グッドぐんま 2

ぐんま大好き! 群馬のちょっとイイものや身近な自然を再発見

ヤリタナゴ秋の移動作業(藤岡市)

2010年11月21日 21時40分11秒 | 自然観察
ヤリタナゴは現在、群馬県内でみられる唯一の在来タナゴ類。さらに、生息地は藤岡市の極々一部に限られています。生息地では、地元住民の方々などが熱心に保護活動に取り組んでいます。
今日、繁殖に適した場所から散逸してしまったヤリタナゴを捕獲し、繁殖適地に戻す作業が行われました。

現場に向かうヤリタナゴ救助隊


救助活動中


捕獲したヤリタナゴは数をカウントした後に、繁殖に適した用水路上流部に再放流されます。




タナゴ類は二枚貝に卵を産みます。生活史の中で一番弱い卵と仔魚の時期を貝の殻という頑丈な鎧で守ってもらうという巧妙な繁殖戦略です。
しかし、この戦略は、高度経済成長期以降の農業生産現場の変化によって完全に裏目になってしまいました。
用水路は土水路から三面コンクリートやパイプラインに変わり、ため池も管理が行き届かなくなってヘドロが堆積していきました。移動能力が弱い二枚貝は魚などより環境の変化による影響を強く受けます。淡水二枚貝の生息適地が減少したことによって、運命共同体のタナゴ類も減少してしまいました。

群馬県内唯一のヤリタナゴの生息場所であるこの地区では、まだ“前近代的”な土水路が残り、地元の方により定期的な泥浚いも行われており、ヤリタナゴが産卵するマツカサガイが生息できる環境が維持されています。
伝統的な農業活動によって維持されてきたヤリタナゴやマツカサガイの生息環境をこれからも守っていくためには、色々な課題もあります。
里地里山の身近な自然を守ることは、手つかずの原生の自然を守ることより、ずっと、難しいのです。


ヤリタナゴ以外の生き物
ジュズカケハゼ


トウヨシノボリ


ギンヤンマの幼虫


ギンヤンマはヤゴの中で一番かっこいいね。


※ヤリタナゴは藤岡市の天然記念物に指定されているため、捕獲は禁止されています。今回の作業は、市の許可を得た上、文化財保護担当官の立ち会いのもとで行われました。

ヤリタナゴと仲間たち 藤岡市

作業の後は、と~っても美味しい けんちんうどん

毎回、これが楽しみです (^^)