スーチャレス弁の一つ、Intuityの執刀を立ち会いのもと8例実施すると、その認定としてIndependent DoctorのCertificateがいただけます。Intuityは神奈川県では横須賀市立うわまち病院心臓血管外科での実施が18例と最も多くなっており、続いて横須賀共済病院で約10例実施と聞いております(2022年6月現在)。最近は若手ドクターがIntuityの執刀をしているので筆者が執刀したのは半年ぶりくらいになり、主にMICS-AVRで使用しています。神奈川県でIndependent DoctorのCertificateを頂いたのは筆者が初めてかと思いましたが、おそらく横須賀共済病院のほうがおそらく早く8例の執刀がされていると思われます。なんでも、初、って聞こえもいいし、なんとなく嬉しいものです。
高齢者に対する大動脈弁狭窄症手術件数が増加し、TAVIも増加している一方、SAVRに対しても今後MICSアプローチが増加していくものと考えられます。中でも縫合糸の糸掛け、結紮に関する時間短縮が可能なスーチャレス弁は低侵襲心臓手術を推進していく上でも有用です。
横須賀市立うわまち病院心臓血管外科で2018年から2022年で行った大動脈弁狭窄症に対するMICS-AVR(単弁置換症例のみ)39例のうち、従来の弁置換術を行ったC群35例(平均年齢76歳)と、エドワーズ社製スーチャレス弁であるIntuityを移植したS群4例(平均年齢81歳)において、手術時間、人工心肺時間、大動脈遮断時間、輸血量、術後在院日数、合併症について比較検討すると、手術時間C/S=242/197、人工心肺時間C/S=123/103、大動脈遮断時間100/84分で、術後在院日数はC/S=20.1/15で優位にS群で短縮が見られました。輸血量に有意差なし。
スーチャレス弁を使用することによって、糸掛け、糸結びの時間が短縮され、大動脈遮断時間、人工心肺時間、手術時間でそれぞれ15分、20分、20分の時間短縮が可能となった。しかしIntuityは従来の人工弁よりもやや大きく、ST接合部が狭い症例や狭小弁輪では挿入しにくいので、より丁寧な弁切除の手技が必要になり、デプロイの際の位置決定にも慎重にならざるを得ない点で、C群よりも弁切除に時間がかかる傾向にあります。結紮に伴う縫合糸の緩みや弁輪組織のカッティングのリスクがない分、術者のストレスは軽減されるだけでなく手技上のトラブルも少ないため術後在院日数も短縮されていました。
MICS-AVRにIntuityの使用は45分の手術時間および16分の大動脈遮断時間、術後在院日数の短縮と手技上のトラブルや外科医の精神的ストレス軽減に役立っているので、今後の適応症例が増えそうです。
このIntuityはまだ、神奈川県内では、ほぼ横須賀の2施設でしか使用されていないようです。
自動翻訳のDeepLを使って文章を書いてみました。ためしに日記を書いてみましたが、自分が考えて書く英文よりも瞬間的に完成してしまうので、まったく頭を使わずに終わってしまいます。脳の退化を加速するアプリでかえって文章作成力を低下させてしまいそうです。
とはいえ、次週の英語で作成するJ-MICSの2つのプレゼンテーションは時間がないのでこれを駆使することになりそうです。
本日は胸部外科学会関東甲信越地方会がホテルオークラで開催されています。
横須賀市立うわまち病院からは3演題発表があります。
①急性大動脈解離術中に右総頚動脈破裂が発生した救命症例
②放射線皮膚障害がある不安定狭心症に対してMICS-CABGを施行した症例
③COVID-19ワクチンに起因する収縮性心膜炎症例
いずれも活発な議論が行われるようなポイント満載の発表になると思います。
『心臓』という雑誌のエディトリアルコメントを依頼されたので、モザイク弁の弁機能不全に関する論文について記載したのがこの度、出版されました。ブタ弁は、交連部で裂壊すると、2つの弁尖にまたがった逆流が起きるので重症化しやすいという特徴を、改めて学ぶ機会になりました。また、石灰化を機転に弁尖が裂壊しているので、抗石灰化処理の重要性をあらためて認識することができました。
『心臓』は、主に循環器系医師向けの商業雑誌で、この雑誌維持のために多くの医療施設が協賛しているようです。この雑誌に警戒された論文は専門医の取得や更新にもカウントされるので、資格取得、維持を目指す医師には心強い味方と言えます。
七夕の飾り付けをしていたら、通りがかりの小学生三人が手伝ってくれました。短冊にもたくさん、お願い事が書かれています。
サッカーが上手になりますように
水族館のお姉さんになりますように
毎日が平和でありますように
七夕期間が終了後は、飾り付けられたお願い事を神社で祈祷、炊きあげをしてもらう予定です。
今年から夏は七夕、冬はクリスマスツリーを飾るように自治会予算からイベント費用として購入してもらいました。
6月17日、久しぶりに神奈川心臓血管外科フォーラムが現地開催され、活発な議論が行われました。特別講演として近畿大学の坂口元一教授から弓部大動脈置換術についての、現在のスタンダードな手術方法を解説頂きましたが、今まで当グループで行ってきた手技と共通点が多く、改めて自施設の手技の妥当性について確認するいい機会となりました。
他に症例報告として、僧帽弁置換術中に大動脈解離と左室破裂の両方が発症して救命された症例報告があり、たいへん勉強になりました。
身近でこうした勉強の機会があるのは、日頃の診療にも役立つので、早くコロナ前のように活発に開催されるようになることを期待しています
高齢の患者さんが多い心臓血管外科の病棟では男性患者さんから女性の看護師に対して、いわゆるセクシャルハラスメントとなるような言動をされることは決して多くはありませんが、まれにそうした事件に遭遇します。高齢だからまあまあって感じでその場は許容されることもありますが、現場で働く看護師としては許しがたい感情を抱く場合も少なくありません。こうした事件にどう対処し処理していくか、これは大きな課題でもありますが、担当する医師は決して見逃したり放置することは許されません。というのも、安全な治療環境を確保して最善の治療を提供するためにも、医療スタッフと患者が同じ方向を向いてベストな治療結果を出すために必要であるからに他なりません。これは、不快な思いをしたスタッフがいい医療を提供できなくなったり、離職につながったりして医療を提供する環境が損なわれるためです。
筆者の個人的な考えではありますが、こうした事例は男性医師が積極的に対応していく必要があります。というのも、こうしたセクハラは根源は弱いものいじめであり、弱いものいじめをするものの共通点として、対象を自分より弱いものとしてバカにしている一方で、自分より強いものゆ権威のあるものに対してめっぽう弱いという構図があるからです。セクシャルハラスメントに関しては、根源は女性蔑視であるため、女性の看護師の上司から注意しても有効ではない場合があり、より強力な権威をもって対処していく必要があります。現場でその場でちょっと注意しただけで制御できる程度のものはそれでいいのですが、繰り返されたり、程度が酷いものは最初から最強の兵器をもって反撃する気を起こさせないという戦術もあります。担当医が女性の場合は男性医師を同伴したほうが明らかに効果的とおもいます。こちらは真面目に本気で治療しているのであるから、ふざけた態度は患者であっても許さない、という意思を明確に伝えることが重要です。それでも手に終えない場合は病院内でナイフを振り回している患者がいるのと同じように保安上の問題として警備、警察に対応を委ねるしかなくなります。その場合に医療者側の武器になるのはやはり、録音や録画などの記録、カルテや、看護記録などの正確な診療録になります。だれがいつどこでどんなふうに、を正確に記録しておくことが重要です。医療者側が記録していることを患者に伝えることも有効ですし、記録した内容を患者に見せることも有効です。特に男性は面子を大事にするので、この記録を家族や職場などの個人のソーシャルコミュニティに開示させられることは最も大きなダメージになるので、そうした第三者を応援として参加させることも有効な可能性があります。最終的には法的に暴力行為として告訴することになりますが、このフローチャートを頭に描いて、事例がどの段階にあってどの対処で解決できるのかの戦況を常に把握しておくことが重要と考えます。
It is not common for male patients in hospital to say or do things to female nurses that constitute so-called sexual harassment, but on rare occasions such incidents do occur. Sometimes it is tolerated because the patient is elderly, but as a nurse, it is not uncommon to feel that it is unforgivable. How to deal with such incidents is a major challenge, but the physician in charge must not neglect them. This is because staff who are uncomfortable will not be able to provide good medical care and will lead to resign, thereby damaging the environment in which medical care is provided.
In my opinion, male doctors need to be proactive in dealing with such cases. This is because sexual harassment is at its root bullying of the weak, and the common denominator of those who bully the weak is that they ridicule the target as weaker than themselves, while they are extremely weak against those who are stronger and more authoritative than themselves. In the case of sexual harassment, since the root is contempt for women, a warning from a female nurse supervisor or a female doctor may not be effective, and it is necessary to deal with it with stronger authority. If it can be controlled with just a little on-the-spot attention in the field, that is fine, but if it is repeated or to a severe degree, there is the tactic of not motivating the patient to fight back with the strongest weapon from the start. If the doctor in charge is a woman, it is clearly more effective to have a male doctor accompany her. It is important to make it clear that you are treating the patient seriously and that you will not tolerate any antics, even if you are the patient. If you still can't handle the situation, you will have no choice but to leave it to security and the police to deal with it as a security issue, just like a patient wielding a knife in a hospital. In such cases, the medical staff's weapon of choice will be the medical records, such as recordings, medical charts, and accurate medical records, such as nursing records. It is important to accurately record who, when, where, and how. It is also effective to tell the patient that the medical staff is recording the information, and it is also effective to show the recorded information to the patient. Since men, in particular, value face value, it can be most damaging to have this record disclosed to their families, workplaces, and other personal social communities, so it may be useful to have such third parties involved as support. Ultimately, the case will be legally prosecuted as an act of violence, but we believe it is important to keep this flowchart in mind and keep abreast of the battle situation of what stage the case is at and what action can be taken to resolve it.
右小開胸アプローチによる低侵襲弁膜症手術の際は、手術操作に必要な部位にのみ到達できる最低限の皮膚切開で手技を行うため、その分、安全域が小さい視野での手術となります。
特に、術中、術後の徐脈や房室ブロックなどでペーシングが必要な際に、心外膜ペーシングリードがうまく効かないと致命的な問題に発展する可能性があります。術中に設置する心外膜ペーシングが確実に効くように、遮断解除して心臓が張って視野が悪くなる前に設置することが一つのコツです。この、遮断解除前に設置することをしばしば忘れてしまいがちなので、手術に入っているメンバーが当施設では必ず声に出して確認することにしています。また、遮断解除後に心室細動でない限りできるだけ早期にペーシングの閾値をチェックします。不安な場合は設置部位の位置調整をしたり、複数のペーシングリードを設置します。また手技中に誤ってペーシングが引っかかって外れたりしないように細心の注意も必要です。
万が一、ペーシングが必要な状態でペーシングリードが外れてしまった場合は心停止してしまいます。最初に行うのは、すぐに可能な範囲で心臓を刺激して脈が出るかどうか確認します。小さい術野から不十分な心臓マッサージでもその刺激で自己心拍が出ることもあります。また、DCパッドから対外ペーシングを行うことも有効です。また胸骨圧迫による心臓マッサージで圧がでるかどうかを確認することも必要です。人工心肺の回路の連結が残っていたら、人工心肺再開で循環補助することで次のステップに移れます。留置しているスワンガンツがペーシング機能付きであれば、ここからのペーシングでしのげますが、保険では心外膜ペーシングとペーシング機能付きスワンガンツカテーテルの併用は残念ながら神奈川県では保険で認められておりません。
この一連の緊急処置をしながら心外膜ペーシングの再設置を行うしかありませんが、それが難しい場合はペーシング機能付きスワンガンツに入れ替える、もしくは挿入する、または透視下で経静脈的ペーシングカテーテルを右室に設置する、という一連の処置を直ちに行う必要があります。それぞれ手技には準備に時間がかかりますので、その間をしのぐことが出来る対外ペーシングや心外膜ペーシングは非常に重要ですので普段から即座にそばにいる人がだれでも開始できるように除細動器やペースメーカーの操作方法を今一度確認しておくことが重要です。
横須賀市立うわまち病院が2025年に久里浜地区の新明公園に移転予定ですが、このたび公募していた名称の中から新病院の名称が、
「横須賀市立総合医療センター」
に決定したと報じられました。地元の人に親しまれやすい呼び名も大事かもしれませんが、病院の機能に応じた名称の方が優先された形となりました。全国的に名前が通る名称が重要です。他の候補として、
横須賀市立くりはま花の国病院
横須賀市立くりはま病院
横須賀市立久里浜神明病院
横須賀市立南病院
が上位にあったようですが、危ないところでした。花の国病院となってしまっていたら、恥ずかしくて学会などで名のれなくなってしまします。やはり、横須賀といえばこのセンターと知られるような病院にしていくことが住民に期待できるサービスを提供する使命を果たすことにつながると思いますが、他の候補はただ地名をつなげただけで使命感や機能が伝わってきません。商品も出ないのに、こうしたネーミングを応募いただいたことはありがたいと思いますが、機能や使命感を表す名称をつけて実質をそれに近づけていくことが重要と考えます。
このネーミングにより横須賀市が存続し続ける限り、今後病院がまた移転しても名前が未来永劫残ります。