横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

かぞかぞ(心を揺さぶるNHKドラマ)

2024-09-10 06:18:04 | 心臓病の治療
 すごいドラマがあります。このドラマ、ブラックペアンなど比較にならないリアルさがあります。今のNHKドラマ、かぞかぞ、とも呼ばれている、「家族だから会いしたのではなく愛したのが家族だった」というドラマ。一家族の話なのですが、非常に共感する部分が多い家族ドラマです。
 心筋梗塞で具合が悪そうな父のシーン、それに「死んでまえ!」と娘が言い放って学校に出かけてしまい、それっきりになってしまったシーン、衝撃的過ぎて、また演技が真に迫っている上手さ、迫力、素晴らしかったです。心筋梗塞がどうかはわかりませんが、錦戸亮さんの具合悪そうな演技、本当に真に迫っています。
 ダウン症の弟君の演技、最高です。素で演じているのか、そのものすぎて、一挙手一投足に感動しています。おそらく障害者が家族にいる人なら心から共感するのではないでしょうか。その周囲にいる家族の心境が非常によくおそらくそのままに表現されています。
 母親が大動脈解離で緊急手術を受けたあとに脊髄虚血から対麻痺になってしまい、車いすの生活から社会復帰し仕事をしたり自動車の運転をしたり。その母が、突然の発熱。実は大動脈解離の時に移植した人工弁が感染して、弁輪部膿瘍に至り緊急手術。朝からの手術が終わるもが深夜、これもまた現実そのもの。その待つシーンなど、本当に現実そのもののリアルさがあるドラマです。
心臓外科医でないと決して思いつかない、大動脈解離⇒対麻痺、その後の人工弁感染、弁輪部膿瘍といった超専門性の高い内容のストーリー、どうしてここまでリアルなんだろう。坂井真紀さんの敗血症で発熱して具合が悪そうなシーン、リアルそのもので、本当に具合が悪くないとこの演技できないです。
 このドラマ自体、誰かが想像で作ったとは思えないリアルさがある、とすごく引き込まれてしまうのですが、その理由がわかりました。ネットで検索したら、このドラマは、原作が、作者の岸本ななみさんが自分で体験したこと、家族のことを書いたブログが大きな反響をうけ、本になって出版され、それがドラマ化したものだったのです。想像の産物では決して生まれてこない現実さは、現実そのものだったのです。そしてそのもととなる病者の表現力が読者をここまでひきつけるのでした。
 このドラマの中で、いくつかのキーワードとなるようなセリフがありますが、これもまた人生を素晴らしいものに変えてくれる魔法の言葉、たくさん入っています。この魔法の言葉がきっと読者をひきつけることになっているのでしょう。
 その中でも
①父の言葉「迷ったらおもろい方を選べ」 まさに筆者が普段仕事や生活をしていて、規範となる考え方です。心臓外科医としては非常に大事な仕事スタイルと思っていますし、若手の教育にもこの精神を大事にしています。
②母の言葉「この子達の成長を見守るために自分は行かされている」対麻痺になって不自由の生活を強いられる理由、これは自分の子供の成長を見守るチャンスとして享受するべきものであった、と気づかされたシーン、心に残ります。
 涙なしでは見られないこの秋一番の心を揺さぶるドラマです。
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スカイキャッスル

2024-09-04 05:22:54 | 心臓病の治療
 今、スカイキャッスルというドラマを放映しています。こちらは湘南国際村をロケに使っており、背景に見えるタワーは合成しているもののようです。その関係で横須賀、葉山町周辺の背景がよく映ります。うわまち病院のある、横須賀中央地区は現在のところ映っていませんが。
 このドラマ、高級住宅街に住む医師のセレブ奥様たちが、自分の子供を医学部に入れるためにいくらでもお金を積むという背景があります。これ、とっても医師としては納得のいくセッティングです。
 やはり医師の子息が後を継ぐ、もしくは同じ医師を目指してくれるのは、これ以上嬉しいものはありません。こうした中で一族に医師がたくさんいる家系では、子供が医学部に進学して当たり前、みたいな考えもあり、いとこ同士で競ったり、親戚の話題がどこの学校にはいったの?みたいな噂話が絶えないのもこの世界です。子供を医学部に入れて初めて、嫁として認められる、みたいなところがある家もあります。
 筆者の母親は、大の噂好きで、他の親戚の子息がどこに進学したのかからはじまって、その良い事悪いことなんでも話題にするのが生きがいのような人です。自分のことも他の親戚にこの調子でしゃべってるんだろうな、って思うとぞっとします。
 でも噂話ほど楽しいものがないのも事実で、その遺伝子を受け継いだ筆者も、他の病院の医師の噂話やスキャンダルの話は大好きです。
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10月からこども手当所得制限撤廃!

2024-09-04 05:13:43 | 心臓病の治療
 10月からこども手当の所得制限が撤廃されます。所得が多い人ほど子供をたくさん持つ傾向にありますので、所得制限の撤廃は子供の数を増やすには妥当な制作ですが、それ、今まで気づかなかったのでしょうか?また高額所得者はただでさえ税金を多く払っているのに、さらに子供がいると受けられるサービスがうけられない、いわゆる子育て罰の国策が今まで通っていたのは、昔は人口が日本は多くて将来食糧危機が来るので口減らしに子供を増やさない政策を続けていたためと思います。また、高額所得者に対する妬みもあったのでしょう。
 しかしながら、所得税に関する児童扶養控除は廃止になったままです。こども手当の所得制限撤廃による受取額と、過去の児童扶養控除の額があまりかわらない、という人もいるのではないでしょうか。こちらも元に戻してもらいたいですね。
 人口減少により国が滅んでしまう危機感からようやく人口抑制策をやめることになった、と理解しています。
 しかしながら、財源をどうするのか。他にも防衛力強化などやるべきことはたくさんあるので、老人福祉をけずっていくしかないでしょうか。今まで老人の医療で主に稼いできた医療関係者も、逆境の時代に入ってしまう可能性が高いと思いますが、それでも国の将来を優先すべきと思います。
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MICS-CABGにおける複数肋間開胸アプローチの有用性

2024-08-28 01:32:34 | 心臓病の治療
 MICS-CABGにおいて、上行大動脈への中枢側吻合、下壁領域への吻合操作の難しさが技術的障壁として、普及を妨げており、LITA-LADの1枝バイパスにとどまっている施設が多い理由の一つと考えられます。
 これに対して1か所の左側方開胸から複数肋間を介して心臓操作を行うことがMICS-CABGの技術的課題を解決する一手になりうるかを考察します。
 8~10cmの皮膚切開で左第5肋間アプローチをメインの操作肋間として、心膜切開、内胸動脈採取等を行った後、上行大動脈の部分遮断、中枢吻合が視野操作性不良の場合に同じ皮膚切開から第4肋間開胸に切り替えて中枢側吻合を行い、末梢吻合の際には再び第5肋間開胸に移行します。もしくは、4PDなど下壁領域の吻合視野、操作性が不良の場合に、同様に同じ皮膚切開から第6肋間開胸からのアプローチに変更して末梢吻合を行います。場合によって肋骨弓を離断して視野の改善を図ります。
 複数肋間開胸アプローチによって良好な視野、操作性を確保したMICS-CABGはより吻合の質を確保する有用なオプションであり、今後の多枝MICS-CABG普及の一助になると考えらます。
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Left atrium to left ventricle conduit

2024-08-10 08:16:19 | 心臓病の治療
 僧帽弁狭窄症に対しては通常、人工弁置換術が行われますが、弁置換術後も房室間狭窄が残った場合は、僧帽弁輪の弁輪拡大は困難なので、他の方法としては、左心耳に導管をたてて人工弁を介在させ左室に血流を流すという術式が可能性のある血行再建方法です。
 主に小児心臓手術で実際に実施されているようですが、症例報告によると、導管は心尖部ではなく、側壁に吻合しているようです。操作上は心尖部が簡単そうですが、側壁に吻合するのは、屈曲を避ける、できるだけ短くして血栓形成を予防するなどがその理由なのでしょうか?
 症例があれば是非やってみたい手術です。
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ブラックペアン2についての感想(続き)

2024-08-09 14:37:32 | 心臓病の治療
 ブラックペアン第5話 ストーリーには手が込んでいましたが、注目の心臓手術シーンでは、流れるようなスムースな展開でした。こうした医療ドラマはプロがみても楽しめるように、わざとちょっとした違いを作ったりしてくれていて、そこがまた見ていて楽しめる部分の一つです。
 前回のブログに「続き希望」のボタンを頂きました。推してくれた方、ありがとうございます。
 その前に記載したブログでは、通常上行大動脈に挿入するこの送血管、いったいどこに入っているのだろう?との疑問に、ある仲良しの心臓外科教授から、「遠位弓部送血!」と高難度の手技の答えを頂きました。それが正解だとすると、たしかに世界一の外科医にしかできない高難度手術です!でも管の中の血液が静脈血の色なんですけど・・・。
 問題のシーンは以下

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Herald Bleeding 大動脈から気管・気管支または消化管への瘻孔形成への前駆出血

2024-07-29 10:02:11 | 心臓病の治療
 大動脈から気管・気管支や消化管へ瘻孔を作って大出血を起こすことがあります。この場合は即死してしまう可能性があるが、多くの症例では、前駆出血を呈します。この特徴的な前駆出血は“herald bleeding”と呼ばれ約2/3の症例で認め,致死的な大出血に先行することが知られてそうです。
 “Herald bleeding”の機序としては,一時的な血圧低下と瘻孔部の局所的な血流低下の結果,血管攣縮と血栓形成が起こり一時的に瘻孔が塞がれ止血されるが,瘻孔の閉鎖による正常血圧への復帰により血栓が飛ばされ大出血に至ると考えられているようです.前駆出血から大出血に至るまでの時間は,50%が24時間以上,29%が1週間以上と比較的時間が経ってから大出血が起こる症例も少なくないとのことです。
 いずれにしろ、放置した場合は致命律100%ですので、致死的大出血を起こす前に何らかの外科的治療をする必要があります。
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ブラックペアン2第2話 左室破裂の臨場感

2024-07-21 10:16:53 | 心臓病の治療
 ブラックペアン2始まりましたね。突拍子もないストーリーですが、いろいろ突っ込みどころ満載のところも医療関係者が楽しめるように作っている見どころだと思いますし、実際にとても楽しませでもらっています。
 実際の手術シーンでは、僧帽弁輪の石灰化を除去した後に、左室破裂して大量に出血があるシーン、まさにあの臨場感、実際に味わったことがないとわからないパニック感、実際そのものに表現されていて素晴らしかったです。しかも、修復したあとに遮断解除した瞬間、出血が止まっていなくて再度出血が湧き上がってくるシーン、まさに心臓外科医人生が終わってしまうって絶望感を感じるシーン、とてもよく表現されていました!
 今日のドラマ 第3話も楽しみにしています。
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OPCAB学会

2024-07-17 00:35:41 | 心臓病の治療
 OPCAB研究会からACVS/OPCAB学会と進化し、2024年は先週その学会が行われました。今回は大動脈弁を極めるプログラムで各エキスパートが集結して貴重な講演を通じて深く勉強することができるプログラムでした。
 筆者はポスターセッションの座長を仰せつかりましたが、このポスターセッションも大動脈弁と関連した発表です。横須賀市立うわまち病院からは大動脈弁置換術後PVFに対するApico-Aortic Conduit、およびMICSーAVRの治療成績について発表しました。
 来年は冠動脈外科学会とは切り分けて、沖縄で開催だそうです。是非行きたいです。
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横須賀のMICS比率

2024-07-15 06:24:29 | 心臓病の治療
横須賀市立うわまち病院では積極的に低侵襲アプローチを採用しており、201-23年の平均の心臓胸部大血管手術に対する側方開胸の比率は1/3ほどになっています。患者さんにとってベストなアプローチを選択することが安全な手術の第一歩です。すべてが小開胸アプローチできるわけではありませんが、かなりこの比率は高い方なのではないかと思われます。
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日本冠動脈外科学会2024 MICS-CABG

2024-07-15 06:11:49 | 心臓病の治療
今年の日本冠動脈外科学会は東京、京王プラザホテルで開催されました。数年前に山口で開催されたときにはじめてMCS-CABGのセッションが開催された感がありましたが、今年はMICS-CABGは主要テーマの一つになっています。横須賀市立うわまち病院からも、MICS-CABG導入によって循環器内科からのCABG紹介が増えるという内容の発表をさせていただきました。
 
2022年の全国のPCI件数24万件にたいして単独CABG件数11000件あまりでPCIに対する比率は22:1です。うわまち病院も筆者が再赴任した翌年が47.8:1だったのが徐々に比率が変化し2023年は6.2:1となっております。MICS-CABG開始により今まで紹介されてこなかった症例も紹介されるようになったと実感しています。CABG増加には院内より他病院からの紹介が増加しているこもと関係しています。
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ブラックペアン2 この管はどこに?

2024-07-15 06:01:04 | 心臓病の治療
二宮君主演のブラックペアン2 先ほど録画を見ましたが、今回も左室破裂の出血シーンの臨場感、恐怖感、演技も演出も素晴らしかったです。遮断解除すると血が沸き上がって来て、オランダ少年になるところ、そしてそこから命を救うところ、まさに心臓外科の醍醐味です!ステージにOPE室を持ってくる演出も奇抜でした。実際の心臓をテレビに出すわけにはいかないことから模型を使ってOPEを再現しているのでしょうけど、送血管に見える、あの管、どこに入っているのでしょうね?主肺動脈でしょうか?色は静脈血になっているので、肺動脈なのかもしれません。また、心筋保護回路がエア抜きされていないがとても気になりました。また、僧帽弁手技は右側左房切開アプローチではないかと思われますが、いきなり右房を切り出していました。ダイレクトアナストモーシスはLMT(左主幹部#5)をインターポーズするはずですが実際の置換した部位は前下行枝(#6)でした。使っている糸は8-0といっておきながらどう見ても5-0または4-0でしょうか。けっこう太かったです。こうした間違い探しをする楽しみをつくるところも、最近の医療ドラマの面白いところです。
 毎週楽しませてもらっています。
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J-MICS2024 日本低侵襲心臓手術学会

2024-07-07 09:20:03 | 心臓病の治療
 今年のJapan MICS Summitは、大分で開催されました。大分市は意外に大きな町で、その気候から大分の優しいおおらかな人柄はこの土地からつくられるのだと思いました。
 今回のテーマはDevils I met。MICS手術中に遭遇したトラブルについての情報共有のいい機会になりました。MICS特有のものから、正中アプローチでも発生しうるトラブルなど、多くの情報共有ができました。
 特に僧帽弁形成において、弁輪の糸掛けで左冠動脈回旋枝を閉塞してしまう経験およびその詳細な検討は大変勉強になりました。発生頻度は1%以下でも、一度発生すると致命的になったりその後の生活に大きな支障が出てしまうリスクを含んでいるので、重要です。
 当院からはCygnet遮断鉗子による遮断不十分のリスクについて発表しました。Cygnetとは白鳥の幼鳥のことを指す言葉のようですが、この鉗子のフレキシブルなシャフトがその首に似ていることから命名したのではないかと想像します。
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5年ぶりの市民公開講座再開 足のむくみと静脈瘤

2024-07-07 09:14:56 | 心臓病の治療
 横須賀市立うわまち病院ではコロナパンデミックが終息して日常生活が戻りつつある昨今の状況を鑑みて、今年度から市民公開講座を再開することとしました。まず最初の皮切りに、①足のむくみと下肢静脈瘤、続いて②循環器内科副部長山脇医師による、弁膜症とTAVI、そのあと③心臓血管外科の低侵襲治療について、と年内に三回を予定しています。
 横須賀市立うわまち病院は三浦半島でいち早く静脈瘤の治療を2009年の診療科開設時から開始し、最近ではほぼすべての治療が外来手術となっています。最新の静脈瘤治療、それと鑑別が必要な足のむくみの話を交えて、当科の玉井医師にしてもらいます。質問コーナーも設けますので、ご興味のある方は、うわまち病院での最後の公開講座になりますので、是非ご来場ください。

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成人大動脈縮窄症の手術

2024-06-11 00:55:42 | 心臓病の治療
 大動脈縮窄症は先天性の大動脈異常がほとんどで、成人期まで無症状のこともありますが、その場合は下半身の低血圧、上半身の高血圧を呈して、そのための大動脈解離を発症したり、高血圧に伴う頭痛などの随伴症状が出たり、また、狭窄部位で発生するジェット血流が当たる遠位弓部に狭窄後拡張→大動脈瘤を呈することもあります。また、下半身への血流低下を補うために側副血行が発達し、特に内胸動脈や肋間動脈が太くなっているため、手術の際は予想外の出血に遭遇することもあります。
 保存的治療としては、上半身の高血圧を是正して二次的な疾病を予防することが基本手で鵜が、根治治療は狭窄部位を解除して下半身の血流を増やすことにあります。これには解剖学的もしくは非解剖学的バイパスが一般的です。狭窄部を切除して置換することは周囲の癒着や反回神経、横隔神経の損傷のリスクがああり、また発達した側副血行路からの出血も無視できませんので、お勧めできません。一般に左鎖骨下動脈が拡張している症例が多いので、この場合は左鎖骨下動脈~下行大動脈バイパス術が一般的です。この手術では下行大動脈吻合部に部分遮断鉗子をかけて吻合することで、下半身の血流を維持しながら血行再建できるため人工心肺不要で、より低侵襲です。多くは左第3肋間開胸アプローチです。ほかには、上行弓部大動脈が拡大している場合は特に適応となりますが、正中アプローチからの弓部大動脈再建です。遠位側吻合は加工大動脈に端側吻合し、狭窄部を閉鎖するのが肋間動脈からの出血を最小限にできるため一般的です。ほかの方法では非解剖学的バイパスは腋窩~両大腿動脈バイパスや、開胸を伴う場合は上行大動脈~両大腿動脈バイパス術などが考慮されます。また上行大動脈~下行大動脈バイパスも一案です。腋窩~両大腿動脈バイパスは開存率がやや落ちると考えられていますが、下半身の血流デマンドが大きいため、通常は長く開存します。
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