グッドぐんま 2

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ヤリタナゴ 秋の移動作業 (藤岡市)

2009年11月23日 21時50分51秒 | 
昨日は、藤岡市のヤリタナゴ生息地で行われたヤリタナゴの移動作業に参加しました。
群馬県下には、かつて、ミヤコタナゴ、ゼニタナゴ、ヤリタナゴ、タナゴ、アカヒレタビラの5種類の在来タナゴ類が生息していましたが、現在はヤリタナゴ以外は絶滅してしまい、ヤリタナゴも藤岡市の一部にのみ細々と生き残っているという状況にあります。

藤岡市ではヤリタナゴを市の天然記念物に指定して保護しています


タナゴ類は二枚貝に卵を産みます。生活史の中で一倍弱い卵と仔魚の時期を貝の殻という頑丈な鎧で守ってもらうという巧妙な繁殖戦略です。
しかし、現在はこの繁殖戦略は完全に裏目になってしまいました。タナゴ類が産卵に利用してきたマツカサガイなどの淡水二枚貝が激減しているのです。
移動能力が弱く、生息環境の変化に敏感な淡水二枚貝は、魚よりもずっと弱い存在です。
淡水二枚貝の生息適地が減少したことによって、運命共同体のタナゴ類も減少してしまいました。

藤岡市のヤリタナゴ生息地では毎年、この時期にマツカサガイが生息していない水域や、冬季に断水する水路に入ってしまった個体を捕獲して繁殖適地に戻す作業が行われます。
この捕獲・移動作業は、ヤリタナゴの保護活動に取り組んでいる3団体(ヤリタナゴを守る会、ヤリタナゴ調査会、やりたなごの会)とヤリタナゴに関心を持つ人たちによって行われています。

ヤリタナゴ


今回、捕獲(保護)されたヤリタナゴの数は516尾。


捕獲されたヤリタナゴは、上流の繁殖適地まで運び、放流されました。


ヤリタナゴ以外に確認された魚種は、コイ、ギンブナ、モツゴ、タモロコ、オイカワ、タイリクバラタナゴ(外来種)、ヨシノボリ、ジュズカケハゼ、ドジョウ、ナマズ。

コイ


タモロコ


モツゴ


モツゴの別名は「くちぼそ(口細)」
おちょぼ口です


ヨシノボリ


ジュズカケハゼ


ナマズ


カワニナ


ヤリタナゴが生息している水路

生息地でも、このような土水路が、次々と“近代的な”三面コンクリート水路に造り替えられています
土水路よりも三面コンクリート水路の方が、管理は較べものにならないほど楽でしょう。身近な生き物の保護には、地域の人たちの協力が不可欠です。
生物多様性は人類共通の財産。しかし、それを保全するためにはその地域に人たちに“負担”を強いることもあります。それをフォローするは行政の役割であり、都市住民も負担を共有するべきだと思うのです。

※ヤリタナゴは藤岡市の天然記念物に指定されているため、捕獲は禁止されています。今回の作業は、市の許可を得た上、文化財保護担当官の立ち会いのもとで行われました。

ヤリタナゴと仲間たち 藤岡市

さて、この時期の外での作業は体が冷えます
毎回楽しみなのが、やりたなごの会の皆様が作ってくれる温かい料理
今回は、けんちんうどん

う~ん、美味しい!
こういう体が温まるものが、何よりのご馳走でございます(^^)


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(おまけ)
今宵の月