からの離脱、デカニュレーションし、プロタミンでヘパリンを中和。術後の腎不全など臓器不全を呈すること無く経過良好で退院。
こうした症例のように分枝灌流、出血に対する返血など人工心肺による循環補助があることで時間の制限に影響されることなく、安定した循環動態を維持したままの手術が可能です。
腹部大動脈瘤に対しても出血、分枝灌流に対応するための人工心肺による循環補助は有用!
という報告を次回の日本脈管学会総会で発表予定です。
腹部大動脈に急速に拡大する傍腎動脈腹部大動脈瘤6cmを認め人工血管置換術の適応と判断された症例に対して、腹部正中切開で開腹。両側腎動脈上遮断が必要で、また腸骨動脈領域の高度癒着のため末梢側の遮断は不可能な症例であったため、左大腿動脈送血、左大腿静脈経由右房脱血で人工心肺を確立し、循環補助を行いながら腎動脈上遮断して瘤を切開。出血は人工心肺から返血しながら、両側腎動脈の分枝灌流を開始し、腹部大動脈末端で大動脈を閉鎖。両側腎動脈入口部を温存するように中枢側のトリミングを行い、Y型人工血管を吻合。末梢側は両側外腸骨動脈に吻合。中枢側の吻合部から拍動性の出血があったが、人工心肺からの血液回収、返血により終始血圧は安定。止血確認後、人工心肺からの離脱、デカニュレーションし、プロタミンでヘパリンを中和。術後の腎不全など臓器不全を呈すること無く経過良好で退院。
こうした症例のように分枝灌流、出血に対する返血など人工心肺による循環補助があることで時間の制限に影響されることなく、安定した循環動態を維持したままの手術が可能です。
腹部大動脈瘤に対しても出血、分枝灌流に対応するための人工心肺による循環補助は有用!
という報告を次回の日本脈管学会総会で発表予定です。